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投稿日:2026年2月1日

MAと営業プロセスの連携が取れない現場

MAと営業プロセスの連携が取れない現場

はじめに:製造業の現場で進まないMAと営業の連携

デジタル化の波が製造業界にも押し寄せて久しいですが、実際の現場ではマーケティングオートメーション(MA)と営業プロセスの連携がなかなか進まないという課題が根強く存在します。

特に、昭和から続くアナログな商習慣や企業文化が色濃く残る製造業の現場では「MA?なにそれ、美味しいの?」という反応すら珍しくありません。

私自身、長年調達購買や生産管理、品質管理の現場で、紙とFAXと根性の世界を経験してきました。

その中で身をもって感じるのは、便利なツールを導入しただけでは現場は何も変わらないという現実です。

なぜMAと営業がうまく連携しないのか、そして現場がどう動くべきか。

製造業のリアルと未来の可能性を、現場目線で深堀りしていきます。

1. MAとは何か?製造業での役割

MA(マーケティングオートメーション)の基本

MAとはマーケティング活動の自動化ツールです。

Webやメールを活用し、見込み客(リード)の情報を収集・選別・育成し、営業部門へ最適なタイミングで引き渡す仕組みづくりを担います。

本来、営業プロセスの上流をなめらかにし、営業効率や成約率を最大化できるはずのものです。

製造業ならではのMA活用の難しさ

ところが「モノづくり現場」には独自の事情が多く、MAの普及や現場への定着は思ったほど進んでいません。

それはなぜか。

まず、見込み客の“情報化”が他業界より遅れている点。

顔の見える昔ながらの取引スタイルが続き、OUTLOOKのアドレス帳が全て、という営業担当者も少なくありません。

また、「見込み顧客リスト」という概念に対しても、「誰がどこまでホンキのお客様なのか」に明確な線引きがなく、営業や技術部門が経験と勘で進めてきた面があります。

これがMAツールの定着にブレーキをかけています。

2. なぜ連携が取れないのか?現場事情のリアル

現場に根強い“アナログの壁”

工場や営業所では、今も紙やエクセルで管理している情報が多いです。

「エクセル方眼紙に毎朝手書きで進捗を書き込む」「電話とFAXが命綱」という現場はザラにあります。

こうした日常の積み重ねが「便利なデジタルツール?難しいことより今を回すのが最優先」という日々のオペレーションを生みます。

MAから営業組織へ、リード(見込み客の情報や温度感)を自動で流そうにも、社内のデータ形式が不統一、情報の粒度がバラバラ、場合によっては誰も責任をもって管理していない——こうした雑多な事実が連携を阻んでいます。

営業とマーケの“分断”

そもそも「営業部門」と「マーケ部門」が水と油のように分断されがちなのも、製造業の構造的問題です。

営マー一致が叫ばれ始めたのはここ10年のこと。

大手メーカーでも「そもそもマーケティング担当は営業の補佐。現場に商品資料やチラシを作ってもらえれば十分」と考えられてきました。

営業個人の属人性に頼った案件創出・受注スタイルが根深く残っているため、「MAで獲得したリード」と「営業現場で拾い上げた生案件」にすぐに壁ができてしまいます。

「このリード、本当に案件になるのか?」と疑う営業。

「折角獲得したのに、なぜ営業は追客しない?」と嘆くマーケ。

両部門の溝は深いのです。

成功が共有されない現場のジレンマ

仮に、部分的にMAで成果が出たとしても、それを現場全体の成功体験として共有・拡張できる環境がつくられていません。

結果、既存のやり方に安住したまま「これ以上効率化を求められるのはしんどい」「むしろ新しいツールは現場の手間を増やすだけ」とネガティブなムードが醸成されます。

3. 連携強化のための処方箋:ラテラル思考で打開する

現場主導で「小さく始める」

一発逆転の魔法の杖はありません。

しかし、現場に染み付いたアナログ文化を無理やり壊すのではなく、まず「納得できる、ミニマムな改革」から始めることが有効です。

例としては、

– MAツールに「営業が使いたくなる」一工夫を加える(例:紙で受けた名刺をスマホ写真で即MAにアップ)が挙げられます。

– 営業現場で「これは使える」と思える情報(技術コラム、製品比較資料、事例紹介など)をコンテンツ化し、MA側でリードの関心度に応じてレコメンド配信。

– 定量測定できるKPI(受注案件数やリード育成数、メール開封率)を部門横断で可視化し、週1回でも営業・マーケ混成の意見交換会を実施する。

これらを「まずは2~3人のチーム」で試し、現場の声とデータをPDCAに活かして、徐々に現場全体へ広げていくことが大事です。

属人営業×デジタルで「新しい地平線」を開く

紙とFAXと電話——属人営業の泥臭い活動は、決して全否定すべきではありません。

むしろ「昭和型商習慣の強み」と「最新デジタル」の掛け合わせこそが、大規模な変革のヒントになります。

現場のキーパーソン(営業部長やラインリーダー)が、
「これなら現場で続けやすい」
「データ取得がラクになって、日々の行動改善に役立つ」
と体感できる仕組みをMAとフロントのつなぎ目に用意する。

たとえば営業現場の動線に合わせてタブレットで使える名刺管理・案件進捗共有アプリを限定展開し、
「紙の名刺をスマホでパシャ」は抵抗なく取り入れられます。

やがて営業現場側に「自分たちもデジタル活用し、現場知見を営業効率やマーケ活動に活かしたい」という機運が高まってきます。

ここで重要なのは、「やらされ感」ではなく「自分たちで今よりラクで成果にこだわれる流れを作る」ことです。

ラストワンマイルにこそ「現場カイゼン」が効く

どんな立派な顧客データベースや立案された営業戦略も、実際に受注を勝ち取る瞬間——“ラストワンマイル”で崩れることが往々にしてあります。

ですので、デジタル連携の検討時には、現場で何がボトルネックになっているか、
「どこからなら紙がデータに変わるのか」
「どこでなら営業がMAを使いたいと思うのか」
を徹底的に現場目線で深堀りします。

たとえば「新規顧客との面談直後にスマホでヒアリング内容をチェックリスト入力→MA自動登録→見込み度別に営業や技術へ配信」など、最後の一歩を現場好みにアレンジする。

こんな地道な現場カイゼンが、全社的な連携強化の一歩となります。

4. バイヤー・サプライヤーの視点から考えるMA活用のヒント

バイヤー(調達担当者)の思考パターン

バイヤーを目指す方、またはサプライヤーとしてバイヤー対応をされている方にとって、マッチする情報が欲しい、商談プロセスをスムーズにしたい、これは大きな課題です。

MAを活用すれば、
「どんなビジネストレンドに関心があるのか」
「今後調達する部品や製品に、どんな要求や課題を持つのか」
といったバイヤー心理の“温度感”をタイムリーに可視化できるチャンスがあります。

たとえば、
– 技術動向ニュースや調達成功事例をメールで自動配信、開封率の高いバイヤーを抽出する
– 見積依頼や各種問い合わせをMA経由で整理し、効率的で個別性の高い対応を実現する

これらは、サプライヤーが主体的に「バイヤーが知りたいこと/困っていること」を先取りして情報提供するための土台になります。

営業プロセスを強化する現場主導の現実解

現場担当者が得意とする「このお客様には、こういうトピックが効く」という“引き出し”を、MAシナリオの中に数多く組み込む。

営業が直接体験した現場事例や不満、バイヤーの声を“定型化”し、再現性のあるマーケ施策に生かすことで、組織全体の営業プロセスが一皮むけます。

まとめ:現場知見×デジタルで製造業の新時代を切り拓く

MAや営業プロセスの連携強化が進まない——この製造業界共通の悩みには確かに“昭和的アナログ”という厚い壁があります。

しかし、その壁の中にこそ現場知見、多層的な人間関係、連綿と続く実務ノウハウなど、伸ばせる強みがたくさん埋まっています。

ラテラルシンキングで現場の良い部分にデジタルのエッセンスをかけあわせ、小さく、具体的で、現場が納得して成果を感じる一歩から始めましょう。

MAと営業プロセスが現場レベルで密に連動することで、昭和の知恵と令和のスピードがフルに発揮される新しいものづくりの時代が必ず訪れます。

現場力を信じて、一緒にその第一歩を踏み出しましょう。

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