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投稿日:2025年10月11日

紙ナプキンのしわを防ぐ搬送テンションとエンボス加工圧制御

はじめに:紙ナプキン製造の現場から見た品質課題

紙ナプキンは、飲食業界や家庭、さまざまなシーンで毎日大量に使われています。
単価は決して高くないアイテムですが、消費現場では「しわが多いナプキン=品質が悪い」「エンボス加工のムラ=安っぽい」など、見た目や感触への厳しい目が注がれています。
 
近年はコスト重視の競争がますます激しくなる一方で、店頭やネット通販のレビューでは「パリっとしたナプキンがいい」「ペタッとしないもの希望」といったユーザーの声も簡単に可視化されるようになりました。
 
ここで注目したいのが、紙ナプキン特有の「しわ」と「エンボス模様」の質感です。
本記事では、品質に直結するこれら2つの課題に対し、現場で長年積み重ねた実体験とともに、“ラテラルシンキング”の視点も交えて解決策を探ります。

紙ナプキン製造プロセスの全体像

製紙メーカーやアセンブリ加工業者の方にはおなじみですが、まずは紙ナプキンの基本的な製造工程をざっとおさらいします。

紙原反から製品になるまで

1. 原紙の巻き取り(まだ巨大なロール状態)
2. スリット裁断(規定サイズにカット)
3. プリント加工(必要な場合はロゴや模様印刷)
4. エンボス加工(表面に凹凸模様をつける)
5. 折り加工(ナプキン特有の”折り紙”工程)
6. パッキング・出荷
この流れの中で「しわ」が目立つのは、主にエンボス加工後から折り加工、パッキングまでの搬送・巻き取り区間です。

しわ発生メカニズム:プロの現場目線で解説

紙ナプキンがしわになる原因として、材料そのものの性質や環境要因もありますが、最も見逃されがちなものが「搬送テンションの不均一」です。

搬送テンションとは何か?

紙原反を連続的に加工するプロセスでは、紙がたるんだり引っ張られ過ぎたりしないよう、適切な張力(=テンション)で搬送する必要があります。
もし張力にムラがあると、紙は加工時に微妙な伸び縮みを起こし、後の工程でしわやヨレとして表面化します。

よくあるトラブル例とその根本原因

1. 搬送ローラー間の速度差
古い設備やメンテが不十分なラインでは、各ドライブローラーの速度や応答性のズレが蓄積しやすいです。
これがわずかな紙の「たゆみ」や「ひっぱり過ぎ」を生み、エンボス後のしわ原因となります。

2. 巻き取り径の変動管理不足
紙原反の残量や径が変わると、同じ回転速度でも紙1周分の長さが変化します。自動調整機能が弱い場合、段々とテンションが狂い、しわが出るケースが見られます。

3. 現場オペレーター任せの調整
温度・湿度・材料ロット毎の差異に、「長年の勘」で対応する場面が根強く残る現場も多いです。数字管理に弱い昭和的なアナログ現場ほど、再現性の低い品質事故を生みがちです。

しわを防ぐための搬送テンション管理術

しわ対策で最も効果が高いのは、「見える化」と「自動補正」です。

テンション計測のデジタル化

昭和時代は人手によるバネ式テンションゲージで、都度ローラー間を測定する方法が主でした。
しかしベストプラクティスは、ロードセルや張力センサーでライン全体のテンションを常時数値化することです。
PLCやSCADA経由で可視化し、異常傾向が出た瞬間に「自動アラート」か「自動フィードバック制御」が最も理想的です。

IoT・AI技術の導入ポイント

昨今ではテンションとラインスピードの関係データを複数年分蓄積することで、AIによる異常検知や補正値最適化も可能です。
具体的には、
・張力プロファイルの長期傾向監視
・しわ発生時の履歴データマッピング
・最適な搬送速度切り替えタイミングの自動提案
などを組み合わせることで「属人化」から「標準化」への脱皮が実現できます。

エンボス加工圧制御の要点

紙ナプキンの高付加価値商品では、エンボス模様の「立体感」「エッジのキレイさ」も品質を大きく左右します。
加工圧力が強すぎると紙が破れたり、逆に弱すぎると模様がぼやけてしまいます。

加工圧管理の現場ノウハウ

1. 圧力分布の均一性
ロングセラー設備はエンボスロールの曲がり・摩耗により、加工面の圧力にバラツキが生まれやすいです。
定期的に圧力分布シートやインク転写紙を用いた検査で、均一性を担保する必要があります。

2. 設備間差の調整力
同じ型番・同じ年式の設備でも、設置場所や基礎の水平精度、部品の微差で圧のかかり具合は微妙にズレます。
設備ごとの固有値を「見える化」し、現場がリアルタイムで微調整できる仕組みが大切です。

3. 自動制御への段階的移行
調整義務やスキル継承の観点からも、加工圧の電動自動制御装置へ置き換える事例が増えています。
設定値フィードバックや、圧力異常時の自動停止など、ヒューマンエラーの防止策として効果大です。

ラテラルシンキングで新たな地平線を拓く

従来は「搬送装置」と「エンボス装置」をそれぞれ最適化すれば良いと捉えられがちでしたが、両者は密接に関係しています。
近年は「搬送テンションの変動信号を、リアルタイムでエンボス圧制御装置の補正指令に反映させる」連携技術開発が進みつつあります。

例えば、
・搬送側でほんの僅かな張力低下をAIが検知した瞬間、エンボス側の圧力設定を1~2%だけ下げて模様欠損を防ぐ
・逆に張力上昇は、圧力設定を即座に戻して模様のメリハリ維持
こうした“デジタル連携”による一体最適こそ、今後の紙製品製造を革新する新領域です。

バイヤー・サプライヤーに求められる思考転換

紙ナプキンのような大量消費型アイテムでは、つい「コスト最優先」が先に立ちがちです。
しかし、定型化された品質基準・検査項目のみならず
「なぜしわが起きるのか」
「エンボス模様の立体感がユーザー体験にどう影響するのか」
まで本質的に理解しているバイヤーは意外に多くありません。

工場・現場側も、単なる「コスト競争力」や「納期遵守」だけを訴求するだけではなく、「しわゼロ実現のための搬送設計思想」や「加工圧検証データ」を積極開示する時代です。
 
調達・購買に関わる方は、性能の裏にある“現場知”にもっと目を向けましょう。
サプライヤー側は「しわ防止の加工改善事例」や「テンション制御データ」を提案資料に盛り込むことで、ファクトに基づく商談力向上にもつながります。

まとめ:昭和精神×最新デジタルが生む新しい現場力

紙ナプキンのしわ対策やエンボス加工精度向上は、単に設備を新しくするだけでは十分ではありません。
現場のベテランが持つ「勘と経験」という昭和精神に、テンションや圧力の見える化・自動制御を融合させるラテラルな発想がこれからますます求められます。
 
アナログな工程だからこそ、データという武器を味方にし「見えない“良し悪し”」を数値で示せる時代です。
バイヤーもサプライヤーも、“しわゼロ”と“エンボスの美しさ”を共通ゴールと捉えたモノづくりの新しい地平線に、ぜひ一歩踏み出してみてください。

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