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SNS活用に踏み切った製造業が戸惑う社内の温度差

目次
SNS活用に踏み切った製造業が戸惑う社内の温度差
はじめに:なぜ今、製造業でSNS活用が求められるのか
長らく“モノづくりの現場”と称され、伝統的な働き方や価値観が根強く残る製造業。
しかしデジタル化の波は、例外なくこの業界にも押し寄せています。
そのなかでも近年特に注目されているのが「SNS活用」です。
SNSはB to C業界の専売特許のように思われがちですが、調達購買、生産管理、品質管理といった本流のB to B領域でもSNSによる情報発信や内外コミュニケーションの意義が見直されています。
技術トレンド・市場要望のキャッチアップ、新規パートナーの発掘、人材採用の裾野拡大、そして企業ブランドの醸成。
これら全てが、SNS活用によって新たなステージへとシフトチェンジ可能になるのです。
一方で、社内ではデジタルコミュニケーションや個の発信に対する温度差が噴出し、導入現場の担当者や管理職は苦心しています。
この記事では、昭和から続く製造業特有のアナログ思考・組織文化と、現代的なSNS活用推進との間に生じる“社内の温度差”について、実践的な観点から掘り下げていきます。
現場目線で分析―製造業のSNS活用の実態
「SNSで何を発信するの?」という根本的な疑問
多くの製造業企業がSNS活用に二の足を踏む理由の一つが、「うちみたいな工場、どんな情報を発信しても価値がないのでは?」という思い込みです。
伝統的な組織ほど、現場の日常や業務の改善にこそ価値が宿ると信じているため、外部発信には極めて慎重です。
しかし、調達購買部門での効率化、生産ラインの自動化、品質管理の現場改善などは、同業者や異業種からも大きな注目を集めるネタです。
ネット上で“製造業の知見”が手軽に得られる時代、「情報発信=自社PR」だけでなく、現場でのリアルな工夫や悩みのシェアこそが、次世代顧客・パートナーとの接点創出につながります。
トップ・現場・若手…温度差の本質
SNS活用に踏み切ろうとすると、次のような“温度差の壁”が現れがちです。
- 経営陣:「新しい取り組みは推進したいが、失敗リスクや評判リスクばかり気になる」
- 管理職:「自分たちの業務改善で手一杯。本当にSNSが必要なのか?」
- 現場作業者:「発信力もSNSリテラシーも自信がない。現場が見せ物になってしまう」
- 若手社員:「SNSネイティブだが、会社の“固さ”をどう壊してよいかわからない」
情報発信リーダーを任された中堅社員は、これら複数の温度に板挟みになり、戸惑いや孤独感に苛まれることも少なくありません。
昭和マインドとデジタルコミュニケーションのギャップ
「現場主義」と「共有の壁」
昭和的な製造業の現場は、「現場で起こることは現場で解決」「失敗や課題は外に出してはならない」という文化が根強く残ります。
また、知識やノウハウが“人”に属人化しているケースが多く、「社内SNS」やオープンな情報共有ツールの定着にも時間がかかります。
一方、デジタル時代のSNSでは「誰もが知恵と経験を持ち寄る」ことが常識となっています。
困っている人がいたら助け合う、課題意識をオープンに語り合う、ベストプラクティスを惜しみなくシェアする。
こうした文化は、日本独特の“内向き志向”から一歩踏み出す勇気を求められます。
リスク回避・慎重さが“推進力”を鈍らせる
製造業の管理職や経営層では、「発信による炎上」や「情報漏洩」などのネガティブイメージが強く、結果として「SNS活用の承認」自体が保留されることもあります。
これまでの品質事故やトラブル報道を経験してきた世代にとっては、“守りの意識”が先に立つのも無理はありません。
だが、こうしたリスクを一切取らない姿勢が、時代に取り残される最大要因になってきているのも事実です。
むしろ透明性の高い発信、誠実な情報共有が、中長期的には企業の信頼価値・ブランド力向上に寄与することを、トップ自ら認識する必要があります。
他の業界では当たり前―製造業の変革と新たな機会
購買・調達バイヤーがSNSから情報収集する時代
最近は大手の調達購買担当者が、LinkedInやX(旧Twitter)を積極活用しています。
たとえば新規サプライヤー発掘や技術動向の調査に、SNSが一次情報源となっているのです。
また、製造業の若手バイヤーは「公式サイトより、一次情報や現場の雰囲気が伝わるSNS」を信頼材料としています。
サプライヤー側もSNSで技術事例や現場改善の動画、従業員の声などを発信すれば、「こんな企業と取引してみたい」と相手に具体的なイメージを持たせることができます。
未だにFAXや電話だけに頼っているサプライヤーは、確実に新しいビジネス機会を逃していると言えるでしょう。
人材採用や新規顧客開拓にも直結
SNSでの積極的な情報発信は、人材採用にも直結しています。
製造業で働きたい、バイヤーを目指したいと考える学生や社会人は、今や企業の“中の人”から得る“リアルな声”を重要視しています。
企業理念や現場環境、育成姿勢や仲間意識は、SNSを通じて強く印象付けることができます。
また海外のサプライヤーやエンジニアとのグローバルな交流も、SNSなら瞬時に実現可能です。
これこそが、アナログ発想の殻を一歩破った企業だけが得られる、“新たな地平線”と言えるでしょう。
社内の温度差を乗り越えてSNS活用を成功させるには?
「知る」から始める―小さな成功体験の積み重ね
SNS活用の障壁は、“知らない”ことから来る不安です。
まずは経営陣・管理職に、他社の成功事例や最新業界動向を共有し、小さな範囲から実験的に取り組むのが効果的です。
たとえば、工場の日々の安全活動報告や、5S改善のビフォーアフター、調達先との協働エピソードなどを、社内SNSやクローズドなオンラインサロンで公開してみる。
現場から「こんなことまで外に出していいんだ」と実感が生まれれば、徐々に温度差は縮まります。
現場参加型プロジェクトで「全員が主役」に
SNS活用は、特定の広報担当やIT部門の仕事だけではありません。
現場作業者、若手社員、購買部門、品質管理、さらには経営層まで巻き込む「プロジェクト形式」で企画するのがおすすめです。
例えば、リーダーを若手に据え、ベテランは語り部役として経験を発信。
管理職や経営層も“社長自ら現場の様子をレポート!”のような定期配信を実施する。
誰もがSNSの“主役”となり得るという感覚を育てれば、温度差も次第に解消され、社内の一体感が生まれてきます。
リスク管理とルール整備も忘れずに
SNS活用で最も重要なのは、「やってはいけないこと」「許可が必要な情報」など、リスク管理の共通ルールを明文化しておくことです。
社内で想定問答や事例集を作成し、リスクを恐れず積極的に活用できる雰囲気づくりが鍵となります。
失敗や炎上事例も他社を参考に学び、「誠実に謝罪表現を行う」「誤解が生じたら風通しよく正す」といった初動対応力を高めておけば、大きなトラブルにはなりにくいものです。
まとめ:SNS活用によって、製造業の未来はもっと開ける
製造業に根強く残る昭和型のアナログ文化と、デジタルコミュニケーションとの間の温度差。
これは「乗り越えられない壁」ではありません。
事実、SNSを有効活用することで採用力や営業力、サプライヤーや顧客との新しいつながりが生まれ、現場の魅力も発信できる企業が増えてきています。
この壁を越えるのは、一人ひとりの現場感覚の変革です。
まずは「知る」「試す」「巻き込む」ことから始めてみましょう。
各部署での小さな一歩の積み重ねが、やがて大きな企業変革のうねりを生み出します。
SNSはただのデジタルツール以上の“変革の触媒”です。
今日から貴社、そしてあなた自身のSNS活用ストーリーを始めてみませんか?
現場のリアルな声は、いつかきっと次世代の新しい製造業の標準を切り開きます。