投稿日:2024年8月18日

リニアエンコーダの技術と製造業での利用方法

リニアエンコーダの技術

リニアエンコーダは、直線位置の変位を正確に測定するためのセンサー技術です。
機械などの物理的な変位を電気信号に変換し、その位置情報を正確に読み取ることができます。
その優れた精度と信頼性から、製造業のさまざまな分野で利用されています。

リニアエンコーダは、光学式、磁気式、静電容量式、誘導式など、いくつかの種類があります。
それぞれの方式には固有のメリットとデメリットがあり、用途や環境に応じて選択が重要です。
以下では、主要な技術について具体的に説明します。

光学式リニアエンコーダ

光学式リニアエンコーダは、光を利用して位置情報を取得する方式です。
光源から照射された光がスケールと呼ばれる格子模様上を通過し、受光素子で変位を検出する仕組みです。
その際に生成される干渉パターンを解析することで、非常に高精度な位置測定が可能です。

主なメリットとしては、極めて高い解像度と精度が挙げられます。
特にナノメートル単位の測定が必要な半導体製造設備などで重宝されます。
ただし、光学系の洗浄やメンテナンスが必要であり、汚れがつくと精度が低下する可能性がある点には注意が必要です。

磁気式リニアエンコーダ

磁気式リニアエンコーダは、磁場を利用して位置情報を取得する方式です。
磁石とホール素子や磁気センサーを組み合わせることで、磁場の変化を電気信号に変換し、位置を検出します。
磁場干渉に対しても非常に安定しており、高い耐環境性能を持っています。

この方式の主なメリットは、光学式に比べてメンテナンスが容易であり、汚染や衝撃に強いことです。
そのため、屋外や工場などの厳しい環境でも安定して使用できます。
一方で、光学式ほどの高精度は期待できないため、用途によっては注意が必要です。

静電容量式リニアエンコーダ

静電容量式リニアエンコーダは、電極間の静電容量変化を利用する方式です。
物体の移動が静電容量に与える影響を検出することで、位置情報を取得します。

静電容量式は、非接触で位置を測定できるため、摩耗が少ないことが特徴です。
また、高速なレスポンス性能も持ち合わせています。
しかし、湿度や温度の変化による影響を受けやすいため、使用環境の管理が重要です。

リニアエンコーダの製造業での利用方法

リニアエンコーダは、その高い精度と信頼性から、製造業のさまざまな分野で利用されています。
具体的な利用方法について、以下にいくつかの例を挙げて説明します。

工作機械の位置制御

工作機械、特にCNC(コンピュータ数値制御)機械において、リニアエンコーダは不可欠な存在です。
リニアエンコーダを利用することで、加工工具の位置をミクロン単位で正確に制御できます。
これにより、製品の高精度な加工が可能となり、品質の向上につながります。

具体例として、金属加工のフライス盤や旋盤における位置決めにリニアエンコーダが利用されます。
リニアエンコーダから取得した位置情報をフィードバックすることで、高精度かつ高効率な加工が実現します。

自動化機器の制御

自動化が進む工場において、リニアエンコーダはロボットや搬送システムの制御にも用いられます。
多くの自動化機器は、位置情報を正確に取得し、それを基に動作を制御する必要があります。
リニアエンコーダによって取得される位置情報は、高速かつ高精度な動作を可能にし、生産性を向上させます。

例えば、包装ラインや組み立てラインでの部品搬送システムにおいて、リニアエンコーダを使用して位置決めを行うことにより、正確かつ効率的な運用が可能となります。
また、産業用ロボットのアームの位置制御にもリニアエンコーダが利用され、高精度な動作を実現します。

検査装置

リニアエンコーダは、製品の検査装置にも広く利用されています。
特に、半導体や電子部品の検査装置では、微細な異常を検出するために高精度な位置情報が不可欠です。

例えば、AOI(自動光学検査)装置やAXI(自動X線検査)装置において、リニアエンコーダを用いることで、製品の位置を正確に制御し、高速かつ高精度な検査が可能となります。
このように、リニアエンコーダは品質管理の一翼を担っています。

半導体製造装置

半導体製造装置においても、リニアエンコーダは非常に重要な役割を果たしています。
半導体の製造プロセスは高度な精密度が求められるため、リニアエンコーダの高精度な位置制御が欠かせません。

例えば、フォトリソグラフィ装置やエッチング装置において、リニアエンコーダを利用してウェハの位置を正確に制御することで、高度な微細加工が可能となります。
これにより、高性能な半導体デバイスの製造が実現されます。

リニアエンコーダ導入のポイント

リニアエンコーダを導入する際には、以下のポイントに注意することが重要です。

用途に適した方式の選定

用途や環境に応じて、最適なリニアエンコーダの方式を選定することが重要です。
例えば、超高精度が要求される場合は光学式、厳しい環境条件下での使用が想定される場合は磁気式を選定するなど、適切な方式を選ぶことで、最大限の効果を発揮することができます。

環境条件の把握と管理

リニアエンコーダは、使用環境に影響を受けやすい場合があります。
例えば、光学式リニアエンコーダは汚れに弱く、磁気式は磁場干渉を受けることがあります。
そのため、使用環境の条件を十分に把握し、適切な管理を行うことが重要です。

定期的なメンテナンス

リニアエンコーダは高精度な位置測定を行うための精密機器であるため、定期的なメンテナンスが必要です。
汚れや異物の除去、センサーのキャリブレーションなど、適切なメンテナンスを行うことで、長期間にわたって高い性能を維持することができます。

まとめ

リニアエンコーダは、直線位置の変位を高精度に測定できるセンサー技術であり、製造業の多くの分野でその重要性がますます高まっています。
その種類は光学式、磁気式、静電容量式など多岐にわたり、それぞれの特徴や適用範囲を理解することが重要です。

製造業においては、工作機械の位置制御や自動化機器の制御、検査装置、半導体製造装置などさまざまな用途でリニアエンコーダが利用されています。
適切なリニアエンコーダを選定し、環境条件を管理し、定期的なメンテナンスを行うことで、その性能を最大限に活用することができます。

今後もリニアエンコーダの技術は進化し続け、製造業の生産性向上や品質向上に大きく貢献していくでしょう。

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