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投稿日:2025年10月30日

卵殻ペレットを活用した新規用途開発と炭カル代替の応用手法

はじめに~製造現場が注目する卵殻ペレットの新規用途

近年、製造業界では持続可能な資源の活用や、いかにしてコストと環境負荷を低減するかが重要なテーマとなっています。
その中で、食品工場などから大量に排出される卵殻を原料とした「卵殻ペレット」の需要と応用範囲が広がっています。

特に、従来から幅広い産業で利用されてきた炭酸カルシウム(炭カル)の代替素材としても注目され始めています。
本記事では、卵殻ペレットの基礎知識から、現場目線でみた具体的な新規用途開発、さらには炭カル代替としての応用手法まで、実践的な視点で詳しく解説します。

バイヤー、サプライヤー、製造現場の方々が、これからの材料調達・製品開発の一手として役立てていただければ幸いです。

卵殻ペレットとは~その特性と供給背景

卵殻ペレットの製造と成分

卵殻ペレットは、その名の通り鶏卵の殻を洗浄・乾燥・粉砕など適切な前処理を施し、加圧・加熱しながら一定の粒径に成形した再生原料です。
主要成分は炭酸カルシウムであり、微量ながらマグネシウムやナトリウム、リンなどの無機成分を含みます。
物性としては純度にややバラツキはあるものの、一般的な工業用炭酸カルシウム(純度95〜99%)に近い値を示します。

持続可能性とコスト面での優位性

日本全国の食品工場・給食センターなどから年間数十万トンを超える卵殻が排出されており、その多くが産業廃棄物として最終処分されています。
これを有効利用することで、廃棄コストの低減と、サーキュラーエコノミー(循環型社会)への貢献が見込まれます。
また、原材料価格の高騰や輸送コスト上昇など、サプライチェーンリスクが増大する昨今、卵殻ペレットは「安定かつ安価な炭カル代替素材」として注目度が高まっています。

業界動向:アナログからの転換~卵殻活用に立ちはだかる壁と現場の創意

製造現場に根強く残るアナログ思考

製造現場、とくに昭和から続く伝統的な業界では「素材転換への抵抗感」が根強いのが実情です。
「これまでの材料で十分」「トライアルコストがもったいない」「規格外でトラブルが起きたら怖い」という思考がベースにあり、新しいリサイクル素材の導入は容易ではありません。

一方で、炭酸カルシウムの鉱山資源枯渇や、中国依存の地政学リスクの高まりといった外部環境変化を背景に「あえて今こそ変えるべき」という声が現場の若手や管理職を中心に拡大しています。
「安全・安心・安定供給」の3A、そして環境負荷低減という新たな付加価値は、サステナブルなモノづくりを目指す現場にとって重要な指針となります。

現場発の卵殻活用 事例とインサイト

ある化成品メーカーでは、従来の炭酸カルシウム配合樹脂に卵殻ペレットを最大20%程度置換する混合比率を検討。
手触りや表面仕上げ、強度、艶、着色性などの物性試験を繰り返すことで、最終的には小口成形品や簡易包装フィルムなど、影響の少ない製品群から導入に成功しています。

現場でのポイントは、「従来の配合をいきなり全部変えない」ステップ的導入、「小規模トライアルで現品比較」「ロット毎の成分分析データ蓄積」という3点です。
このような現場主体の実践が、全社規模の本格導入への突破口となっています。

卵殻ペレットを活用した新規用途開発の実際

1. プラスチック充填材への応用

卵殻ペレットは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)など主要な熱可塑性樹脂の無機充填材として利用可能です。
添加割合は用途により異なりますが、5%から20%程度であれば成形品物性の大幅な低下は見られません。
また卵殻に由来する微量成分が、樹脂の静電気防止や抗菌性、特殊な艶出し効果を発揮する場合もあり、従来材料にはない新機能を付加できる点が現場担当者からも高評価されています。

・家電筐体
・食品トレー、日用雑貨
・建材パネルやガーデニング資材

こうした用途は、異物混入対策や異臭リスクのチェックも同時に求められるため、原料ロット管理やトレーサビリティの確立は欠かせません。

2. ゴム練り原料・接着剤充填材

ゴム製造メーカーでも、卵殻ペレットはスチレンブタジエンゴム(SBR)やエチレンプロピレンゴム(EPDM)向けに、コストダウン材として注目されています。
加硫物性や加熱耐久テストを通して、卵殻のアミノ酸残留分による架橋反応や着色性の挙動にも留意が必要です。
粘着剤やシーリング材のような「体質顔料」として添加する用途も拡大中です。

3. 肥料原料・家畜飼料への利用

卵殻ペレットは、カルシウム・リンなどのミネラル質に富み、肥料原料や家畜飼料としても価値を持ちます。
とくに有機JAS適合肥料、酸性土壌の中和材、飼料カルシウム補給剤など向けに、既存炭カル原料の一部を卵殻由来に切り替える事例が増えています。
ミネラル成分の分析精度や残留微生物のモニタリング手法、現場での分級・造粒プロセス開発が今後の肝となります。

炭カル代替としての応用手法~バイヤーが押さえるべき要点

調達側が意識すべき品質・規格

炭酸カルシウム(炭カル)は公的規格も多く、「白色度」「純度」「粒度分布」などに厳格な基準を設けられています。
卵殻ペレットを炭カル代替とする際は、各社の製造プロセスや原料ロットごとのバラツキを厳しく管理しなければなりません。
具体的には

・ロット毎の成分分析(ICP、XRFなどによる元素含有量・不純物検査)
・白色度計(分光測色計による分光値管理)
・粒度分布(ふるい法・レーザー回折法ほか)
・水分、揮発分など

これらの物性データを納入前に調達部・品質保証部門が連携して詳細に検証する運用が、トラブル防止や社内承認取得のカギとなります。

製造現場での工程適用のポイント

従来の炭カルとは着荷特性や分散性に僅かな差異がありますので、以下のような点を現場でチェックすることが大切です。

・ミキサーの撹拌条件(ダマ化防止、均一分散化)
・射出成形機や押出機でのスクリュー設定(適正温度帯、滞留リスク低減)
・上流原料タンク・計量ホッパーの詰まりやブリッジ対策

初期試作段階は「時間と人」コストが増えがちですが、ここを怠ると異常品流出や設備トラブルの原因になりますので、少量・短サイクルでPDCAを回すのが教訓です。

バイヤー・サプライヤー協働による持続可能なサプライチェーン構築

卵殻ペレットは安定調達が大前提ですが、原料供給元(食品工場など)の季節変動や生産設備の保守状況により、品質や供給量に一時的なブレが生じる場合があります。
バイヤーとしては、複数サプライヤーとの長期契約や原産地分散、多機能な加工メーカーとの協業を推進することで、ダイナミックで柔軟なサプライチェーンを築くことが肝要です。

また、CSR(企業の社会的責任)やサステナブル調達指針との整合性を意識し、社内外に向けた透明性の高い調達ポリシーを整備することも大切です。

今後の展望とバイヤー・現場ができる貢献

卵殻ペレットは、その調達・開発過程で「廃棄コストから新価値創造」へのパラダイムシフトを体現しています。
現場ではまだまだアナログ的発想や過去の成功体験が幅をきかせており、先進的な素材転換の挑戦には強いリーダーシップと段階的な納得形成が必要です。

バイヤーや調達担当者の役割は、コストだけでなく「環境」「安定」「安全」を俯瞰した三方良しの視点で、取引先や現場とオープンに対話し、健全な情報共有と新規用途の共同開発を促すことにあります。
卵殻ペレットのようなアップサイクル素材の導入・拡大は、組織全体の調達力・製造力・ブランド力の底上げにもつながります。

「既存の枠にとらわれず、新たな材料を一歩ずつ使いこなす」
この地道な現場知と、産業を俯瞰するラテラルな視点を融合させ、今後も持続可能な日本のモノづくり現場を皆さんと共に切り拓いていきたいと考えています。

まとめ

卵殻ペレットの活用は、廃棄物削減だけでなく、多様な製品分野でのコストダウン・新機能付加・環境適応といったメリットをもたらします。
導入には現場試験・管理手法の見直し、サプライチェーン全体の協力といった課題もありますが、「変わる勇気」と「地に足の着いた実験精神」を持てば乗り越えられます。

製造業界のバイヤー、サプライヤー、工場現場の皆様が、卵殻ペレットを新たな展開材料として、持続可能な事業成長へつなげていくための一助になれば幸いです。

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