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展示会ノベルティのコストダウンを現場視点で考え直す必要性

目次
はじめに:なぜ今「展示会ノベルティのコストダウン」を考え直すのか
展示会は、製造業が新規顧客獲得や既存顧客との関係強化、業界ネットワーキングの場として活用する重要なイベントです。
多くの場合、ブースを訪れた方へノベルティ(記念品)を手渡しますが、この「展示会ノベルティ」に大きなコストがかかっていると感じている方も多いのではないでしょうか。
しかも、コンプライアンスやSDGs意識の高まりから使い回しができない、かといってコストダウンだけ追い求めるとチープな印象を与えてしまう……そんな「答えの出ない領域」に悩んでいませんか。
本記事では、製造業の調達・購買・生産管理・工場運営に精通した現場視点から、なぜ展示会ノベルティのコストダウンを今こそ再考すべきなのか、業界特有の事情も交えて深く掘り下げていきます。
昭和から続く「ノベルティ文化」は今、曲がり角に直面
「豪華ノベルティ=競争力」だった時代の名残
かつては、どこの展示会でも袋いっぱいの文房具や雑貨、折りたたみ傘、タンブラーなどをノベルティとして配布し、そのボリューム感や珍しさがお客様の注目・集客力につながっていました。
バブル期や平成初期の「おもてなし型営業」の名残りから、ノベルティへの投下コストが最重要視されていたのです。
豪華で話題性のあるノベルティは営業ツールとなり、上司や経営層の「これを配るから目立つはずだ!」という意気込みもよく見受けられました。
本当に求められている「価値」とは
しかし、ここ数年の展示会来場者やユーザーの声を拾ってみると、状況は変わってきています。
「荷物になるから要らない」「既にたくさん持っている」「販促物は家に持ち帰ったそのままゴミ箱」
こうしたリアルな声や、展示会場のゴミ箱に使われていない景品が山積みになっている現状は何を示しているのでしょうか。
すなわち、コストだけをかけた定型ノベルティは「顧客にも環境にも響かない時代」に突入したのです。
箱モノ産業に根強い“前例踏襲”の文化――今ここで現場から意識を変えなければ、無駄なコスト負担が継続するだけでなく、せっかくの営業機会も失いかねません。
現場視点で考える「本当のコスト」とは何か
材料費・製作費だけがノベルティコストではない
一般的に調達購買部門では、ノベルティのコスト=「単価×数量」と考えがちです。
しかし、現場目線で見直すと、実際には以下のような隠れたコストも含まれます。
・在庫保管スペースや運搬・設営の手間暇
・会場で配布する営業スタッフ対応時間
・余った場合の廃棄コストや保管ロス
・周辺業務(伝票発行・管理・発送)のコスト
例えば、実際に数千個単位で余ったボールペンやクリアファイルを翌年まで倉庫に眠らせるケースがしばしば発生します。
しかも担当者が毎回「いくらコストダウンできたか」に気を取られ、全社的には「最終的に廃棄にかかるコスト」まで検証されていない、という事実です。
「手間コスト」の可視化で業務が変わる
現場の管理職・工場長の立場で言えば、人が動く=工程が発生します。
小さなノベルティでも、手配→受入→保管→梱包→運搬→配布と、多くの部署と人員の“労力”が実は見落とされています。
最近では人件費高騰が著しく、「時間」という無形コストをいかに削減するかが競争力のカギです。
「製品原価だけ」ではなく、「社内全体の工数を削減した結果」としてのトータルコストダウンが求められます。
ラテラルシンキングで突破する「ノベルティ=販促品」の常識
そもそも「渡す理由」を問い直そう
ノベルティは「目立つために必要」「手持ち無沙汰だから何か渡そう」だけになっていませんか。
今こそ、その根本に立ち返りましょう。
・取引先や潜在顧客は、何のためにブースを訪れているのか
・自社や自社技術のどの部分を印象付けたいのか
・受け取った方が実際に「活用するもの」か
この答えに真正面から向き合うことで、ノベルティの仕様や価値基準も大きく変わります。
工場現場目線でヒットした事例
たとえば、私が工場長を務めていた際の展示会では「工程管理に便利なマグネットシート」や「各種チェックリストのミニファイル」など、“現場で本当に役立つツール”に発想を転換したことで、アンケート回収率が格段に向上しました。
また、受発注システムや新製品の「デモ体験後にダウンロードできるデジタルノベルティ」など、物理的なノベルティからデジタル活用へ切り替えることで、会期終了後までリード情報の蓄積、余計な在庫・廃棄ゼロを同時に実現した事例もあります。
時代背景を踏まえた「サステナブルなコストダウン」へ
コスト削減だけでは通用しないSDGs時代
最近ではSDGsやサステナビリティ経営を掲げることが必須となりつつあります。
大量生産・大量消費を前提とした「ただコストの安いノベルティ」から、再利用や循環資源を取り入れた設計、あるいはノベルティ自体を最小化する取り組みが重視されます。
こうした流れは、BtoBの製造業展示会でも加速しています。
展示会での紙袋・使い捨てノベルティからリサイクル可能な小物へ、デジタルコンテンツへの移行なども、新たな業界スタンダードとなり始めています。
ノベルティで「製造業のブランド」を強化する発想
実はノベルティは単なる物のやり取り以上の、「ブランド体験」を創出する絶好のチャンスです。
たとえば
・自社の工程やリサイクル材で作った特製文房具
・廃材を活かしたメモ帳や時計など実用品
・試作・開発技術を駆使したユニークなプロトタイプ(試作品の実物)
現場の知恵や技術力そのものが差別化要素となります。
そこにストーリー性や“作る人の顔”が見えることで、経営層だけでなく現場同士の信頼感醸成にもつながります。
バイヤー・サプライヤーの関係性こそノベルティ戦略に活かす
バイヤー目線:調達側の評価基準も多様化
最近のバイヤーは「単価が安いか」だけを重視しません。
「環境負荷」「納期・ロット調整力」「SDGsへのコミット」なども意思決定要素に組み込まれています。
展示会ノベルティも、こういった観点が反映されるべきです。
高価なモノでなくとも、プロセスや選定理由まで含めて提案できれば、「この会社は現場の状況や方針まで見ている」と高評価を受けやすくなります。
サプライヤーの心得:本質的な提案力が武器に
サプライヤー(供給側)は「値段で勝負」から、「本質的な課題解決提案」へとシフトしましょう。
購買サイドが求める「手間がかからない」「持ち帰っても邪魔にならない」「エコや現場事情に即している」といったニーズをきめ細かく拾い上げることが、選ばれるきっかけにもなります。
また、納品やロット調整、逆提案(たとえば「今年はノベルティそのものを減らすご提案」など)も積極的に伝えることで、クライアントの長期的な信頼獲得につながります。
まとめ:コストダウンの「その先」にある現場の未来
展示会ノベルティのコストダウンは、単なる「経費削減」ではありません。
それは自社のお客様や現場、サプライヤー、取引先バイヤーも含めた「価値提供のあり方」全部を問い直す絶好の機会です。
時代が変化しても、「前例踏襲」「とりあえず数を撒く」から脱却し、本当に必要とされる、現場で活用される、無駄のないものづくりへと進化することが求められています。
調達・購買担当の方も、工場や営業現場の管理職・スタッフの方も、またバイヤーやサプライヤーの方も、ぜひ一度、自社のノベルティの本当の「価値とコスト」を見直し、新たな展示会戦略の地平線を切り開いてみてはいかがでしょうか。