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粉砕機用振動吸収ゴム部材の成形方法と劣化課題

目次
粉砕機用振動吸収ゴム部材とは
粉砕機は、原材料や中間材料を均一な粒度にまで細かくするために使用される不可欠な機械です。
その稼働には強い衝撃と振動が伴い、製造現場では騒音や周辺設備への悪影響、作業者の疲労や安全面でのリスクも生じやすいです。
こうした課題を解決するために、振動吸収ゴム部材は重要な役割を果たしてきました。
振動吸収ゴム部材は、主として厚みや硬度が制御された合成ゴムの塊やパッド、時には金属板との複合構造で設計されます。
この部材を粉砕機の架台やベース部、支持構造体に取り付けることで、機械本体から周囲へ伝わる振動エネルギーを大幅に低減できるのです。
現場で求められる性能
現場では、単に「振動を和らげればよい」というわけではありません。
重量物の連続運転に耐え、耐油・耐薬品性も備え、しかも定期交換なしでも長期安定した性能を保つことが重要です。
特にプラントや化学工場では油分や薬品、湿度変動に晒される環境が日常的に存在します。
また、食品や医薬品向けの粉砕機では、ゴムの臭いや粒子の脱落防止も性能要件となります。
昭和時代から粉砕機は多くのメーカーで活躍してきた一方、現代製造業の現場では「安定供給」「コスト最適化」「環境負荷低減」も新たなキーワードとなり、振動吸収ゴム部材の改良・最適化が継続的に求められているのです。
振動吸収ゴム部材の成形方法
1. コンプレッション成形(圧縮成形)
最も伝統的で広く用いられている成形方法です。
加硫済または未加硫のゴム材料を加熱した金型に投入し、圧力をかけて成形します。
金型を開けて取り出した後、必要に応じてトリミングなど仕上げ加工を施します。
この方法はコストが比較的低く、大ロット生産に適する一方、精密な寸法管理や複雑な形状にはやや不向きです。
また厚物の場合、加硫ムラやボイド(気泡)が課題になるケースもあります。
2. インジェクション成形(射出成形)
粉砕機の高性能化・小型化に伴い求められる複雑形状・高精度部品には、インジェクション成形が適しています。
ゴム材料を加熱・溶融し、金型へ射出することで形状を形成する方法です。
量産性・寸法精度・工程管理に優れますが、金型と設備への初期投資は高額で、小ロット・多品種にはあまり向きません。
とはいえ、高度な品質要求がある粉砕機や機械設備の一部では近年主流となりつつあります。
3. エラストマーシートの積層接着
特に大きく厚みのあるパッド状部材、あるいは現場でカスタマイズが求められる場合には、練り上げたゴムシートを複数枚積層し、専用接着剤や加圧・加熱による密着成形が使われます。
柔軟かつコスト効率が高いものの、接着層の経時劣化が問題となりやすいため、耐久性に課題が残る場合があります。
4. メタルインサート成形
耐久力や取り付け精度を求められる部材には、金属板をあらかじめゴム内に挟み込み、金属とゴム材料を一体加硫成形する「インサート成形」が用いられます。
大きな荷重分散や固定安定性も得られるため、タフな粉砕機構造には欠かせない手法ですが、金属腐食や界面剥離といった固有の課題も考慮する必要があります。
劣化課題と現場での対応策
1. 酸化・オゾン劣化
合成ゴム材料は空気中の酸素、オゾン、紫外線の影響で硬化やひび割れを起こします。
特に屋外や通風ダクト近傍など、外気へ直接さらされる場所では2〜3年で劣化が加速化する場合があります。
現場では紫外線カット剤の塗布、またはカバーの設置、さらにはオゾン耐性の強いゴム素材(エチレンプロピレンゴム=EPDMなど)の採用で対策を取る例が増えています。
2. 油・薬品劣化
工場内で使われる潤滑油や冷却液、洗浄剤の飛散がゴム材料と反応し、膨潤や軟化を招くことがあります。
この場合は、耐油・耐薬品性に優れたニトリルゴム(NBR)やフッ素ゴム(FKM)の選定が求められます。
また、メンテナンス時の液剤選定やこぼれ防止策も同時に推進する必要があります。
3. 動的疲労・磨耗
振動吸収部材は繰り返し荷重による「熱疲労」や「磨耗」が避けられません。
摩擦面の状態や機械の設置レベル(水平度)が悪い場合は、特定部位に過重が集中しクラックや破断につながります。
定期的な外観点検や交換周期管理はもちろん、設置時の安定化(ベタ基礎やベースフレーム改善)、さらには過負荷運転の抑制など予防策を徹底している現場は、トラブル発生頻度が明らかに低いです。
4. 接着・界面剥離
メタルインサート品や積層部材におけるゴム-金属・ゴム-ゴム間の接着面は、特に劣化しやすいポイントです。
環境温度の変化や湿度、衝撃荷重によるミクロな剥離が進行し、いきなり振動吸収性が損なわれることもあります。
工場現場では2次接着や補強接着剤で簡易補修する例もありますが、重度な場合は部材ごとの交換を推奨します。
また、最近は界面強度を高めるプライマー剤や射出成形時の化学架橋技術も続々と導入されています。
現場視点の部材選定ポイント
1. 機械規模と荷重分布
粉砕機の機種・サイズ・設置場所によって、最適なゴム種・硬度・形状・寸法は異なります。
単純な「カタログスペック」ではなく、現場の実状に合わせて「実荷重シミュレーション」や「現物試作検証」が大いに有効です。
2. 玉石混交のサプライヤー選定
振動吸収ゴム部材は専門のゴム加工メーカーが多数存在します。
昭和から続く地場サプライヤーの人脈も無視できませんが、最近では大手の技術サポート、品質保証体制も見逃せない要素です。
製造コストのみに偏重せず、トータルライフサイクルコストや「小ロットでも短納期対応可」「環境負荷低減型素材」などの今どきの要素を重視すべきです。
3. バイヤー視点、サプライヤー視点での意思決定
バイヤーから見れば、安定供給力・コスト・品質・納期だけでなく、「現場に即した提案能力」や「メンテナンス性」を重視すべきです。
一方サプライヤー側としては、単なる受け身の提案から脱却し、現場の課題ヒアリング、独自の評価ノウハウの提供、新素材や新工法の試作を積極的に提示することで差別化が進みます。
アナログ業界の今後とDXへの期待
製造業、特に粉砕機や振動吸収部材関連の現場は、今なおアナログな管理が根強い分野です。
しかしIoT・センシング技術の進化により、振動データの自動モニタリングやAIによる異常予知が徐々に現場導入されています。
将来的には「部材の消耗度合いをスマホで確認し、最適な交換時期を自動提案」「クラウドデータで部材性能改善のフィードバック循環」など、新たな地平線が開けつつあります。
このような新たな取り組みが、アナログな現場でも徐々に価値を生み出し始めています。
まとめ
粉砕機用振動吸収ゴム部材は、単なる消耗品以上に重要な現場課題解決パーツです。
古い常識のままでは競争力を保てず、現場ごとの用途・環境・時代性を踏まえた柔軟な発想と意思決定が求められます。
バイヤー、サプライヤー、現場エンジニアの三位一体で、製造現場の進化とQCDS(品質・コスト・納期・サービス)最適化に寄与する取り組みを今後も推進していきましょう。
現場での実感や声に耳を傾け、共に新たな挑戦と学びを重ねていきたいと考えています。
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