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投稿日:2025年12月12日

トラックドライバーの運行規制強化で起こる物流影響

はじめに:物流の現場で何が起きているのか

物流業界を取り巻く環境は、いま大きな変革期を迎えています。
その最たるものが、2024年に強化されたトラックドライバーの運行規制です。
「2024年問題」とも呼ばれるこの動きは、荷主にとってもサプライヤーにとっても、またバイヤーの立場にとっても、避けて通れない課題となっています。

本記事では、製造現場での豊富な経験をもとに、運行規制強化が現場にもたらすリアルな影響と、業界がどのような対応を迫られているのかを実践的に解説します。
また、昭和から続くアナログな商習慣も深堀りし、製造業全体としての生産性向上や物流最適化のヒントをお伝えします。

トラックドライバー運行規制強化の背景

国土交通省は、ドライバーの過重労働や安全問題への対策として、2024年から「自動車運転業務の年間時間外労働の上限規制」を大幅に強化しました。
これは、労働基準法の適用除外で長らく“グレーゾーン”となっていた部分にもメスを入れる、本格的な監督強化策です。

新たな拘束時間・規制ポイント

・1日の最大拘束時間が原則13時間、最大でも15時間
・年間時間外労働960時間まで
・休憩インターバルの厳格化 など

トラックドライバーの働き方は、従来の「長時間当たり前」な昭和型から、大きく変容します。
これが、日々の物流運行にどのような波及をもたらすのか、次項で具体的に見ていきます。

現場で起こる物流への具体的な影響

運行規制強化によって、物流現場では様々な変化が起こります。
ここでは製造業ならではの観点で、主要な影響点を整理します。

1.トラックの「不足」と配車の困難化

拘束時間の規制強化は、ドライバー1人あたりが担える運送量の減少を意味します。
同じ運送依頼数でも、必要な台数・ドライバー数が増えてしまうため、慢性的な「トラック不足」「人手不足」が深刻化します。

配車担当者も、従来通りのルートでは規制違反になるケースが増え、調整や日程変更交渉に追われる時間が飛躍的に増加します。

2.運賃値上げとリードタイム長期化

需要と供給のバランス崩壊により、運賃は上昇傾向を強めます。
とくに中距離~長距離輸送では顕著な上昇が続いています。
また規制下では毎日「××時までに」というタイトな納品指示には応じきれず、所要日数(リードタイム)が延びざるを得ません。

3.「待機時間」「荷役作業」にも再考を迫られる

昭和から続く商習慣として、「荷主の都合でトラックが2時間も3時間も待たされる」「荷物の上げ下げもドライバーが手伝う」という風景が未だに一般的でした。
しかし、運行規制下では“待ち時間”も全て拘束時間にカウントされます。
荷受けの遅れ、荷役の長期化があれば「次の便に間に合わない」などの影響が現実となります。

4.製造業独特のアナログ文化が壁となる

FAXでの依頼、電話口での口頭指示、現場への突然の呼び出し…。
製造現場には未だアナログ的な対応が色濃く残り、多重の手戻りや急な依頼の“しわ寄せ”は運送会社・ドライバーへと押し付けられてきました。
しかし規制下では、こうしたラフなオペレーションがもはや通用しません。
システム的な受発注管理や情報共有の改革が求められるフェーズに突入しています。

製造業現場・バイヤーとして今こそ取り組むべきこと

運行規制は、物流会社だけの問題ではありません。
すべての荷主、そして調達や購買を担う“バイヤー”にも思考・業務転換が求められます。
ここでは、20年以上の現場経験から強く推奨したい「今こそやるべき実務対策」をご紹介します。

1.サプライチェーン/生産スケジューリングの見直し

納品リードタイムが延び、納入タイミングに「必達」が難しくなるなか、調達から生産計画・工場出荷まで一連のスケジューリングをゼロベースで見直しましょう。

とくに「1日単位で毎日ジャストに納品・引取」という理想から、「週1~2回まとめて納品」「曜日・便指定の一括出荷」など、運送効率改善を意識した手配方法への移行を検討すべきです。

2.パレット化・標準化による荷役時間短縮

現場での荷受け/出荷がバラ積み・バラ降ろしだと、トラック毎の作業時間が大幅に増えます。
パレット輸送や標準容器の導入、出荷/受入のピッキング自動化を進めることで、ドライバーの待機や立ち合い時間を減らし、全体の実入り効率を向上できます。

これは、そのまま脱アナログ・現場省人化にも繋がるため、投資対効果の高い見直しです。

3.物流DX・デジタル管理へのシフト

アナログ依存から脱却し、受発注~納入指示をデジタル化することが急務です。
たとえば
・FAXや電話→EDI、オンライン受発注システムへの切り替え
・トラックの手配・到着・出荷状況をリアルタイムで見える化
この取り組みによって、トラックの到着待ちや荷役のタイミング合わせがスムーズになり、無駄な“滞船(待機)”を減らせます。

調達担当者・工場現場リーダーが積極的にDX案件をリードし、バイヤー/サプライヤー間の情報共有強化が急務です。

4.荷主・納入先の“共同化”・“混載便”活用

各社単独で手配していた“専用便”の割合を減らし、同じ仕向け地や納入先間でトラックをシェアする「共同配送」や「混載便」利用を拡大しましょう。
これによって、空車率・積載率の向上、トラック確保の安定化、調達コスト抑制まで同時に図れます。

5.長期的には物流パートナーとの“共創”体制へ

物流危機を一社単独で乗り切るのは、もはや現実的ではありません。
荷主⇒物流会社への「依頼」から、「パートナーシップ」「共創」にステージを上げることが、今後最も重要な競争力となります。

情報開示・現場見学・相互の現場ヒアリングを通じて、「どこでどう無駄を減らせるか」を一緒にカイゼンし合う仕組みづくりが、これからのバイヤー・サプライヤーには必須となります。

バイヤーの視点:これからの調達購買に求められる観点

「コスト」「納期」「品質」だけを突き詰めていた従来型調達に、そろそろ限界が見え始めています。
これからのバイヤーには、「物流リスク」を看過できないKPIとして捉え、発注基準・調達先選定プロセス自体を見直す発想が必要です。

物流波乱では「最安」が最善でなくなる

これまでは“配送費込みで最も安いサプライヤー”を選んでいた現場も多かったことでしょう。
しかし今後は、「安いが遠方」「安いが時間の融通がきかない」といったコスト主義調達は配送リスクが高くなり、結果として品切れやライン停止の要因になります。

「たとえ少しコスト増でも、納期・配送体制の確実性、サプライヤーのレスポンス力を何より重視する」
という発想への転換が、安定調達の鍵となります。

サプライヤー視点:「バイヤーの期待」と協働するポイント

サプライヤーとしては、単なる「受け身」から抜け出し、自社の物流体制・出荷リードタイム・共同配送の可否等について積極的に情報開示を進め、「いかに荷主バイヤーと協働できるか」が問われます。

「出荷指示を前倒しでもらえるよう業務設計を相談する」
「指定回数まとめ納入・混載納入の提案を自社側から仕掛ける」
といった攻めのスタンスこそ、新規取引やパートナー継続の差別化要素になります。

まとめ:物流変革は“全社的なテーマ”

トラックドライバー運行規制強化は単なる法令改正では済まされません。
製造業一人ひとりが、「物流=単なる運送屋頼み」から、「サプライチェーンを支える本丸」と意識改革しなければなりません。

自社内で完結する話と捉えず、「取引先との共創」「業界ぐるみの最適化」「現場主義によるアナログ脱却」まで踏み込んだ変革を、今から一歩ずつ始めていきましょう。

本記事が、皆様の現場での実践と新たな地平線の発見に少しでもお役立ていただければ幸いです。

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