投稿日:2025年12月3日

製品番号の桁数増加が物流ミスを誘発する盲点

はじめに

製造業界における製品番号の管理は、企業規模の大小を問わず重要な業務の一つです。
しかし、デジタル化や自動化の波が押し寄せる現代においても、日本の多くの現場では、昭和時代から続くアナログ的な管理方法が根強く残っています。
特に、物流や調達購買業務においては「製品番号の桁数増加」という一見ささいな変化が、大きな現場混乱を招くケースが後を絶ちません。
本記事では、現場目線で見た製品番号の桁数増加が招く物流ミスの実態と、その背景、そして今求められる業務改善のヒントを深掘りしていきます。

製品番号とは?現場での役割をおさらい

製品番号は「モノづくり」の共通言語

製品番号は、製造業の現場における共通言語ともいえます。
設計、生産、調達、販売、品質、物流——あらゆる部門がこの番号を通じて情報をやり取りします。
そのため、番号体系の設計と運用は、極めて慎重でなければなりません。

なぜ桁数が増えるのか?業界構造の変化と課題

グローバル展開や製品バリエーションの増加、IoT連携の進展などにより、従来の4桁〜8桁といった製品番号では番号が足りなくなるケースが増えています。
バリエーション展開、派生品管理、多言語対応といった要求に応えるため、10桁以上、あるいはアルファベットや記号を組み合わせた番号体系へ移行する企業が多いのも現代の特徴です。
この変化が、現場現物主義の日本型製造業に思わぬ落とし穴を生み出しているのです。

桁数の増加がもたらす「物流ミス」の実態

現場目線の盲点:数字が長すぎて現物確認困難に

たとえば、作業員がピッキング・検品時に伝票や現物の製品番号を照合するシーンを想像してください。
4桁や6桁であれば、目視での照合作業も1~2秒ですみますが、10桁や12桁ともなれば「見落とし」や「読み間違い」が急激に増えます。
1文字違いの別物を紛れ込ませて出荷してしまう、あるいは受け入れ間違いが起こる。
このような人的ミスは、製造・物流現場で急速に増加しています。

アナログ管理の限界:「コピー&ペースト」トラップ

未だにExcelや手入力台帳で受発注管理を行っている現場も少なくありません。
桁数が増えると、
・入力間違い(1文字抜け/1桁ずれ)
・前回のデータを流用してしまう
・左右どちらから読んでいるか混乱
といったヒューマンエラーが多発します。

また、部分一致や類似番号の混在による「似た番号のすり替え」事故も発生しています。
これは、システム側での部分検索や補完機能が裏目に出るケースもあり、桁数増加の副作用といえるでしょう。

端末現場での意外なトラブル:バーコード化にも落とし穴

製品番号の桁数増加に合わせて「バーコード運用」での効率化を目指す現場も増えています。
しかし、古いハンディ端末やプリンタでは長大な番号が正しく読み込めず、中途半端なデータで登録されるケースも散見されます。
また、バーコードの印字サイズが大きくなり、現物ラベルに貼りきれないといった物理的な問題も無視できません。

桁数増加の「背景」に見る日本の製造業の難しさ

「小さな現場力」を支えてきた管理文化の限界

日本の製造業は、昭和・平成期まで「現場の目」が物流リスクを補ってきた歴史があります。
短く覚えやすい製品番号、手元の紙伝票、現物照合。
しかし、多品種化・複雑化が進む現代、従来の「現場任せ主義」では対応できない時代に突入しています。

デジタル化の遅れが拡大するミスの規模

大手企業は基幹システム(ERP)でガチガチに情報管理するようになりました。
しかし、中小・下請けサプライヤーの多くは、依然としてアナログ帳票から脱却できていません。
製品番号の桁数だけが先行して業界全体に波及し、現場力の高い「職人流」モデルが通用しなくなる現象が広がっています。
いわば「昭和型現場管理」のまま、デジタル社会のルールに無理やり付き合わされているのが今の実態なのです。

グローバル取引の増加による制度変更圧力

海外サプライヤーとの協働や、国内でも多国籍系メーカーとの取引増加により、「自社独自番号+国際標準番号」の併用が求められる場面が増えました。
例えば、GTIN(JAN/EANなど)との紐付けで桁数が増大したり、アルファベットや記号の混入で、現場認識の精度が低下するといった混乱も生じています。

現場で起きるエラーの種類と実例

ピッキング時の誤出庫・誤納品

ある大手部品メーカーでは、製品番号が8桁から12桁に変更されたことで、「上から8桁だけを照合してOKと思い込み納品」してしまった事例が報告されています。
また、「上4桁は同じ製品系列だが、下8桁で派生品が管理されている」場合、現場の感覚では同一製品と混同しやすく、顧客からの返品・クレームに発展します。

仕入先・サプライヤー側での記入ミス

注文書・納品書作成の際、長い製品番号の転記間違いや、末尾2桁の打ち間違いが起こりやすくなっています。
さらに、FAXや手書き伝票を使っている現場では、数字の「1」と「7」、「0」と「O」といった形状が似ている文字の誤解釈も頻発します。

電子データと現物の不一致

基幹システムへのデータ登録時、桁数オーバーやサブコード管理を巡る仕様食い違いで、データと現物のラベルが一致しない事象も珍しくありません。
「システムでは12桁、現物ラベルは8桁までしか印刷できない」等、現場力とITシステムのギャップが表面化しています。

バイヤー・サプライヤーが取り組むべき業務改善策

短縮コード・略号の有効活用

全桁読み合わせを前提とせず、「本質的な部品識別」を満たす略号(サマリーキー)の運用も検討しましょう。
例えば、先頭や末尾の4桁でロットや派生品のグループを表すような体系にし、現場が混乱しない“シンプル表示”を推奨するアプローチです。

バーコード・QRコードの「運用標準化」

バーコードやQRコード運用を強化する場合、現場の端末・プリンタのスペック(何桁まで可読?印字サイズは十分?)を事前確認し、“桁数リスク”の抜け道をつぶしておきましょう。
また、「現物ラベルのどこに何を記載するか」などの表示ルール統一も有効です。

システム連携前提での番号設計見直し

古い社内システムや外部サプライヤ-システムでは、桁数制限(例:8桁までしか受け付けない)といった仕様がボトルネックになります。
「古い番号をサブコードで引当」、「変換テーブルを用意して新旧混在期間に対応」のように、現場に無理を強いない設計を再検討することが現実解です。

「現場ヒアリング型」への設計転換

製品番号の更新や新番号導入時には、まず現場担当者(物流・検品・調達・営業など)の声を聞いてから設計を進めましょう。
実運用と乖離した“机上の設計思考”が思わぬミスや混乱につながるため、常に現場のリアリティを吸い上げた改善活動が欠かせません。

まとめ:桁数増加は単なる仕様変更ではない

製品番号の桁数増加は、製造業全体の進化・多様化を象徴する現象です。
しかし、その“副作用”として、現場の目が届かなくなるミスリスクが急増しています。
バイヤーやサプライヤーは「システム化」「現場ヒアリング」「表示方法の工夫」など、現場目線と技術の両輪で「物流ミスゼロ」に挑み続けることが求められています。

昭和から続くアナログ文化と、最新IT・IoTの狭間で揺れる今だからこそ、「今まで通り」が通用しない現実を直視し、現場で実効性のある改善を進めなければなりません。
製品番号は単なるラベルではなく、現場コミュニケーションそのものです。
「番号を制する者が、物流を制する」——現場主義モデルの進化系として、ぜひ皆さんも新たな地平線に挑戦してみてください。

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