投稿日:2025年8月28日

冷凍食品のドアオープン回数と温度上昇の相関を管理する運用

はじめに:冷凍食品業界の現場課題とデジタル化の壁

冷凍食品の取扱量が年々増加する中、製造現場や物流センターでは「品質保持」と「省エネ運用」の両立が大きな課題となっています。
その中でもドアオープン、つまり冷凍倉庫やショーケースの開閉回数・時間の多さが直接庫内温度の上昇、ひいては商品の劣化や電力消費増大につながることは、現場を知る方なら誰しも実感されているはずです。

しかし多くの製造現場や流通の現場では、「ドアの開け閉めは現場の勘と経験が頼り」という状況が今なお根強く残っています。
デジタル温度ロガーや開閉回数センサーの導入が進む一方、それらが十分に活用・分析され、現場改善に結び付いていないのが実情です。

本記事では、昭和時代からのアナログな現場体質に染まりつつも、新たな管理手法を模索する方に向けて、冷凍食品領域での「ドアオープン回数×庫内温度」の相関把握と、効果的な運用のポイントを解説します。

なぜドアオープン管理が必要なのか? 現場でよく見落としがちな視点

冷凍食品で「ドアの開け閉め」に無頓着な現場が多い理由

多くの現場でドアオープンの管理が徹底されない理由は、そもそも「温度上昇=ドアの開閉回数の多さ」が直感的に見えにくいことにあります。
庫内の温度計だけで日常を回してしまい、「ドアは必要だから開ける」「多少温度が上がってもすぐ閉めれば大丈夫」という感覚が常識として定着しています。

しかし、ドアを1分余計に開けて庫内温度が2度上昇したまま商品を保管すれば、冷凍食品の持つ品質保持力は静かに大きく失われていきます。
また温度のちょっとした上昇が原因で、苦労して作り込んだ製造品質まで無に帰してしまう──こうした事例を私は現場で何度も目にしてきました。

ドア開閉が増える背景:人・動線・無駄作業の混在

ドアの開閉が多発する現場には、いくつかの典型的なパターンがあります。

・商品のピックアップの動線が非効率で、同じ庫内を複数人が何度も出入りしている
・新人従業員が業務を覚えるまで、必要以上に庫内に長居する
・一度にまとめて出し入れせず「ちょっと忘れたから」「あとで取りに来る」と再度開閉する
・在庫探しや現品確認でもたつき、結果として庫内の滞在と開閉時間が増える

こうした日常的なムダやタイムロスが、実は庫内温度保全・省エネルギーの大きな障害になっています。

”勘と経験”依存を抜け出す鍵:データドリブン運用への転換

従来の現場型マネジメントでは、「オンタイムで問題が顕在化してから対応する」後追い型が主流でした。
しかし、今日の市場に求められるのは「温度逸脱や劣化リスクの予兆を事前に検知し、能動的に対策する」プロアクティブな運用です。
その第一歩が「ドアオープン × 温度」の相関を可視化し、業務全体のボトルネック改善に取り組むことです。

実践事例:ドアオープン回数と温度上昇管理の現場運用

ここでは、冷凍食品メーカーや物流倉庫で実際に実践されている運用事例に基づき、ドアオープン管理の具体的なプロセスとポイントを解説します。

1. ドアオープンセンサー&温度ロガーの設置

まず最初のステップは、「何も記録がない」状態から脱却することです。
ドア開閉センサー(ドアスイッチ+カウントロガー)を各主要扉ごとに取り付け、1日単位・時間帯別で開閉回数データを収集します。
同時に、庫内の温度ロガーでデジタル温度記録を取り、どんなタイミングで温度上昇があるかを見える化します。

「大規模なシステム導入は難しい」「低コストで始めたい」という場合でも、後付けタイプのセンサーや省スペース型ロガーで十分スタートできます。

2. 相関分析と異常ポイントの特定

記録が蓄積されたら、次は「ドアオープン回数と温度上昇の相関」を時系列でグラフ化します。
ここで重要なのは、「どの曜日・時間帯・どの従業員の作業時に、突出してドア開閉や温度上昇が集中しているか」というパターンを検出することです。

現場では「13時~14時の交代直後に開閉が激増」「特定作業ラインのみ温度上昇が目立つ」といった実態が可視化されます。
この分析を通じて、「ただ開け閉めを減らせと言うよりも、どの部分にボトルネックがあるか」を現場で共有しやすくなります。

3. 検証→改善→再測定のPDCA運用

相関ポイントが特定できたら、実際に業務フローや人員配置、ピッキング順序などの改善策を試します。

例えば、
・「1回のピックでまとめて出し入れするルール」を制定
・庫内温度回復を待たずに次の作業をしないルールの徹底
・複数人同時作業での動線見直し
・庫内レイアウト変更による作業滞在時間の短縮
・無駄な在庫確認や現品探し削減のためのピッキングリスト精度向上

上記のようなポイントを、実際の温度&ドアカウントデータと照らし合わせながらPDCAを回します。
改善取り組みの前後で「ドア開閉回数が○%削減」「温度逸脱回数が40%減」など、効果を具体的な数字で示すことで、現場スタッフの意識改革も進みやすくなります。

現場で根付く“昭和型”運用をアップデートするには

「昔ながらのやり方」の功罪――実際の声と業界慣習

冷凍食品のみならず製造業の現場では、「自分たちが長年やってきた方法だけが正しい」という一種の保守性が強く残っています。

昭和世代が築いた「安全第一、品質第一」「機械任せより現場の手作業と目視が安心」という安心感は否定できませんが、イレギュラー対応やブラックボックス化した現場裁量が、結果として無駄な開閉・温度逸脱リスクを見逃しているケースが多いです。

「うちは30年以上このやり方で問題がなかった」
「細かい温度計測やドア管理は現場の負担だ」
「新しい機器やデータ分析なんてハードルが高い」

こうした声を現場からなくすには、「小さく始めて大きく育てる」ことと、データで“見える化”→納得→達成感へと意識を移すことが不可欠です。

「ボトムアップ型アプローチ」が現場浸透のカギ

トップダウンで「明日からドア開閉回数を減らせ」と指示するだけでは長続きしません。

現場で納得感を持ってもらうためには、
・実データの共有と「なぜ必要か」をストーリーで伝える
・担当従業員ごとの気づきやナレッジを現場ヒアリングで掘り起こす
・小さな成功体験(例:「1週間温度逸脱ゼロ達成!」)を称賛
・現場改善活動としてアイディア出し、意見交換の機会を作る

こうした「改善を自分ごと化」できる場作りこそ、アナログ業界へのデジタル運用定着の第一歩です。

ドアオープン管理の“先”に目指すべき現場の地平線

冷凍食品の供給網がグローバル規模で複雑化し、HACCPや各種GMP基準に対応するためにも、これからの現場には「“冷やす”技術力」に加え、「温度逸脱を科学的にマネジメントする力」が求められます。

例えば、
・AIによる庫内温度変動の予兆判定
・IoT連携によるリアルタイムアラート出力
・複数冷凍倉庫横断でのビッグデータ分析によるベストプラクティス発見

こうした未来志向の運用に備え、まず現場ひとつひとつが「ドアオープン×温度」の本質的な関係性を知り、納得感ある自律的運用へと進化することが、今後の業界発展の大きなカギを握ります。

まとめ:調達・購買・サプライヤー・バイヤー視点での活用ヒント

ドアオープン回数および温度上昇管理は、工場現場だけに関係する話ではありません。

購買部門に携わる方やサプライヤーの皆様なら、この取り組みを「商品品質の維持管理能力」「納入時の逸脱リスク低減」など、取引先への品質保証提案の材料に活用できます。

またバイヤーを目指す方は、
・現場の管理手法を理解して、仕入れ先選定のポイントにする
・管理データ有無を品質査定やサスティナブル視点から評価材料にする

といった、次代のバイヤーに求められる視座を養えます。

これからの製造業界に必要なのは、伝統や慣習をリスペクトしつつも、科学的なデータ運用を恐れず最前線に持ち込む“しなやかな現場力”です。
冷凍食品のドアオープン運用管理から始める「新たな現場革新」に、ぜひチャレンジしてみてください。

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