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サステナブルな視点を取り入れた消耗品調達の新しい基準

サステナブルな視点を取り入れた消耗品調達の新しい基準
はじめに:消耗品調達とサステナビリティの重要性
製造業の現場において、消耗品は日常業務に不可欠な存在です。
切削工具、研磨材、潤滑油、作業手袋やウエスなど、多岐にわたる消耗品が効率的な生産ラインの維持と安定稼働を支えています。
一方で、サプライチェーン全体の環境負荷削減や、世の中のサステナブル志向の高まりにより、「消耗品の選定・調達における新しい基準づくり」が今、求められています。
従来のコストや納期だけに偏った考えだけでは、脱炭素時代を勝ち抜くことは難しくなっています。
現場から見た従来の消耗品調達の課題
これまでは、「安いものを、できるだけ早く、多く確保する」という調達姿勢が主流でした。
しかし、その裏側では、不要な在庫の山や、適切に管理・廃棄されない廃棄物、サプライヤー間での過剰競争、粗悪品の流入といった問題も数多く発生しています。
また、古くから続くアナログ文化の影響も根強く、「なじみの業者だから」「去年と同じだから」といった惰性での発注や、手書き伝票による非効率な運用も散見されます。
こうした現場の“当たり前”こそが、時代の要請と大きく乖離しつつある根本原因です。
サステナブルな調達視点 ―製造現場の現実解は何か
サステナビリティを志向した消耗品調達にシフトするためには、単なるコストや納期の最適化だけでなく、以下のような多面的な視点が不可欠です。
- 環境負荷(カーボンフットプリント)の可視化
- リサイクル性や再利用性に配慮したアイテム選定
- サプライヤーのESG(環境・社会・ガバナンス)対応レベルの評価
- ローカルサプライヤーとの共創によるバリューチェ―ン強化
- 在庫過多・欠品を防ぐデジタル管理への転換
一例として、潤滑油のリユース循環や再生ウエスの導入、バイオマスプラスチック手袋の使用契約などが挙げられます。
大手製造業では一部導入が進んでおり、これが調達基準の“新常識”として定着し始めています。
バイヤーの新たな責任と役割
消耗品調達に関わるバイヤーは、従来の「価格・納期・品質」の三大要素だけでなく、「環境配慮」「社会的責任」というキーワードも重視する必要があります。
ただし、理想論だけでは現場は回りません。
以下のようなリアルなバイヤーの視点と動きを意識することで、より実効性のあるサステナブル調達が可能となります。
- ライフサイクルコスト(LCC)の比較提案
- 既存サプライヤーへの環境対応促進の働きかけ
- 調達先の多様化(例:サーキュラーエコノミー関連ベンチャーとの連携)
- CO2排出量連動調達ラインナップの拡充
- 消耗品仕様書への環境項目追加
また、調達現場には「経営的視点」と「現場ニーズ」の両立が求められます。
ムダなコストの削減や業務効率化を犠牲にするのではなく、“持続的競争優位を支える調達部門”として再定義することが、今後のバイヤー像と言えるでしょう。
サプライヤーの視点 ― バイヤーの“本音”を知り、自社の強みに磨きをかける
サプライヤー側から見て、バイヤーがいま何を考え、どこに課題・期待値を置いているのかを知ることは、生き残り・発展のカギとなります。
筆者の経験から、調達現場のバイヤーが重視しているポイントは次の通りです。
- 「環境配慮」だけでなく「継続供給」「緊急時対応」のバランス
- 省力化や納入形態の提案(例:多品種小ロットの一括パッケージ化、資材の回収型デリバリー)
- 環境アピールの“実効性評価”を伴うデータエビデンス(環境ラベル・第三者認証等)
- IT化やIoTによる在庫・消費量の可視化サポート
また、サステナブル指向をうわべだけで語るのではなく、自社工場のCO2削減事例や廃材活用など、自社ストーリーとして語れるかどうかも差別化のポイントとなっています。
バイヤーが“見ている・知りたがっている”ポイントを把握し、適切なアウトプットを継続することで、長期的なパートナーシップへの道が開けるのです。
デジタル化がもたらす調達基準の革新
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、消耗品調達の現場にも変化をもたらしています。
AIを活用した消費量の自動予測、在庫最適化ソリューション、リモート発注・追跡管理、電子帳票による業務効率化などが加速。
これにより、ヒューマンエラーや管理コストを削減しながら、「本当に必要なものを、必要な量だけ」確実に調達する土壌づくりが進んでいます。
さらに、調達先各社の“サステナビリティ・スコア”を可視化・比較できるプラットフォームや、環境配慮型製品のみを集めた専門マーケットプレイスなども登場しています。
これらを活用することで、業種・規模を問わずサステナブル調達レベルの底上げが図れます。
現場目線で進めるサステナブル調達 ―「昭和的発想」からの脱却
サステナブルな視点を現場へ根付かせることは、一朝一夕には進みません。
昭和時代から続く「失敗を恐れる」「前例に倣う」といった風土が強く残っている工場現場が少なくないためです。
しかし、現場リーダーや工場長の「ちょっとした実験」から始まる種まきは、やがて大きなうねりとなります。
例えば、環境配慮型の使い捨て手袋を現場任せでトライアル導入した結果、「肌触りがいい」「従来品より丈夫」といった現場の“実感”が評価され、全社展開につながるケースもありました。
また、「ウエス回収リサイクル」のような、現場の手間を逆に減らす・コストも下げるアイデアは、抵抗感なく広がります。
つまり、トップダウンだけでなく、現場発信・小さな工夫・実利実感をうまく組み合わせることで、“昭和的精神論からの脱却”が現実のものになるのです。
まとめ:製造業の発展を支える「サステナブル消耗品調達」の未来へ
これからの製造業の競争力は、「意外と見過ごされがちな消耗品」領域の調達基準が大きくモノを言う時代です。
バイヤーとしても、サプライヤーとしても、単なるコスト・納期・品質から一歩踏み込み、「サステナブル」「現場密着」「デジタル連携」の3本柱をいかにして取り込むかが、未来を切り拓く鍵となります。
現場で培われた経験や知恵を活かしつつ、新しい技術や発想も取り入れていく――
それこそが、脱・昭和、脱・アナログから脱却し、次世代のサステナブルイノベーションを支える原動力となるのです。
消耗品調達の“常識”を、今こそアップデートしていきましょう。
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