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現場ダッシュボードはテレビ一台からフォント大きめで作る

現場ダッシュボードはテレビ一台からフォント大きめで作る
導入:昭和的現場の情報共有に課題あり
製造現場では、日々数十~数百の作業指示や進捗、品質情報が飛び交っています。
しかし、そうした重要な情報がアナログな工程管理板や、手書きのホワイトボード、紙の進捗表のみで共有されている職場がいまだに多いのが日本の現状です。
デジタル化やDXの波は押し寄せているものの、「現場には現場のやり方がある」「パソコンや高価な大型モニタは現場にはなじまない」という考え方が根強く、変革のスピードが鈍いのもまた事実です。
本稿では、現場で即実践できる「テレビ一台からはじめるダッシュボード」をキーワードに、アナログ中心の現場でも無理なく進められる情報可視化の実践方法について、実体験をもとに掘り下げていきます。
なぜ現場にダッシュボードが必要なのか?
まず、なぜダッシュボードに取り組む必要があるのでしょうか。
現場ではこんな“あるある”に直面しています。
・「今、どの工程が遅れているのかパッと分からない」
・「不良が多発していても現場全員が気づけず、報告漏れや対策遅れが起こる」
・「紙ベースの報告は手間が多く、更新が間に合わない」
これらの問題を放置すると納期遅延・品質事故につながり、顧客や調達先との信頼を損ないます。
現場の状況を一目で見渡せ、リアルタイムで共有できる“ダッシュボード”は、ムダな時間や手間を省き、判断と対応を圧倒的にスピードアップさせます。
小さく始める=テレビ一台でOKの理由
情報可視化というと高額な専用機器やIoTセンサー、大型ディスプレイ、クラウドシステムを思い浮かべがちです。
しかし、実際はそこまで大げさに考えなくても、家庭用テレビ1台と、簡単なパソコン(またはタブレット)さえあれば、十分に現場ダッシュボードをスタートできます。
なぜなら、
・現場では「誰でも一目で直感的に」分かることが最優先
・高機能なシステムよりも、「表示が見やすい」ことが一番重要
・初期投資と運用の手間は極小がベスト(現場は忙しいから)
だからです。
実際、工場の休憩室や事務所に転がっている使わなくなった32~50インチ程度のテレビを活用すれば、初期投資はほぼゼロ。
パソコンやタブレットからテレビにHDMIケーブルでつなぐ、Wi-Fi経由でミラーリングするだけでダッシュボードの“スーパースタートアップ”が実現できます。
絶対にやるべき「フォント大きめ」表示のすすめ
現場ダッシュボードを作る上で失敗しやすいのが「せっかく可視化したのに、誰にも見てもらえない」というパターンです。
特に製造現場では、距離・騒音・目の悪い作業者など、情報をしっかり届ける障壁がたくさんあります。
そこで重要なのが、「フォントとデザインは“これでもか”というくらい大きめ+シンプルにする」ことです。
<一目見て伝わるダッシュボード表示のコツ>
・タイトルや数値は28pt~50pt以上(A3用紙に大文字マジックで書くくらい)
・色分けは最大3色(例:緑=正常、赤=要注意、黄色=要確認)
・余計な項目は見せない。現場で本当に確認したいKPIだけを抜粋
大事なのは「数メートル離れて、5~60代の現場職員がパッと見て誰でも分かる」ことです。
現場の高齢化が進んでいる以上、老人ホームで掲示するくらいの気持ちで極端に視認性を追求して設計しましょう。
今すぐできる!ダッシュボードの表示イメージ例
それでは実際に、テレビ1台+パソコンでできる現場ダッシュボードの具体例を紹介します。
1. 本日生産数/進捗率ダッシュボード
GoogleスプレッドシートやExcelで、生産計画と実績を入力し、棒グラフ+大きな数字で表示します。
現場PCで「F11」キー(全画面表示)にしてテレビに出すだけで、進捗見える化が実現できます。
2. 不良トラブル速報ボード
リアルタイムで不良が発生した場合に、責任者がその都度「重大不良発生!」と入力して大フォント+赤文字で表示。
重大トラブルの見落としゼロ、迅速な共有ができます。
3. 緊急呼び出し掲示板/アラート通知盤
休憩室や現場入り口などで、災害時や重要連絡事項を超大フォントでライブラリ表示。
4. 朝礼・昼礼ダッシュボード
本日の出来事やスケジュール、連絡事項を大フォントでまとめて一覧表示し、朝礼のホワイトボードと置き換えます。
どれもPowerPointやGoogleスライド、無料のダッシュボードWebサービス(例:Googleデータスタジオ、Tableau Public)を使えば手間なく作成できます。
なぜ今、アナログ現場ほどダッシュボードが効くのか?
「ウチの現場はパソコンも苦手、デジタルよりも紙や声が主流」と感じる方こそ、“1台テレビダッシュボード”が最大の効果を発揮します。
その理由は、昭和的な現場文化の特徴である
・言葉による伝達(口頭、紙)が多い=すれ違いやムラ、漏れが発生しやすい
・現場スタッフが多様。外国人実習生や高齢者も働く=誰にでも直感的に通じる手段が必須
・「目で見る・気づく・すぐ動く」が何より重視される
という環境だからです。
実際、私自身が過去に勤めた工場でも、パソコンが苦手なベテラン職人や、中国、タイ、ベトナム出身スタッフも、ダッシュボードの“アイコン・色・数値”ならすぐ反応できてチーム連携力が向上しました。
「パッと見て皆が一斉に動ける」を実現するには、デジタル化と言っても難しいシステムは不要。
テレビ一台で十分なのです。
バイヤー目線/サプライヤー目線が求めるもの
実はダッシュボードは、メーカー内の現場作業者だけがメリットを感じるものではありません。
購買部門やバイヤー、調達先・サプライヤーとの関係性強化にも直結します。
<バイヤーが現場に求めていること>
・「現場のリアルタイムな状況が分からず、納期遅延やトラブルを後追いで知って困る」
・「サプライヤーの情報開示が遅い・あいまい=信頼が下がる」
<サプライヤーが知っておきたいこと>
・「バイヤーは安心感が最優先。進捗が一目で見える現場は、競合他社よりも信頼される」
・「ダッシュボードで現場力をアピールできれば、新たなビジネスのチャンスも拡がる」
すなわち、シンプルなテレビ1台のダッシュボード導入でも、「うちの現場は“見える化”と情報公開ができています」と自社PRができます。
社内外監査、顧客来場時のデモンストレーションにもインパクトが大きく、他社との差別化ポイントにもなります。
ITに強くなくても“いますぐできる現場改革”への一歩
「IT担当がいない」「英語のダッシュボードツールは手が出ない」と悩む必要はありません。
現場用ダッシュボードは、無料のスプレッドシート+家庭用テレビ一台で十分にスタートできます。
・エクセルで進捗を入力し、一発でグラフ化
・PowerPointで毎日数字を打ち換えるだけ
・古いノートPC、タブレットでも「全画面表示」ならOK
現場の理解が深い方にこそトライしていただきたい仕組みです。
まとめ:昭和からの“壁”を、テレビ一台が超える
現場というのは、変化を嫌いがちで“前例”や“現場力”を大切にします。
ですが、今求められているのは
・誰でも・いつでも・一目で現場が見える
・無駄な説明や伝言が要らない
・気づいたその場でアクションできる
という、「迅速な現場連携力」です。
難しいことをしなくても、テレビ1台と大きなフォントのダッシュボードなら、現場も管理職も、バイヤーもサプライヤーも「変化の第一歩」を体験できます。
少しずつでも、現場の“見える化”、そして“昭和を越えて令和へ”の実践をはじめませんか?
今日からでも、あなたの工場の休憩室のテレビがダッシュボードのスタート地点です。
まずはフォントを大きく、項目を少なく、“誰でも一目で分かる”ダッシュボードづくりに挑戦してみてください。
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