投稿日:2024年7月31日

非破壊検査 (Non-Destructive Testing, NDT) の技術と製造業での利用方法

非破壊検査 (Non-Destructive Testing, NDT) とは

非破壊検査 (Non-Destructive Testing, NDT) は、製品や部材の物理的・化学的性質を損なわない方法で評価・検査を行う技術です。
具体的には、素材や構造物の内部や表面の欠陥、変質、その他の異常を発見するために役立ちます。
製造業において、品質保証や製品の信頼性向上のために非常に重要な役割を果たしています。

非破壊検査の主な種類

放射線撮影検査 (Radiographic Testing, RT)

放射線撮影検査は、X線やガンマ線を使用して、対象物の内部構造を画像として表示する技術です。
特に金属材料の溶接部や鋳物の内部欠陥の検出に適しています。
この方法は非常に高い精度で欠陥を検出できますが、放射線の取り扱いに注意が必要です。

超音波検査 (Ultrasonic Testing, UT)

超音波検査は、高周波の音波を対象物に送り込み、その反射波を測定することで内部の欠陥を検出する技術です。
金属や非金属の材料の厚さ測定や内部欠陥の検出に使用されます。
超音波の特性を利用するため、被検査物の大きさや形状によって検査条件を調整する必要があります。

磁粉探傷検査 (Magnetic Particle Testing, MT)

磁粉探傷検査は、磁性材料に磁場をかけて表面および表面近くに存在する欠陥を磁粉で視覚化する方法です。
塗装や被膜が厚い場合には適用が難しくなりますが、金属部材の亀裂や継目などの検出に非常に有効です。

浸透探傷検査 (Liquid Penetrant Testing, PT)

浸透探傷検査は、液体の浸透剤を対象物の表面に塗布し、欠陥部分に浸透した後、現像液で欠陥を可視化する方法です。
非磁性材料や非鉄金属など、多くの材料に適応できます。
ただし、表面に露出した欠陥のみを検出できるため、深部の欠陥には対応できません。

渦流探傷検査 (Eddy Current Testing, ET)

渦流探傷検査は、導電性の材料に交流電流を流し、発生する渦電流の変化から欠陥を検出する方法です。
特に非破壊で構造物の疲労亀裂や腐食を早期に発見するために用いられます。
高い解析技術が求められますが、金属表面の微小な欠陥まで検出できます。

非破壊検査の利点と課題

非破壊検査の最大の利点は、製品や部材を破壊せずに品質を保証できることです。
これにより、コスト削減が可能であり、製品の信頼性を高めることができます。
また、安全性の向上とリスクの低減にも寄与します。
特に、航空機や鉄道車両などの高い信頼性が求められる分野での利用価値は計り知れません。

一方で、非破壊検査にはいくつかの課題も存在します。
例えば、検査員の技術や経験に結果が依存しやすく、一貫性を保つための訓練が必要です。
さらに、データの解釈に専門知識が求められ、誤解や過誤が生じる可能性もあります。

最新の技術動向

非破壊検査の技術は日々進化しており、最新の技術動向には以下のようなものがあります。

デジタルラジオグラフィ (Digital Radiography, DR)

デジタルラジオグラフィは、従来のフィルムを用いた放射線撮影に代わる技術です。
デジタル化されることで、高解像度の画像が取得でき、保存や共有が容易になります。
また、リアルタイムでの解析も可能となり、検査効率が飛躍的に向上します。

フェーズドアレイ超音波 (Phased Array Ultrasonic Testing, PAUT)

フェーズドアレイ超音波検査は、複数の超音波発信器を用いて、異なる角度から音波を送信する技術です。
これにより、欠陥の位置や形状を高精度で検出できます。
特に溶接部の検査において有効性が認められています。

レーザーシア応力検査 (Laser Shearography Testing)

レーザーシア応力検査は、レーザーを用いて物体表面の応力分布を可視化する方法です。
超高精度で欠陥を検出でき、複雑な形状の対象物にも適応します。
特に複合材料の検査において有効です。

非破壊検査の製造業での利用方法

非破壊検査は製造業の多くの分野で利用されています。
以下に主要な利用方法を紹介します。

品質保証と品質管理

製造業では、製品が顧客に届く前に品質を保証することが必須です。
非破壊検査は、製品の全数検査や抜き取り検査に利用され、欠陥の早期発見と対応策の実施に役立ちます。
特に、高精度が求められる医療機器や航空部品などでは不可欠なプロセスです。

メンテナンスと予防保全

工場設備やインフラのメンテナンスにおいても、非破壊検査は重要です。
定期的な検査を行うことで、潜在的な故障や事故の原因を早期に特定し、予防保全策を講じることができます。
これにより、稼働時間の最適化とコスト削減が期待できます。

新素材や新技術の評価

新しい素材や技術が導入される際には、その適性を評価するための検査が必要です。
非破壊検査は、迅速かつ確実に新素材や技術の品質評価を行うための有効な手段です。
例えば、カーボンファイバー強化プラスチック (CFRP) のような新素材の適用に際して、その内部構造を正確に評価することができます。

まとめ:非破壊検査の未来に向けて

非破壊検査 (NDT) は、製造業において欠かせない技術であり、その重要性はますます高まっています。
技術の進歩により、さらに高精度で効率的な検査方法が開発されており、これからも多くの分野で活用が進むでしょう。
製造業の現場では、非破壊検査を適切に活用することが品質保証や製品の信頼性向上に直結します。
引き続き、最新技術の導入と現場での実践を通じて、非破壊検査の可能性を広げていくことが求められます。

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