投稿日:2025年12月25日

ショットブラスト装置で使う配管フランジ部材の製法と漏れ課題

はじめに

ショットブラスト装置は、鋼材や金属部品の表面処理を行う上で欠かせない重要な設備です。
この装置の性能や信頼性を支えるのが、装置内部をつなぐ配管やフランジ部材です。
ところが、現場ではフランジ周辺からの漏れや腐食、部材の選定ミスによるトラブルが絶えません。
この記事では、製造業現場で20年以上培った知見をもとに、ショットブラスト装置の配管フランジ部材の製法や実際に現場で起きやすい漏れ課題、その対策について、現場目線で掘り下げていきます。
また、昭和から続くアナログ的な風土が色濃く残る製造現場の“あるある”や、近年の業界動向も交えながら、これからバイヤーを目指す方やサプライヤーの立場でバイヤー思考を知りたい方にも有益な情報を提供します。

ショットブラスト装置における配管・フランジ部材の役割

ショットブラスト装置の内部には、ショット(鋼球や砂など)の投射に関わる多くのダクトや配管部があります。
これらは装置の心臓部といえる重要な部品であり、金属表面の処理品質や装置の稼働率に直結します。
その接合部となるフランジは、よく「ただのパイプのつなぎ」と見なされがちですが、現場では些細な漏れや隙間が生産ライン全体の稼働停止リスクにつながる、極めて重要なポイントです。

フランジ部の構造と種類

主にJIS規格やANSI規格に準拠した標準フランジが使われますが、ショットブラスト装置では内部へのショット材飛散や摩耗リスクが高いことから、厚肉仕様や耐摩耗鋼を使った特注品も一般的です。
フランジの形状も、下記のようなパターンに分かれます。

  • プレーンフランジ(平フランジ)
  • レイズドフェイスフランジ(突起面)
  • ラップジョイントフランジ(ルーズフランジ/緩衝用)

現場ではこれらの役割や使い分けのノウハウが熟練工の間で口伝されており、図面だけでは表せない“現場目線”の知恵が求められる部分です。

フランジ部材の主要な製法について

バイヤーや調達担当が失敗しやすいのが、「どの製法のフランジを選定すべきか」という判断です。
コストばかりを追い、適切な製法を見落とすと、思わぬ漏れやトラブルを招きます。

1. 溶接リング+プレス成形

中~大口径で量産する場合に使われる主流の製法です。
ベースとなる鋼板から円筒・リング状の部材を切り出し、プレスでフランジ面を成形した後、溶接でつなぎ合わせます。
コストは抑えやすいですが、溶接部の品質管理や、面粗度・平面度の確保が要になります。

2. 鍛造(フリー鍛造・型鍛造)

小~中口径で高強度、耐摩耗性が要求される部分に有効です。
一体モノで組織強度が高く、表面処理によって腐食・摩耗にも強いですが、コストは高く、納期も長めになりがちです。
特にショット材が頻繁にぶつかる箇所では、鍛造製法を指定することが安心です。

3. 鋳造(鋳物フランジ)

大口径で複雑な形状や肉厚が必要な場合に重宝します。
ただし、鋳物はピンホールや表面粗度のバラつきが課題で、気密性や強度管理に注意が必要です。
工場によって鋳造精度が大きく異なるため、バイヤーは納入実績の豊富なメーカーを選ぶべきです。

現場で頻発する「漏れ」課題の実態

昭和の時代から今なお残る“現場あるある”ですが、ショットブラスト装置のフランジ部は、10年20年使い続ける中で何度となく漏れトラブルを経験します。
その原因の多くは、単なる「パッキン劣化」だけでなく、配管やフランジ部材選定そのものに根本原因が潜んでいます。

配管・フランジ漏れの要因

  • パッキン材質のミスマッチ(温度・薬品・摩耗不適合)
  • 組立時のボルト締付け不良(締め過ぎ・不足・順番ミス)
  • フランジ面の粗度不良(溶接焼け・面荒れ・錆び付き)
  • ショット材による摩耗・打痕
  • 装置振動・熱膨張によるゆるみ・変形

現場では、「とりあえず規格品で・・・」という思考停止的な発注がトラブルの温床になります。

本質的な原因を見極める目

昭和のアナログ現場では、トラブルが起きると「増し締めしろ」「パッキン交換だ」と応急対応で済まされがちです。
しかし、再発が繰り返されて初めて、「本当にこの材質・製法でよかったのか」「ショット材の粒度・流量による摩耗想定が甘くなかったか」と根本原因分析が求められます。

このあたりは、デジタル世代や新人バイヤーよりも、むしろベテラン現場監督の“感覚的ノウハウ”が生きる部分であり、現場と設計・調達との綿密な連携が不可欠です。

ショットブラスト専門現場での成功実践例

筆者が経験した改善事例のひとつを紹介します。

経緯

某自動車部品工場で、年間数度ペースで「漏れ停止」が発生。
部品調達は『過去と同じ図面・メーカー』を惰性で踏襲していたため、現場は「いつも同じトラブルの繰り返し」と諦めムードでした。

対策

  • 配管経路の途中で、摩耗・振動が集中する箇所を特定。
  • その区間のみ、鍛造耐摩耗フランジ+グラファイト系パッキンに仕様変更。
  • さらに、ボルト締め付けトルク管理を徹底(トルクレンチ化と定期点検)。
  • 定期的にボルト・パッキンの状態を点検し、早期発見・交換ルールを徹底。

結果

設備停止が年間1回以下に大幅減少し、稼働率・品質安定度も向上しました。
「現場の声」と「技術的根拠」をつなぐ場を設けたことで、バイヤー・現場の双方が“同じ目線”で設備信頼性向上を目指す文化が芽生えるきっかけともなりました。

近年強まる「見える化」と予防保全の潮流

デジタル化が進む昨今、「いつ・どこが漏れるか」を設備IoTで見える化し、予兆保全につなげる動きが広がっています。
漏れセンサやパッキン摩耗センサなど新技術が投入され、予防保全の高度化が業界のトレンドとなっています。

しかし、アナログ現場ならではの「音・におい・振動」など五感で感じ取る異常の兆しも決して軽視できません。
本質は、データと現場感覚を両立させ、「どこが最もリスクなのか」をバイヤー・現場双方が数字=言葉で共有することです。

これからのバイヤー・サプライヤーに求められる視点

昭和から続く“なあなあ”調達では、グローバル競争に勝てなくなっています。
これからのバイヤーやサプライヤーには、以下のような新たな視点が欠かせません。

  • 現場に足を運び、実際の摩耗・腐食状況を自分の目で確かめる(机上判断しない)
  • 「なぜこの仕様なのか?」を根拠とともにメーカー・設計部門と議論する
  • 付加価値(納期短縮・ライフサイクルコスト・環境負荷低減)まで踏み込んで提案する
  • 現場のアナログ知見を、誰もが活用できるデジタル標準(ナレッジ)化する

まとめ

ショットブラスト装置で使われる配管フランジ部材は、その製法や仕様の選択ひとつで、設備全体の信頼性やコストに直結します。
現場で頻発する漏れ課題は、決して「パッキンのせい」だけでは語りきれません。
部材調達の段階から現場との対話を密にし、摩耗・腐食・熱膨張など設備リスクを先回りして防ぐ視点が、今後さらに価値を増していくでしょう。
昭和の現場知見と新しいデジタル技術、両方の“いいとこどり”をしながら、自社の競争力強化・顧客価値向上を目指してください。
これからバイヤーを目指す方、サプライヤー側としてバイヤーのニーズを深く知りたい方のヒントになれば幸いです。

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