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AI-OCRとRPA連携で受注入力フローを無人化するnewji自動化事例

目次
はじめに:製造業の「受注入力」は進化できるのか?
製造業において、「受注入力」とは、得意先からの注文書を受け取り、基幹システムや生産管理システムに正確なデータとして登録する仕事です。
昭和の時代から続くこの業務は、多くの現場でいまだに手作業、紙、FAX、社内回覧が「当たり前」となっています。
「これだけITが進んでいるのに、なぜいまだに受注入力で人手が取られるのか」
「自社のバイヤーは生産性向上の意識が低いのでは?」
「サプライヤー側として、ミスをゼロにして顧客の信頼を勝ち取る方法はないか」
このような悩みや疑問を抱えている現場担当者や管理職、これから製造業に挑戦する方へ。
本記事では、AI-OCRとRPAという最新技術から、実際の自動化現場の生々しい成功と失敗まで、現場目線で深掘りします。
現場あるある――受注入力その「アナログの壁」
受注入力業務には、製造業特有の「無形の壁」が存在します。
紙・FAX文化はなぜ淘汰されないのか
取引先ごとにフォーマットが異なる紙の注文書、FAXで届く不鮮明な数字――。
受注担当者は「受注番号」「発注数」「納期」などを目視で確認し、転記ミスを恐れてダブルチェック。
過去の現場でよくあったのは、
「手書き数字の判読ミスで納品数を誤り、多額の損失」
「担当者が長期休暇時、ベテランでなければ解読できない特殊な注文書による混乱」
などです。
なぜこんな状況が続くのか?
それは「現場慣れ」した感覚が根強いこと、一方で得意先も「今まで通り」を好むため、急激なデジタル移行がされないためです。
人海戦術の限界と、属人化リスク
毎日山積みの注文書、ベテランがいなくなると明日から業務が回らない。
繁閑差が激しい生産計画のなかで、入力作業員の残業や応援体制に依存。
「受注ミスはゼロに、だけど人件費は抑えたい」という二律背反の中、業務効率化が問われています。
AI-OCRとは?RPAとは?製造現場目線での基礎知識
AI-OCR(AI活用型光学文字認識)の革新性
従来のOCRは、活字や定形フォーマットには強いですが、手書きやレイアウト崩れには対応が難しい。
AI-OCRは「人間の目」に近い能力を持ち、不揃いの手書きや、複数パターンに分かれた発注書の情報を識別可能です。
これにより、今まで「自動化は無理」と思われたフォームにも十分応用できるようになりました。
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の現場導入効果
RPAは「ソフトウェアロボット」と呼ばれ、人間が普段パソコンでしている「データの転記作業」や「成型」が完全自動でできる仕組みです。
受注入力の場合、
1. 受領した注文書を指定フォルダへ入れる
2. RPAが自動でAI-OCRを起動し、データ化する
3. 得られたデータを基幹システムへ入力、伝票発行
この一連フローが人手なしで可能になります。
newji自動化事例:受注入力無人化の全プロセスを公開
実際に私が関わった大手製造業でのAI-OCR×RPA連携事例を紹介します。
プロジェクト立ち上げの背景と課題
年間30万枚の注文書、内訳は得意先ごとに100種以上の多様なフォーマット。
担当者5名が全て手入力し、1日数時間を割いていました。
繁忙期には派遣や応援が必要で、ヒューマンエラーと作業遅延が経営課題になっていました。
技術選定と検証(PoC)で重視した3つのポイント
1. あらゆる注文書(紙、FAX、PDF)の読み取り精度
2. 入力ミスが発生した場合の検知ロジック
3. 既存の基幹システムへの連携柔軟性
各社のAI-OCR、RPAツールを比較し、「手書きの癖」や「かすれ印字」の再現性も念入りにテストしました。
導入プロセス―失敗と紆余曲折
導入初期は「AI-OCRが思ったより読み込めない!」という反発も。
特に、得意先A社の特殊フォーマットや、FAXのカスレ、手書き数字の「7」と「1」の誤読が多発。
現場の声を聞き、「間違いが起きやすいパターン」をデータベース化。
RPA側に「自動検証フロー」を追加し、疑義がある場合のみ人が目視する仕組みを構築しました。
定着と効果測定
最終的に、全受注の96%を「無人化」成功。
1枚当たり平均1.5分かかっていた入力作業が、合計2000時間/年の削減効果。
ヒューマンエラーによるクレームが激減し、ベテラン担当者のノウハウをしくみ化できたことで、「人の目による最終確認」も随時ブラッシュアップできるようになりました。
現場活用のノウハウ――「人とロボの共存」設計の着眼点
100%自動化はほぼ不可能。その理由
現場を知る人なら必ず感じること。
どれだけAI-OCRやRPAの精度が上がっても、得意先フォーマット変更や突発的なイレギュラー注文は発生します。
「完全自動」が理想ですが、現実は「人の介在前提」とした設計が不可欠です。
例えば、エラー検知時のアラート通知、人が確認した箇所の履歴残し、「なぜミスったか」の原因分析機能。
ここを怠ると、100%信頼は抱けません。
属人化排除と教育――システムを育てる文化醸成
AI-OCRとRPAには「学習」が必須です。
初期登録時に多様なパターンを入力し、現場のエラーケース収集もこまめに行います。
現場担当者への「機械に弱い、手書き入力が得意」層には、不安払拭と丁寧な説明、そして「ミスゼロ時の成功体験」を与えることが定着のカギとなります。
バイヤー・サプライヤー視点で語る「受注入力」自動化の戦略的意味
バイヤー(発注側):仕事の質が変わる新時代
調達・購買担当者は、「正確な受注情報が早く伝わる」「納期相談や設計変更の柔軟対応」など、面倒な入力作業から解放されます。
浮いた時間で「コストダウン交渉」「リスクマネジメント」など、より高度なバリューワークへのシフトが可能です。
サプライヤー(受注側):顧客満足と差別化の武器に
受注入力ミスが減り、納期遵守率が上昇。
「注文書受領から1分で基幹連携完了」といった即応対応はバイヤーからも高評価。
しかも、この仕組み自体が「自社の先進性」をアピールする営業ツールとなります。
アナログ業界でも根付く最新動向と今後の展望
「抜け出せない昭和」のなかでも、少しずつ前進している
多くの製造業では、「紙・FAX→PDF化→AI-OCR連携→RPA自動転記」と段階的なデジタル移行が現実的です。
一気に全部置き換えるのは難しくとも、「イレギュラー処理のノウハウ」を少しずつRPAに載せることで、着実に進化します。
現場を知るからこその「現実的な設計思想」
大事なのは、「現場負担ゼロ」「完璧主義」を目指すのではなく、今のプロセスを活かしつつ、不足部分をシステムで柔軟に補填する考え方です。
現場主導、それを支える開発・IT担当者の「共創」が大きな成功要因となります。
まとめ:製造業の受注入力DX革命は「現場起点」から始まる
AI-OCRとRPA連携を軸に無人化を実現した受注入力の事例は、昭和的なアナログ文化の根が深い製造現場でも十分に実行可能であることを示しました。
完全自動化を掲げつつ、「ヒューマンエラー分析」「人とシステムの共存」「現場の声の反映」を両輪で推進することが、真の業務改革へとつながります。
今後は、受注の自動化ノウハウを発注、生産、品質、工場全体の自動化へ波及させることで、製造業全体の発展に寄与していきたいと強く思います。
現場の知恵と新技術の融合が、日本のモノづくりの未来を拓く鍵になるでしょう。
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