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紙ナプキンの折り目が整う搬送圧と静電気除去技術

目次
はじめに:製造現場での紙ナプキン品質の重要性
製造業の中でも、日用品や消耗品の分野は競争が激しく、細やかな品質管理が求められます。
特に紙ナプキンの製造においては、折り目が均一に整っているかどうかが大きな品質評価ポイントとなっています。
顧客が手にしたときに、「見た目・手触りが美しい」と感じる製品づくりは、現場の生産プロセスがいかに正確で安定しているかに直結しています。
この工程で避けて通れないテーマが「搬送圧」と「静電気除去技術」です。
昭和時代から続くアナログ的な手法でも一定の成果は残されてきましたが、市場ニーズが多様化し、品質への要求水準が上がる現代では、更なるイノベーションが求められる分野です。
この記事では、現場目線の実践的ノウハウと最新動向も交えつつ、紙ナプキンの折り目を整えるための技術について掘り下げていきます。
よくある製造現場の悩み:折り目不良と品質トラブル
折り目が崩れる主な原因
紙ナプキン製造現場で頻発するのが「折り目不良」です。
これは製品の見栄えや実用性の低下を招き、場合によってはクレームや返品の原因となり、プロセス全体の歩留まりに直結します。
主な要因は以下の通りです。
– 紙自体の特性(厚み、吸湿性、表面の摩擦係数等)
– 搬送工程での紙のズレや変形
– 折り畳み装置の不具合・アライメントの狂い
– 静電気の帯電によるシートの吸着・離脱不良
大手メーカーであっても、古い設備や近道のメンテナンスで生じるトラブルは頻繁に発生します。
一見地味だが深刻な「静電気」問題
紙は絶縁性が高く、そして軽量で薄いため、搬送中の「静電気トラブル」に非常に弱い素材です。
静電気で折っている紙同士や部品に貼りついてしまう、変形した状態で装置を通過してしまうなど、「こんなところに?」と思う場所でトラブルが発生します。
昭和の時代から現場ではベタベタと指で触って剥がす、湿度を無理に上げるといった対策が行われてきましたが、それだけでは根本的解決に至りません。
なぜ「搬送圧」と「静電気除去技術」が重要なのか
搬送圧とは何か、その最適化がもたらすもの
紙ナプキンの折りを安定させるためには、紙を「掴んで運ぶ」「折る・重ねる」といった工程全体でかかる「圧力」(=搬送圧)が重要なファクターです。
搬送圧が強すぎると、紙にしわや変形を与えてしまい、折り目の直線やシャープさが失われます。
逆に、弱すぎれば静電気や外部要因で紙が浮いたまま搬送され、ズレや折り損じが起こります。
また、紙製品は湿度や温度の影響も受けやすく、搬送圧を固定化するだけでは季節や環境で変動する「実際の製造トラブル」には十分対応できません。
ここが、単なるデジタル自動化だけでなく、現場ごとのノウハウや柔軟な調整が求められる所以です。
最新の静電気除去技術とは
従来の静電気対策は静電ブラシやアース線、加湿といった、いわば「現場知恵」的な手法が中心でした。
ところが、静電気が微細なチリや繊維を引き寄せることで、紙表面の品質劣化や、二次的な設備トラブルまで引き起こしてしまう現実があります。
近年注目されているのは、コロナ放電方式やイオナイザー(静電気除去装置)の導入です。
これにより、搬送中のシート表面に対して、極微小なプラズマ放電によって電荷を中和し、紙同士の貼りつきや搬送の乱れ、帯電ごみ付着を劇的に低減できるようになりました。
もちろん、設備導入にはコストと現場環境へのマッチングが不可欠ですが、「こうした新技術への目配り」が、古い体質の工場にも徐々に広がりつつあります。
ラテラルシンキングで考える本質的な改善策
古い工程設計の落とし穴を意識する
折り目不良の改善では、つい設備面や部品交換・清掃といった「対症療法」に集中してしまいがちです。
しかし、本当に求められるのは「そもそも設計や工程が紙特性や現場の変化に合っているか?」を根底から見直す発想です。
たとえば、紙質の微妙なロット変化をセンサーで捕捉し、リアルタイムで搬送圧や装置タイミングを自動補正する仕組み。
また、静電気除去のポイントも単に「除去装置を付ける」のではなく、発生の根本要因(摩擦・剥離・搬送スピード変化点など)に対して戦略的に設置箇所や方法を再設計することが、現場での納得感と品質向上に直結します。
「人とIT・装置の相互補完」的アプローチ
最新デジタル技術全盛となっても、紙ナプキンのような微妙な素材には「人の経験と目」が依然として重要です。
ベテラン作業員による「音」「手触り」「目検」に基づく微調整や予兆検知は、機械だけではカバーしきれない領域です。
一方で、AI/IoT技術を活用すれば、搬送異常や折り目バラツキの発生履歴をデータ化し、「どんな原因で、どの工程に問題があったか」を瞬時に現場や管理職が可視化し、迅速な対応ができる時代になっています。
人とテクノロジー、昭和と令和、それぞれの強みを活かした「ハイブリッド型改善」が、現代の現場にはふさわしいアプローチです。
調達購買やバイヤーの目線から見る価値向上のヒント
部品・素材・設備、どの選定も「静電気」と「搬送圧」が鍵
バイヤーや資材調達担当としては、どうしても「コスト」「納期」「標準化」の観点が強くなりがちです。
しかし、紙ナプキンの質感や折り目の美しさは、部品や素材のちょっとした選定差が歩留まりやブランド満足度に直結します。
たとえば、静電気対策対応の樹脂素材、帯電防止剤が添加されているローラー、除電イオナイザーの有無など、現場の判断基準を深く理解し、最適なスペックを選びきる目は大きな武器になります。
また、紙自体の品質規格(繊維密度や表面仕上げ、含水率制御など)についてもバイヤーの立場で「なぜこれが必要か?」を現場と対話できる人材は、サプライヤー交渉でも一目置かれるでしょう。
サプライヤーがバイヤー基準を知ることで差別化できる
一方でサプライヤー(部材・設備メーカー)の立場でも、単に製品スペックを提示するだけでなく、実際の紙ナプキン工場でどのような搬送圧や静電気トラブルが起こり得るのか、課題の本質をバイヤー目線で理解することは大切です。
「この素材なら、こういう静電気リスクがあります」
「当社の新型除電機なら、搬送圧調整との組合せ効果でここまで折り目整列性が改善します」
など、現場とバイヤー双方に刺さる提案と差別化ノウハウが市場競争の鍵となります。
現場で役立つ実践ポイントまとめ
搬送圧の最適管理テクニック5選
1. 日々の温湿度記録と搬送圧の相関をグラフ化し、最適値を見つける。
2. 紙質変化ごとに「お試し生産→データ記録→微調整」のPDCAを現場で定着させる。
3. 搬送ローラー・爪部材の摩耗や静電気帯電レベルも定期点検リストに組み込む。
4. 工程ごとの圧力センサー/ロードセルを活用して、工程間ごとに可変圧制御を導入する。
5. イベント(ロット切替・温湿度急変など)で自動アラートを活用し、現場に注意喚起。
静電気除去の現代的対策4選
1. 除電イオナイザー導入による「設置ポイント最適化」プロジェクトを現場巻き込み型で推進する。
2. 素材・設備メーカーとも連携し、「静電気発生源チェックリスト」の標準化。
3. 作業工程での摩擦や高速搬送エリアごとに、「帯電度計測→対策実施→再測定」のサイクルを徹底する。
4. 設備・部材のアース強化、湿度コントロールと物理的除電法の全方位対策で、「多重防御レイヤー」を設計する。
今後の展望と製造業の未来へ
紙ナプキンのような「一見して単純」と思われがちな製品でも、裾野の広い調達・製造・品質管理の現場技術が磨かれています。
搬送圧と静電気除去技術の進化は、まさに現場とデジタル・アナログの知見が統合された新しい地平線です。
今後は、AIやIoTが更に進化することで「折り目の美しさ」や「使い心地」といった定性的な品質も、定量データで管理・保証できる時代が来るでしょう。
バイヤー、サプライヤー、現場作業員、管理職…すべての立場の人が現場改善の本質に迫りつつ、現代技術との融合を恐れず進めていくことが、より価値ある日本発の製造業を生み出す原動力となります。
今後も現場目線で、地に足のついた改善策をご紹介していきたいと思います。
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