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ビーチサンダルOEMが夏季売上を最大化するEVA配合とカラバリ展開

目次
はじめに:ビーチサンダルOEM市場の現状と課題
ビーチサンダルは、夏の定番商品として消費者に高い人気を誇ります。
特に近年、ビーチアパレルだけでなく、ファッションアイテムやライフスタイル雑貨の一部として様々なシーンで利用されるようになりました。
その一方、OEM(他社ブランドによる製造受託)市場では、価格競争や商品ラインナップの差別化不足といった課題が顕在化しています。
多くのメーカーがコスト削減を追求する中で、独自性を出すことに頭を抱えることも少なくありません。
さらに、昭和から続く「大量生産・一括納品・売り切り型」ビジネスモデルが根強く残るため、現場では柔軟なマネジメントやイノベーションが進みにくい傾向もみられます。
本記事では、20年以上の現場経験を活かしつつ、ビーチサンダルOEMの夏季売上を最大化するために必須となるEVA配合技術と、カラーバリエーション展開のポイントについて、実践的かつ現場目線で深掘りします。
ビーチサンダル市場でEVA素材が選ばれる理由
コスト競争を勝ち抜く「軽さ」と「耐久性」
かつてビーチサンダルの主流素材はPVC(ポリ塩化ビニル)やラバーが中心でした。
しかし近年は、EVA(エチレン・ビニル・アセテート)素材への切り替えが顕著です。
EVAは同等の耐久性を持ちながら、圧倒的な軽量性とクッション性を実現できるというアドバンテージがあります。
実際、同サイズ・同形状のビーチサンダルでも、EVAを用いることで製品重量を20~30%カットできる場合も少なくありません。
この「軽さ」は、消費者への訴求ポイントになるだけでなく、物流コストの削減や、大量納品時のハンドリングの効率化にも直結します。
また、EVAはリサイクル性が高く、環境配慮型商品としてSDGsトレンドにも対応しやすい素材です。
特にヨーロッパ圏向けのOEM案件では、「環境配慮型マテリアル」へのこだわりが強く、その点でもEVAの優位性は今後さらに高まっていくと考えられます。
OEMに求められる3つのEVA配合ポイント
OEMで重要になるのは「安定品質」と「差別化」の両立です。
ビーチサンダルの場合、EVA素材の配合比率や添加剤の調整によって、履き心地・柔軟性・耐久性・発色などが大きく変化します。
これらを現場目線で説明します。
- 適度な硬度と反発性の両立
EVAは配合比率次第で柔らかくも硬くもなります。安価を追求し過ぎて柔軟性が低いと「履き心地が悪い」と苦情が出ます。OEMではサンプル段階で硬度テスト(ショアA70前後など)を必ず実施し、バイヤーやブランドオーナーとイメージ擦り合わせを重視しましょう。 - 発色性と耐色性の担保
カラバリ展開には発色の良さと耐紫外線性能が不可欠です。顔料選定やウルトラバイオレット(UV)吸収剤の添加など、現場主導で調整しなければ、真夏の強い日差しで色褪せしやすくなります。 - 低コスト設計とのバランス感覚
EVAの配合比率を下げてコストだけを優先すると、経年劣化やスレ、割れといった品質トラブルに繋がります。自社の生産設備特性や練り配合ノウハウを活かし、妥協しないバランス設計を目指しましょう。
バイヤーが最も重視する「カラバリ展開戦略」
売り方を左右するカラバリ設計の現場的極意
夏季のビーチサンダル商戦では、「カラバリ」が最大の武器となります。
特にOEM案件の場合、ブランド様側から「ターゲット属性ごとに最適なカラー提案ができるか」と問われるケースが増加しています。
昭和的な「赤・青・黒…3色だけで大量生産」という画一的な商習慣は、Z世代中心のトレンド消費者や多様性を重視する海外市場にはマッチしません。
ここにラテラル思考で切り込むと、「単なる見映え」ではなく「使われ方」「流通先」「販促企画」と色を紐付けることが重要です。
例えば、
- 旅行会社向け:リゾートに映えるターコイズ・サーモンピンクなど限定色
- ファミリーチェーン向け:キッズと親子コーデ可能なペアカラバリ
- スポーツブランドコラボ:ロゴ映えするモノトーン+アクセント配色
など、使うシーン、売り場、購買層ごとに緻密に計画したカラバリ展開が売上最大化のカギになります。
また、最近では「半透明EVA」や「グリッター入りEVA」など、特殊な添加剤を混ぜたカラバリによる差別化も国内外で反響を呼んでいます。
カラバリ展開のコストと在庫リスク対策
一方で「カラバリを増やせば増やすほど、在庫が膨みやすい」という現場課題があります。
ここで卓越した生産管理・調達購買の知識が不可欠です。
工場現場としては、
- 型数は極力絞り、色バリエーションのみで雰囲気をガラリと切り替えるモジュール設計
- 少量多品種でもロスを最小化できる段取り・仕切り替えノウハウ(例:成形機洗浄の最適化)
- 顔料や添加剤のサプライチェーンを最適配置し、リードタイムを短縮
といった総合力で、多変量展開によるコスト増を吸収します。
また、昨今では「受注生産型OEM」や「オンデマンドカラーバッチ生産」も広がってきており、無駄な在庫を持たない流れになりつつあります。
この流れに迅速に対応できる工場は、OEMプロジェクトを優位に進めやすいでしょう。
現場からみるOEM提案の勝ちパターン
バイヤー心理とサプライヤー視点のギャップ
バイヤー(=発注側)は「差別化(売れるための独自性)」「安定品質」「納期遵守」の3本柱を最も重視します。
しかし、サプライヤー(=受託側)にとっては、「無理なコストカットの要求」「頻繁な小ロット/緊急対応」「予測困難なスペック変更」などの対応が常態化し、現場が疲弊することもしばしばです。
このギャップを埋めるには、「現場レベルでの合意形成」と「双方の信頼関係」が不可欠となります。
たとえば、「なぜこのEVA配合だとこれだけコストが変動するのか」「なぜこの色だとサイクルタイムが変わるのか」を、数字やデータで根拠立てて説明し、協働で歩み寄りを図ることが重要です。
OEM成功事例にみる現場主導のラテラル提案
現場主導のOEM成功パターンでは、以下のような取り組みが成果を上げています。
- 徹底的なヒヤリングによる「流通先分析」
例えば、大手スーパーチェーン向けOEMの場合、流通現場の意見も取り入れて「棚割配置しやすい色展開」「POP提案」まで巻き取って製品と一体化する。 - 生産・開発・調達を一気通貫に管理
これにより、段取り替え、緊急仕様変更などの際に「1週間単位で小回りの効く対応」が実現でき、バイヤーの信頼度が向上。 - 現場スタッフによる「使い心地検証」「履き比べモニタリング」
消費者目線の細かなフィードバック(歩行時のズレ・ソール摩耗・鼻緒の痛み等)を一次情報として、商品開発に還流させる。
このように、昭和流の指示待ち型から脱却し、現場現実とバイヤー目線を高度に融合させることで、OEMビジネスの新たな地平線が拓けるはずです。
EVA配合とカラバリ戦略の今後の展望
テクノロジーとの融合による進化
IoTやデジタル技術の導入によって、EVA配合工程の精緻な温度管理、AIによる色味検査、需要予測の高度化など、従来の“勘と経験”頼みの世界から「データドリブン」へのシフトが進みつつあります。
また、素材面でもバイオEVA(植物由来配合EVA)や生分解性EVAなど、サステナビリティを追求した新素材との組み合わせによる差別化も、今後のOEM案件増加に直結するでしょう。
消費者主導の価値転換と提案型OEMへの転換
かつては「売れば売るだけ」だったビーチサンダル市場も、「選べる楽しさ」「体験価値」やSNSと連動したマーケティング型消費へとシフトしています。
OEMの現場も、今までの価値観にとらわれず、バイヤーと一緒に「小ロット・多企画・短納期」に寄り添う“柔らかさ”が問われています。
そのためには、現場発想のラテラルシンキングと「顔の見える関係性作り」がキーポイントです。
まとめ:ビーチサンダルOEMの未来を切り拓くために
ビーチサンダルOEM市場で夏季売上を劇的に最大化するためには、
「EVA配合技術の追求」と
「カラバリ展開ノウハウ」の両軸が不可欠です。
大量生産時代の昭和的な発想から一歩抜け出し、
・現場発の柔軟な発想力
・バイヤー、サプライヤー双方の納得感を大切にしたコミュニケーション力
・最新技術やサステナビリティを積極的に組み合わせる志向
これらを磨くことが、これからの製造業において“現場型イノベーション”を実現し、グローバル競争にも打ち勝つための最短ルートだと言えます。
ぜひ現場での具体的な課題感やアイディアを発信し、製造業・バイヤー・サプライヤー全体の進化につなげてください。
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