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ショットブラスト装置で使う照明カバー部材の製法とショット衝突問題

目次
ショットブラスト装置で使う照明カバー部材の製法とショット衝突問題
ショットブラスト装置は、金属表面の洗浄やバリ取り、表面粗化など多岐にわたる工程で欠かせない重要な設備です。
その内部で用いられる照明カバー部材も、作業環境維持や安全面で非常に大切な役割を果たしています。
しかし、アナログな工程が根強く残る製造業現場では、この照明カバーの「ショット衝突問題」が見過ごされがちです。
本記事では、長年現場で培った経験をもとに、照明カバー部材の製法選定とショット衝突対策について、実践目線で解説します。
ショットブラスト装置と照明カバーの役割
ショットブラスト装置の基本構造
ショットブラスト装置は、高速で金属ショット(例えば鋼球やガラスビーズなど)をワーク表面に衝突させることで、油分やサビの除去、表面の粗化といった加工を行います。
密閉されたチャンバー内での作業となるため、内部の視認性を確保する照明は必須です。
この照明器具にはショットや粉塵などの厳しい環境から守るための「カバー」が必要不可欠です。
照明カバー部材の主な役割
照明カバー部材の役割は大きく分けて以下の3つです。
1. 照明本体の保護
2. 内部作業の視認性確保
3. 装置内環境からの照明器具寿命延長
特にショットが直接飛散するブラスト室内でのカバー選定は、現場のランニングコストや安全性に直結します。
照明カバー部材に求められる要件
強化ガラス・合成樹脂の比較
従来は強化ガラスが主流でしたが、近年は割れにくい合成樹脂系部材(ポリカーボネートやアクリル)も選択肢に上がるようになりました。
それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
・強化ガラス
- 耐熱性・耐薬品性に優れる
- 高強度だが一点集中荷重や衝撃にはやや脆い
- 割れると飛散リスク
・合成樹脂(ポリカーボネート等)
- 強い耐衝撃性(同じ厚みならガラスの約200倍)
- 軽量で割れにくい
- 長期の耐薬品性や耐熱性ではガラスに劣る場合も
現場ではこれらの特性を理解し、照明カバーの設置箇所やメンテナンス頻度、コストなどと照らし合わせて部材選定を行う必要があります。
ショット衝突に対する実際の課題
ショットブラスト装置では毎分数百キロを超える高速ショット(0.2~3.0mm)が絶えず内部を飛び交い、照明カバーにも容赦なく当たり続けます。
これによる課題は下記の通りです。
– 照明カバーの割れやすり傷による視界不良
– 粉塵付着による透過率低下
– 割れたカバーの破片混入
– 頻繁な交換によるコスト増
一見地味なトラブルですが、これを見過ごすと製品不良や装置ダウンタイム、労災リスクなど深刻な障害を引き起こすこともあります。
照明カバー部材の主な製法と最適選択肢
1. 強化ガラスの成形と採用ポイント
強化ガラスカバーは、フロート法やプレス成形で成形後、熱処理で強度を高めます。
掃除もしやすく、油や薬品にも強いため、ブラスト時に高温になる工程や薬液洗浄を併用するラインでは非常に優れた選択です。
ただし、ショット衝突によるスタークラックや一点集中荷重による欠損には注意が必要です。
現場では板厚増加や安全フィルム併用、ガードネット取り付けなどによる対策がよく採用されています。
2. ポリカーボネート(PC)など樹脂成形の現場活用
近年重視されているのが、ポリカーボネート(PC樹脂)を活用したカバーです。
射出成形や押出成形でカスタム形状に対応でき、強い衝撃や連続的な衝撃にも割れにくいのが特徴です。
重量も軽く、メンテナンス作業を頻繁に行う現場では特に重宝されています。
一方、経年での黄変や、油や薬品が揮発する環境下では性能劣化への管理が重要です。
これに対し、耐候・耐加水分解グレードのPC樹脂や、コーティング技術の発展で実用性が急速に高まっています。
3. アクリル・PETなど他樹脂の選択肢
コストを抑えたい場合にはアクリル(PMMA)やPETも候補となりますが、やや傷がつきやすく、連続的なショット衝突には耐えづらい傾向があります。
透明度と加工性の点では依然として強みがありますので、衝突頻度が比較的低い箇所、または使い捨て前提の小型設備などでは検討対象にできます。
しかし「とりあえず安くすればよい」という選定は全体最適を阻害しやすいため、慎重な検討が求められます。
ショット衝突問題への現場的アプローチ
設計段階からの根本的対策
照明の配置をシールド部や壁際にオフセットする、照明カバー前面に「保護シールド」やワイヤーメッシュを設置するなど、メンテナンス負荷を抑える設計変更が有効です。
また最近では超薄型LED照明自体をブラスト部外に配置し、ファイバーや導光板で室内に光を届けるという工夫も現場改善事例として増えてきました。
部材交換サイクルの最適化
部材自体を従来の「壊れたら交換」から「一定時間または一定ダメージで予防交換」へと運用ルールを変えることで、突発トラブルを最小化できます。
そのためにも現場では、交換記録や劣化状況の見える化が極めて重要です。
IoTを活用した照明カバーの稼働データ取りや、検査カメラ画像による表面劣化判定の自動化など、先進現場ではすでに実装段階に入っています。
素材転換のタイミングと現場教育
「ずっとガラスだったから…」、「先代がこう決めていたから…」という理由だけで設計を固めるのは昭和的な発想です。
生産ラインの高効率化や安全向上の大きなきっかけになることも多いため、一度現場工員や調達・メンテ担当者と現物サンプルを使って“素材比較会”を実施してみましょう。
納得して現場が動けば、その後の運用や事故発生時のリカバリーも大きく変わってきます。
調達・購買バイヤー視点の素材選定ポイント
総コスト(TCO)の把握
単純な材料費だけで判断すると、トータルコストを見誤ることになります。
特に交換作業の人件費や生産ダウンタイム、事故リスクなど見えにくいコストを加味し、「壊れないものを高く買う」か、「安くて早く交換できるものを選ぶ」か現場運用とすり合わせることがバイヤーに求められます。
サプライヤー側からバイヤーへのアプローチ
サプライヤー側も、単純な値引き交渉に終始せず、ユーザー現場に入り込んで労務効率や故障履歴データなども含めた提案力が求められます。
現場目線で「御社ならここが一番困っているのでは?」と要点を捉えられれば、購買決定者の評価は格段に上がります。
また、アフターサポートや交換サイクル管理の仕組みもセットで提案すると、長期取引への道が開けます。
まとめ:次世代工場への第一歩は“小さな改善”から
照明カバー部材ひとつ取っても、製造業の現場では昭和的な「思考停止」が根強く残っています。
しかし、ちょっとした部材選定や現場運用の見直しが、結果的に全体最適を生むことも珍しくありません。
失敗例も含めて現場とサプライヤーが率直に情報を共有し、最適な製法や素材、交換サイクルの導入を促進すれば、古き良きノウハウと新しい技術のハイブリッドが必ず起こせます。
本記事が、製造現場での改善やバイヤー・サプライヤーの相互理解、さらには産業界全体の品質底上げの一助になれば幸いです。
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