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環境対応型OEM消耗品を企画する際の市場動向と事例

目次
はじめに――製造業の未来を切り拓く環境対応型OEM消耗品の企画
近年、製造業界における「環境対応」は避けては通れない大きなテーマとなっています。
特に、消耗品を扱うビジネス——その中でもOEM(相手先ブランド名製品)領域では、環境規制や顧客からのリクエストを背景に、従来の常識を覆すようなイノベーションが求められています。
「環境対応型OEM消耗品をどう企画し、どう市場に合わせていくか」。
この課題は、単なるモノづくりだけではなく、サプライチェーン全体の再定義や、バイヤー、サプライヤー双方の意識改革までをも巻き込む広がりを見せています。
この記事では、製造業現場の実体験を交えつつ、昭和的なアナログ体質の業界動向と最新の取組み、そして実践的な企画事例まで掘り下げます。
- これからバイヤーを目指す方
- サプライヤーとしてバイヤーの「本音」を知りたい方
- そして、現場を知り尽くした製造業従事者
こうした皆さんに向けて、環境対応型OEM消耗品企画のヒントと視点を提供します。
製造業における環境要求の高まりとOEM消耗品への影響
ESG経営とサステナビリティ:顧客ニーズの変化
かつては価格と品質が最優先だったBtoBメーカー向け消耗品市場ですが、2020年代に入り、調達現場の価値基準が劇的に変わりました。
たとえば、大手自動車メーカーでは部品や治工具、潤滑油、紙ウエス1枚に至るまで、CO2排出量(カーボンフットプリント)の計算を求められるケースが増えています。
中小メーカーも無視できません。
昭和から続く「安ければいい」「使えればいい」という発想は、サプライヤー選定から徐々に淘汰され始めています。
これらは環境対応―たとえばリサイクルや省資源、脱プラ(脱プラスチック)、グリーンマテリアル化の要件が影響しています。
バイヤー視点:調達ポリシーの変化
OEM消耗品の調達バイヤーの頭の中はこうです。
「うちのエンドユーザー(自動車・家電・精密機器メーカー)はCSR/ESG目標を掲げている」
「環境対応品の比率を上げるよう、経営層から圧がかかっている」
「法令順守(国内外のRoHS・REACH・プラスチック規制)を免れない」
こうした背景から、従来まで「どこでも買える」「安い」「大量生産」の消耗品に対して、「環境配慮」「トレーサビリティ」「廃棄ルート」まで含めて確認する動きが活発化しています。
つまり、サプライヤーのあなたが『環境対応型OEM消耗品』を新たに企画する際、調達バイヤーに「刺さる」視点を持たねばならない時代となりました。
環境対応型OEM消耗品企画のポイント
ポイント1:材料選定の「深化」とサプライチェーン可視化
環境対応型OEM消耗品を生み出す最初の一歩は、原材料の深掘りです。
従来は「コスト最優先」で素材を選んでいたかもしれません。
しかし今は次の観点が加わります。
- 再生材(リサイクルプラスチック、再生紙、再生金属など)の活用率
- バイオマス原料の採用可否と技術的優位性
- 生分解性やリサイクル性、新素材の研究動向
- サプライチェーン全体でのマテリアルフローの透明化
ここで意外と注視したいのは、「昭和的な現場ネットワーク」です。
アナログな業界ほど、地場の素材サプライヤーや一次・二次下請けの持つ独自技術——たとえば廃棄物再生ノウハウや地元産業クローズドループ(地産地消型リサイクルなど)——に宝が眠っています。
ポイント2:規格要件と法規制の変化を「先読む」
やっかいなのは、「規格」「法規制」の波です。
例えば2020年代以降、EUを中心とした環境ラベル要件やRoHS/REACH規制、日本国内ではプラスチック資源循環法の影響が急増しています。
調達バイヤーが動く前に、「今後2~3年で消耗品市場にどんな法規制・認証制度が迫ってくるのか」を事例や官公庁の情報から事前にキャッチすることが肝です。
OEM消耗品の場合、「こう仕様変更をしたい」「新規認証を取得したい」という射程を、下請け企業や地場工場も一丸案件として取り組むことで、他社に先駆ける武器になります。
ポイント3:コスト管理と価値提案のバランス
「エコ化すると高くなるのでは?」という昭和的思考は否定できません。
現場目線で企画を成立させるには、LCC(ライフサイクルコスト)やTCO(総所有コスト)の発想で、提案力をつけるべきです。
たとえば「紙ウエス」の例でいえば、
「定番と同コスト帯で、廃棄後にメタン発酵し肥料化できる→工場内緑地の維持費削減も可能」
「再生紙95%の印刷用紙→資源循環アピールがISO14001審査の得点になる」
こうした「使った後」や「付加価値」を提案することで、単なる価格競争から脱却できます。
具体的な消耗品分野での環境対応事例紹介
事例1:生分解性潤滑油のOEM品企画
従来、潤滑油は鉱物系・合成系が大半を占めていました。
しかし建設機械、大型農機メーカー向けに「生分解性潤滑油」OEM需要が拡大。
国交省や自治体案件では、油漏れ対策や水質保全の観点から「指定調達品」になる例も。
生分解性潤滑油をサプライヤーとしてOEM開発・納入する事例では、以下のような動きが見られます。
- 地場企業が国産菜種油などバイオマス原料に独自添加剤を配合し環境性能UP
- 調達バイヤーから「使用後回収・リサイクルスキーム」の提案依頼
- 仕様変更で耐摩耗性・低温流動性を実現し、欧州自動車メーカーの調達条件をクリア
現場では、潤滑油タンクや給油設備の洗浄管理プロセスまで「環境管理」の対象として見られる点が昭和型の工場管理との大きな違いです。
事例2:廃プラ再生パレット・コンテナのOEM開発
物流部門で年間数百万枚単位の使用があるパレット・コンテナ。
ここでも「環境対応型」へ切り替えが進んでいます。
参入サプライヤーは、
- 産廃として回収したストレッチフィルムや古パレットを自社粉砕・再成形
- OEM先ごとに形状・色分けを変えた独自パレットを納入、多段階QC管理で再生材クレーム低減
- 元請けの標準仕様(JIS Z 0602ほか)を超える「強度・軽量化・CO2削減量」で各種認証を取得
ポイントは、「回収率」「CO2排出量削減データ」など数値データを添え調達部門に提案すること。
単なるモノ売りから“環境価値売り”への転換が収益チャンスとなっています。
事例3:分別・回収前提の包装材消耗品のOEM化
製品パッケージや梱包用の消耗品も環境化の波が押し寄せています。
たとえば大手食品メーカー向けでは、
- ラミネートフィルムを「モノマテリアル」へ変更し分別回収促進
- バイオマス70%配合のOEMフィルムを受託生産
- 出荷先ごとに「リサイクル率」「廃棄費削減額」をデータで納品
現場では、昭和型の「とりあえず従来型包装」の再設計に苦労しつつも、環境要求を逆手に取った新商材開発が進んでいます。
OEM消耗品における製造現場・管理職の実践的アプローチ
現場管理者の役割:意識改革と「仕組み」重視
工場長や購買部門の管理職に求められるのは、「現場主義」の徹底とマインドセットの刷新です。
特に昭和的な「なあなあ受発注」「現場任せ」で止まっていた消耗品領域こそ、
- 月1回のサプライヤーミーティングで環境認証やCO2算定の進捗確認
- QCサークル活動に環境目標を組み込む
- 現場の班長を巻き込んだ廃材・消耗品分別トライアル実施
このようなプロセス重視のアプローチが、バイヤーやエンドユーザーからの評価にも直結します。
サプライヤーの打ち手:現場密着型の提案営業と関係構築
OEMビジネスは「価格」「納期」だけが勝負ではありません。
むしろ「初回納入後の継続改良」「現場生まれの改善要望への迅速対応」「廃棄・回収スキームの運用実績」など、現場密着型のPDCAサイクルが強みとなります。
また、現場に根付く昭和的なネットワーク(たとえば町工場や協業会)は、新製品のアイデア発掘や技術連携先として不可欠な武器です。
まとめ――OEM消耗品は「環境対応」で生まれ変わる
昭和時代の大量消費・安値競争から、2020年代の「環境対応型」銘柄競争へ。
OEM消耗品の分野は、ともすれば業界の常識や惰性に埋もれがちですが、いまこそ現場目線の知恵を存分に活かす場面です。
調達バイヤー、サプライヤー、そして現場リーダー……。
立場は違えど、全員が「環境価値を提案」「仕組みで管理・運用」「顧客目線で進化」へと舵を切ることで、日本の製造業は新たな地平に進むことができます。
今のアナログな現場においても、小さな一歩——材料の見直し、使い方・廃棄の工夫、そして仕組みの改善——が、やがて業界を変える大きな波になります。
「環境対応型OEM消耗品」は、単なる商品開発を超えて、サプライチェーン全体の成長エンジンとなるのです。
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