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OEM企業が自社ブランドで販路を拡大するためのメディア露出とPR戦略

目次
はじめに:OEM企業の自社ブランド化と新たな挑戦
OEM(Original Equipment Manufacturer)は、日本の製造業に深く根付いてきたビジネスモデルです。
多くの中小・大手企業が、高い技術力と生産能力を背景に、他社ブランド製品の生産を請け負い業績を伸ばしてきました。
しかし、近年では価格競争の激化や取引先依存のリスクが顕在化し、OEMメーカー自らが「自社ブランド」を立ち上げて販路を拡大する動きが加速しています。
自社ブランド展開には、市場への直接アプローチという挑戦が伴いますが、その際に不可欠となるのが認知度の向上=メディア露出と効果的なPR戦略です。
この記事では、OEM企業が自社ブランドで販路を拡大するためのメディア活用とPRの実践的ノウハウを、現場目線と最新業界動向の両面から解説します。
OEMメーカーが自社ブランドに挑戦する背景とは
1. OEMモデルの課題と将来性
従来のOEMビジネスは、顧客の仕様通りに製造を行うことで安定した収益を確保してきました。
しかし、コモディティ化が進む現在、製品の差別化が難しく、収益性が低下している企業が目立ち始めています。
また、取引先一社への依存リスクが高いほど、発注の打ち切りや価格交渉力の低下、計画的な生産ができないなどの課題も噴出しています。
2. 自社ブランド展開の魅力と現実
そこでOEM企業が注目するのが「自社ブランド化」です。
自社で企画・設計・製造・販売までを一貫して管理することで、利益率の改善や市場での独自ポジション確立が期待できます。
しかし、BtoB(受託製造)に特化してきた企業ほど「売り先開拓」や「消費者へのアピール方法」に悩む傾向があります。
自社ブランド展開=新たな販路と顧客層獲得のためには、これまで培ってきた”生産技術”だけでなく、”情報発信力”が欠かせません。
OEM企業に適したPR戦略の設計ポイント
1. ターゲット顧客の明確化
まず最初に重要なのは、自社ブランドの”理想顧客像”を具体的に設定することです。
法人向けか、個人消費者向けか、その業界・業種・ニーズの特徴など、現場で得た知見を活かして徹底的にブレイクダウンしてみましょう。
例えば工業用部品だと「精密加工技術にこだわる開発部長」「小ロット対応が必要なベンチャー工場」など、リアルなペルソナ設定がPR戦略の起点となります。
2. OEMの強みをブランド価値へ変換する
OEM企業ならではの”技術力”、”品質管理”、”生産スピード”など、これまで内向きだった実績・ノウハウをエンドユーザー視点でも語れるストーリーに落とし込みます。
作業現場・技術職から発せられるプロフェッショナリズムや、安全性・環境面での配慮、生産現場の「人」を前面に押し出すことでブランドに血が通います。
3. アナログ業界でも響くメディア選定と露出先
製造業、とくに昭和時代から続く町工場や中小企業では「ネットより紙媒体」「紹介や展示会が信頼の証」といった土壌が未だ強いのも事実です。
そのためWebメディアへのプレスリリースと同時に、専門業界紙や専門誌、製造業系ウェブポータル、業界団体ニュースなど、ターゲット業界に浸透している媒体選びのバランスが重要です。
また、オフラインでの展示会や合同企業説明会、自治体主催の産業イベント、技術交流会などへの積極的な出展・発表もPRを加速させます。
メディア露出を勝ち取るための具体的なアクション
1. プレスリリースの作り方と配信先手配
プレスリリースは、単に「新製品を出しました」だけでは埋没します。
「なぜ作ったか」「どんな現場の課題を解決するか」「どのような独自性・技術があるか」といった、読者(報道担当者)が魅力的に感じる切り口を意識しましょう。
写真や図解、現場の「こだわり」や開発者の想いを短く盛り込み、専門用語の多用は避けて、”現場感”のある臨場感が大切です。
配信先としてはPR TIMESや大手配信サービスの活用に加え、製造業メディア編集部やローカル紙担当者への個別リーチも有効です。
2. 共感・応援を呼ぶ現場ストーリーの発信
製造業の現場で働く人々の声がブランドのリアルな顔となります。
たとえば「不良率ゼロ達成の裏側」「カイゼン活動がもたらした現場改革」「多様な人材が活躍している様子」など、社内のエピソードを取材記事やPRコラムとして発信すると読者の共感を呼びやすいです。
また、自社サイトやnote、LinkedInといったソーシャルメディアで「現場の今」をドキュメンタリー的に公開するのも現代的なPRの手法です。
3. インフルエンサーや専門家の活用
近年はものづくり系YouTuberや技術ブロガー、著名な現役エンジニアなど、「業界に強い発信力」を持つ個人や団体も増えてきました。
自社製品を実際に体験・レビューしてもらい、その様子をコンテンツ化することで信頼性と拡散力が飛躍的に高まります。
また大学や業界団体とのタイアップ企画、自治体公認のPR活動も検討する価値があります。
OEM企業の自社ブランドPR成功事例から学ぶ
事例1:長野の精密加工メーカー「地元発タフネス工具」
地元で数十年培った「鍛造技術」を活かし、ブランド力ゼロから自社開発の工具を立ち上げたメーカーの事例です。
地元新聞と中小企業専門紙へのアプローチ、地元産業イベントでのPRが功を奏し“玄人好みの機能”が口コミで広がり、現在は国内メジャーサイト経由で全国展開に成功しました。
事例2:中堅樹脂成型企業「環境対応パーツの海外展開」
SDGsや脱プラスチックの社会的関心の高まりに応じ、環境配慮型樹脂パーツのブランドを立ち上げ。
英語プレスリリースとグローバル製造業系ポータルへの発信、海外展示会でのプレゼンテーションを併用し、「環境意識の高い大手機械メーカー」数社から大型受注を獲得。
国内外同時PRの好例となっています。
事例3:町工場発・BtoCへの挑戦「防災グッズD2C」
東日本大震災の経験をもとに、現場感覚で必要と思われる「本当に使える防災グッズ」を開発。
一般消費者向けにInstagramやYouTubeで避難時の使い方動画を発信し続け、多くのファンを獲得。
「職人が作った防災グッズ」というブランドイメージが確立しました。
デジタルとアナログの両軸で考えるPR戦略の最適解
製造業の現場では、まだまだ「目で見て触って実感」「顔が見える取引」の重要性が続きます。
一方で、デジタルメディアを利用した新規販路獲得や、若手エンジニア・バイヤー層への訴求も避けて通れません。
つまり、アナログ展示会や業界紙記事など従来の営業活動と、デジタル広報(SNS・ウェブ記事・動画発信等)を両立する”ハイブリッド型PR”がOEM企業の自社ブランド拡大には最適なのです。
まとめ:挑戦し続ける製造業のために
OEMビジネスに安住せず、自社ブランドで市場に踏み込むことは、ときに大きな勇気と継続的な努力が必要です。
「何を.どのように.誰に伝えるか」を現場目線で考え抜き、自社ならではのストーリーと技術をメディアやPRで根気強く発信していく姿勢が、これからの製造業には不可欠です。
アナログもデジタルも、共感を生むのは「現場でしか語れないリアルな声」です。
OEM企業の皆さまが次なる一歩を踏み出すためのPR戦略を、ぜひ本記事を足がかりに深堀りしてみてください。
今こそ、「昭和の常識」から一歩踏み出し、変革の主役に躍り出る時代です。