投稿日:2024年8月25日

エンコーダ(Encoder)の最新技術とその産業での応用

エンコーダの概要と種類

エンコーダ(Encoder)は、回転や動きの角度、位置情報を電気信号に変換し、機器やシステムに情報を供給するためのデバイスです。
これにより、工場の自動化やロボティクス、精密加工など、多岐にわたる産業分野において高精度な制御が可能になります。

エンコーダには大きく分けて二つの種類があります。
それは、インクリメンタルエンコーダとアブソリュートエンコーダです。

インクリメンタルエンコーダ

インクリメンタルエンコーダは、位置情報を相対的に計測し、回転や移動の変化をパルス信号として出力します。
このパルス信号をカウントすることで、目的の位置や速度を計算できます。
特徴としては、構造がシンプルでコストが低く、迅速な応答性が必要とされる場面で使用されます。

アブソリュートエンコーダ

アブソリュートエンコーダは、回転や位置の絶対的な角度情報を一つ一つのコードパターンとして出力します。
起動時でも現在の位置が把握可能です。
このため、例えば、電源が切れた後に再起動しても位置の再設定が不要です。
高精度な位置決めや、安定した動作が求められる場面で広く使用されます。

エンコーダの最新技術

技術の進歩により、エンコーダも多様なニーズに応える形で進化を遂げています。

高分解能エンコーダ

近年では、ナノメートル単位の精度を持つ高分解能エンコーダが開発されています。
これにより、非常に微細な動きや位置決めが可能となり、半導体製造や精密加工分野などでの需要が高まっています。

ワイヤレスエンコーダ

従来のエンコーダは配線の多さが課題でしたが、最新のワイヤレスエンコーダはこの問題を解消しました。
無線通信を活用することで、配線の複雑さを軽減し、設置や保守の手間を大幅に削減できます。
特に搬送ラインや自動運転ロボットなどの移動が多い環境での採用が進んでいます。

マルチターンエンコーダ

マルチターンエンコーダは、回転数を複数回カウントする機能を持ちます。
これにより、制御システムにより多くの情報を提供し、精度の高い制御を可能にします。
また、エネルギーハーベスティング技術を組み合わせることで、長期間のメンテナンスフリーも実現しています。

光ファイバーエンコーダ

光ファイバーエンコーダは、光を利用して位置情報を計測します。
この技術により、耐ノイズ性が飛躍的に向上し、厳しい環境条件でも正確なデータ取得が可能です。
高温・高湿度・強磁場など特に厳しい条件下での利用に適しています。

エンコーダの産業応用

エンコーダは、その多機能・高精度な特性から、多くの産業分野で応用されています。

自動化およびロボティクス

製造業では、エンコーダは欠かせないデバイスです。
ロボットアームや搬送システム、精密加工機など、さまざまな自動化設備で位置決めや速度制御にエンコーダが利用されています。
高分解能エンコーダにより、より細かな動きの制御が可能になり、生産性と品質の向上が期待できます。

医療機器

医療分野でもエンコーダの応用は広がっています。
医療用ロボットやCTスキャナー、MRIなどの精密機器において、高精度な位置決めと安定した動作制御が重要です。
アブソリュートエンコーダを使うことで、手術ロボットなどの厳密な制御が求められる場面でも信頼性が高い操作が可能になります。

自動車産業

自動車産業では、エンジンやトランスミッションの制御、車体の位置検出やセンサーフィードバックといった多くの応用が見られます。
特に、自動運転技術の進化に伴い、高精度な位置情報の取得が必須となり、エンコーダの性能が重要な要素となっています。

航空宇宙産業

航空宇宙分野では、エンコーダは飛行機やロケットの姿勢制御や軌道計算に使用されます。
高耐久性・高信頼性のエンコーダは、過酷な条件下でも正確なデータを提供し、安全な飛行を支える鍵となっています。

エンコーダの導入と選定ポイント

エンコーダの導入にあたっては、以下のポイントを考慮することが重要です。

精度と分解能

用途に応じた精度と分解能を持つエンコーダを選定することが必要です。
高い分解能を持つエンコーダは、微細な動きを検知しやすくなりますが、同時にコストも高くなります。

環境条件

エンコーダが使用される環境条件を考慮する必要があります。
高温・高湿度・塵埃など厳しい条件下で使用される場合は、それに耐えうる耐環境性の高いエンコーダを選ぶことが求められます。

通信方式

有線と無線のどちらが適しているかを検討することも重要です。
無線通信が有利な場合は、最新のワイヤレスエンコーダを選定することで配線の煩雑さを回避できます。

耐久性とメンテナンス性

長期間の使用を見据えて、耐久性やメンテナンス性にも注意を払う必要があります。
メンテナンスフリーのエンコーダや、自己診断機能を持つエンコーダは、稼働コストを削減し、安定した運用をサポートします。

まとめ

エンコーダは製造業を始めとする多くの分野で重要な役割を担うデバイスです。
最新技術の導入により、精度や耐久性、操作性が向上し、さまざまな応用が進められています。
今後もエンコーダの技術革新は続くと予測され、業界全体の発展に貢献することでしょう。
適切なエンコーダの選定と導入を通じて、生産性の向上と品質の確保を目指すことが重要です。

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