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返却可能な通い箱採用で包装費と廃棄費用を同時に削る物流設計

目次
はじめに — 製造業における物流コストの見直しが急務
製造業を取り巻く環境が大きく変化している現代、あらゆる現場でコストダウンのプレッシャーが日増しに高まっています。
なかでも、調達・購買部門や生産管理、物流部門など、ものの流れをいかに効率化するかは企業競争力を左右する重要なポイントです。
その中で見逃されがちなのが「通い箱」をはじめとした包装資材費や廃棄費用といった物流の盲点です。
現実、昭和時代から続く使い捨てダンボールや簡易梱包を多用したアナログ的運用から脱却できていない現場も少なくありません。
しかし、今、返却可能な通い箱の採用が、包装費と廃棄費用という二つの経費を同時に削減できる革新的な物流設計として注目を集めています。
本記事では、現場経験から実感した通い箱の効果や採用時のポイント、サプライヤー・バイヤーそれぞれの視点、そしてアナログ業界動向も踏まえ、SEOにも強い視点で深掘りしていきます。
なぜ今「通い箱」なのか? — 製造業現場からの問題提起
これまでの通い箱運用の実態と課題
通い箱の概念自体は決して新しいものではありません。
大手自動車メーカーや一部の電子部品業界には昔から返却型の「パレット」や「コンテナ」が組み込まれていました。
それでも、中小~中堅の工場やサプライチェーン全体には十分に普及していないのが実情です。
理由は明快で、
– 導入コストや運用設計の煩雑さ
– 取引先によって梱包形態がバラバラ
– 複数サプライヤーをどう管理するかのノウハウ不足
といった「現場負担感」が壁となっていたからです。
廃棄コスト高騰とSDGsへの対応プレッシャー
ここにきて、廃棄物処理費用の高騰やSDGs・脱炭素経営への社会的要請が大きなインパクトを与えています。
「使い捨てダンボール資材の量が減らない」
「定期的に廃棄物回収業者へ数十万円単位のコストが掛かる」
サプライヤー・バイヤー問わず、多くの現場で共通する悩みとなっており、新たな解決策が必要とされています。
返却可能な通い箱採用のメリット — 包装費・廃棄費用のWカット!
包装資材費の削減効果
通い箱最大の魅力は、ダンボールや使い捨て資材の発注・在庫コストを劇的に減らせる点です。
例えば、従来であればロット毎に使い捨て箱を用意し、その度ごとに発注業務、段積み管理、在庫確認、廃棄手配が発生していました。
その資材自体のコストを通い箱利用分だけ初期投資に置き換え、使い回すことで1年後には半減、3年で1/3以下に圧縮できるケースも現場ではざらに見られます。
廃棄物処理・リサイクル費用の削減
次に着目したいのが廃棄コストの抑制効果です。
包装資材を一回ごとに廃棄・リサイクルする手間と費用は、年額で数十〜数百万円にも上ります。
脱炭素経営や持続可能性(SDGs)推進の流れもあり、廃棄物ゼロを掲げる企業も増えてきました。
通い箱は循環型社会の実現にもマッチし、サプライヤーとバイヤー双方の環境配慮イメージアップにも直結します。
現場の省力化・リードタイム短縮に寄与
箱詰めの簡略化や梱包解体の手間が大幅に削減されます。
また、標準化した通い箱を使えば、仕分け・棚入れ作業の自動化・システム化もしやすくなり、IoT連携によるトレーサビリティ強化も現実的です。
物流リードタイム短縮、現場オペレーションの省人化など、地道な改善効果が積みあがります。
アナログ現場の“あるある”課題と通い箱導入成功のポイント
導入障壁1:現場が「めんどくさい」と感じる理由
実際に現場では「入荷した箱にまた品物詰めて返送なんて手間が倍増する」「紛失や破損時のルールづくりが難しい」などの抵抗感を根強く感じます。
昭和型の固定化した業務フローでは、イレギュラーなコード管理や、帳票の付け間違い、現場間の“不要な小競り合い”が発生しやすいのです。
導入障壁2:多様なサプライチェーンをどう標準化するか
同じグループ内ならいざ知らず、
– 「都度取引」
– 「数社の中で一部しか通い箱に対応していない」
といった取引が乱立している場合、新たな共通ルール作りと教育コストの壁に直面しがちです。
通い箱導入を成功させるためのポイント
1. 初期段階は「単一サプライヤー」や「繰り返し取引の多い部品・工程」からスモールスタートする
2. 通い箱自体にバーコードやICタグを付与し、資産管理・履歴管理を徹底する
3. 紛失・破損時の対応ルール(木札式タグ管理など)を現場ルールとして具体事例で教育する
4. 梱包仕様・積載効率を可視化し、見える化KPI(例:包装材使用量推移、廃棄量)の目標を立て改善を回す
5. 取引先も巻き込んだ物流改善キャンペーン(コストシェア/成果共有)でモチベーションを醸成する
最初から100点を目指さず、“現場の手間が増えない範囲”から段階的に拡張していくのが成功への近道です。
サプライヤーとバイヤー、それぞれの立場で考える「通い箱と物流設計」
バイヤー企業(仕入先選定・コストを主導する側)の視点
– 物流コスト削減指標の新たなKPIとして「包装廃棄費用ゼロ」「通い箱率50%超」など具体的な数字を掲げやすい
– 環境配慮型調達としてCSR(企業の社会的責任)監査やサプライチェーン評価で大きなアピール材料になる
– 取引先共有通い箱プラットフォーム導入や、通い箱自体のシェアリング(共用化)サービス導入で一気に普及加速が狙える
サプライヤー企業(部品供給側)の視点
– 梱包手間の標準化、余分なコスト発生のカットがしやすい
– サプライヤー自らも「梱包材使用量削減」の独自目標を立案し、原価低減活動へ展開可能
– 取引先からの物流改善要請にスムーズに応えられる体制となり、競争優位性につながる
お互いのメリットが最大化するよう、早い段階から共同で物流ワークショップや現場見学会などを開催し、改善意識を共有することが重要です。
業界動向:デジタル化待ったなしと“現場の声”のギャップ
行政・大手流通事業者の旗振りと現場感
2024年以降、国の施策や業界団体の主導で「循環型資材の義務化」「物流2024年問題(ドライバー不足)」など通箱化の大きな後押しが進んでいます。
しかし、実際の工場現場では「どこまで現実に落とせるのか?」「現場で本当に運用できる仕組みに落とし込まれているか?」という根強い不安が渦巻いています。
アナログからの脱却、それでも大事な“現場ヒアリング”
いくらシステムやIoTが導入されても、出口の現場オペレーターや物流ドライバーのリアルな声を無視しては機能しません。
ラテラルシンキングが生きるのもこうした「本音の可視化」と「最適解の共創」にほかならないのです。
何が面倒なのか、現場のどこで詰まるのか、工夫の余地がどこにあるのか。
改善ワークショップや現場インタビューを積み重ね、「みんなで運用できるシンプルな仕組み」を粘り強く作り込んでいくことが、製造業の新しい地平線につながると考えています。
まとめ — 通い箱による物流設計で未来の競争力を強化しよう
返却可能な通い箱採用による包装費・廃棄費用の同時削減。
これは決して単なるコストダウン手法にとどまらず、持続可能なものづくり、事業全体のQCD(品質・コスト・納期)の土台となる大きな革新です。
バイヤーを志す方には、
「資材コストだけでなくサプライチェーン全体の効率化へ視野を広げ、現場の声を集めた上で新提案を実行する勇気」
を強く持ってほしいです。
サプライヤーとしては、
「現場の工夫とデジタル化をバランスよく融合させ、競争力ある物流体制を一緒に築くパートナー意識」
が高く評価される時代です。
通い箱物流に興味を持った方は、まず“現場に行って肌で課題を感じること”から始めてみてはいかがでしょうか。
次世代のものづくり現場を、私たち一人ひとりの挑戦でより良く変えていきましょう。
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