- お役立ち記事
- ペットフードOEMに必要な栄養バランスとラベル表示ルール
ペットフードOEMに必要な栄養バランスとラベル表示ルール

目次
ペットフードOEMに必要な栄養バランスとラベル表示ルール
ペット市場の成長に伴い、ペットフードOEM(受託製造)のニーズが高まっています。
人の健康志向が愛犬・愛猫にも波及し、飼い主はますます高い品質や安全性、正確な情報開示を求めています。
本記事では、工場現場での経験や業界動向を踏まえ、ペットフードOEMに携わる方々へ向けて、必須の栄養設計と複雑なラベル表示ルールをわかりやすく解説します。
ペットフードOEMの現状と業界動向
ペットフード業界の市場動向
近年ペットフード業界では、いわゆる「ヒューマングレード」や「国産・無添加」などプレミアム志向の商品が増加しています。
従来の大手メーカーだけでなく、中小規模の新規参入も活発です。
OEM(受託製造)が拡大する理由は、自社ブランドを手軽に立ち上げたいという需要の高まりと、生産設備や衛生管理など高度なインフラを外部へ委託する合理性にあります。
現場目線で知るOEM受託のリアル
OEM生産現場では、顧客(バイヤー)からの細やかな要望への対応力が問われます。
昭和の時代から続く「お任せ型」OEMとは異なり、現在では詳細な栄養設計・成分分析・GMP対応等が必須です。
また、人向け食品に準じた品質管理やトレーサビリティも求められるため、アナログな現場でも新たな基準への対応が強く求められます。
ペットフードに必要な栄養バランスとは
総合栄養食と一般食の違い
ペットフードは「総合栄養食」と「一般食」に大きく分かれます。
総合栄養食は、そのフードと水だけで健康維持に必要な栄養を全て摂取できるものです。
一方、一般食は嗜好品やトッピングとして位置づけられています。
OEMで最も重要とされるのは「総合栄養食」として配合設計を行い、各種基準をクリアすることです。
AAFCOとFEDIAF基準の概要
総合栄養食の設計の際は、AAFCO(米国飼料検査官協会)やFEDIAF(欧州ペットフード工業連合会)の栄養基準が国際的な指標となります。
国内では、ペットフード安全法に照らし合わせ、日本ペットフード公正取引協議会(ペットフード公取協)の認証基準を満たす必要があります。
例えば、犬用ドライフードでは成犬用・幼犬用ごとに、
タンパク質・脂質・炭水化物・各種ミネラル・ビタミンの最低/最大含有量が細かく規定されています。
製造現場では分析装置や専門の試験機関による分析データを活用し、厳密に設計・検証を行います。
原材料選定と栄養バランス調整の勘所
バイヤー(発注者)の多くは、見た目や原材料表示のみを重視しがちですが、本来、粒のサイズや形状、素材の消化吸収率まで踏み込む設計力が重要です。
栄養設計では、例えばタンパク源に鶏肉を選ぶ場合、
「動物性タンパク主体/植物性タンパクとのバランス」「脂質含量」などを細かく設定します。
さらにアミノ酸バランス、マグネシウムやリンなどミネラルバランス、オメガ脂肪酸比率、繊維質といった微細な部分にも注意を払う必要があります。
現場での失敗例として、意図せずカルシウムやリンが基準から外れ、総合栄養食表示ができなかったという事例も少なくありません。
実務レベルでは、配合前サンプルの分析、連続生産時の抜き取り検査、ロットごとの栄養値保証体制も必須です。
ペットフードのラベル表示ルール
表示に関する法的義務とトレンド
日本では「ペットフード安全法」に基づき、販売用ペットフードの製造・輸入者は
「名称」
「原材料名」
「賞味期限」
「成分表(保証成分値)」
「原産国名」
「内容量」
などの法定項目をパッケージ表記しなければなりません。
さらに製品区分(総合栄養食・間食・その他)、対象動物種(犬or猫)も明記が必要です。
ヒューマングレードや無添加といった任意表現も、科学的根拠や工程管理体制が伴わない場合は不当表示となり、バイヤー・サプライヤー共にリスク管理が不可欠です。
ラベル作成の現場的ポイント
現場では、設計栄養値の「保証成分値」と現物分析値を正確に突き合わせ、
表示ぶれによる法違反を防ぐ体制を構築します。
また、原材料名は配合割合の高い順で列記し、生産回ごとに配合が変動する場合の運用フローも事前設定が求められます。
アレルゲン表示や添加物(酸化防止剤・着色料など)の明確化、キャッチコピーや差別化表現の適正化など、
現場からは「法令解釈力」と「情報正確性」が強く求められ、多部門(品質・開発・営業・法務)での連携が重要です。
サプライヤー・バイヤーが注意すべき、新旧業界文化の融合
昭和時代からのアナログ受託現場では、「帳尻合わせ」や「不明確な現物調整」が黙認されてきた例も見られました。
しかし現代では、バイヤーからの監査・抜き打ち検査、消費者からの問い合わせ増加が現場運営を大きく変えています。
OEMで発注側(バイヤー)が理解すべき点は、サプライヤー工場側も
「分解能の高い管理」
「NG時のリカバリー体制」
「正しい表示・証憑管理」
「IT化・自動化管理」
に移行しなくては継続的供給の信頼が得られないということです。
また、ペットフード特有のプレミアム化・多品種小ロット要求に応えるために、
現場では「工程ごとの可視化」や「デジタル化」「ヒューマンエラー対策」という現代的手法も浸透しつつあります。
現場発:OEM成功の鍵は「設計力×表示管理力」
OEMペットフード市場は、今や単なる「外注生産」から「企画・設計力」「品質管理力」「信頼性管理」を含めた総合サービス競争に突入しています。
バイヤーであれば
・明確なコンセプト設計(ターゲット動物種/年齢/健康テーマ等)
・期待する栄養バランス基準の明示
・想定ラベル表現・訴求ポイントの共有
・ラボ検査・現場視察による検証
など、詳細レベルでサプライヤーと対話する力が不可欠です。
一方、サプライヤー側も
・栄養設計・原材料調達・製造・ラベル表示までワンストップ体制
・アナログ工程からのDX転換、ミス防止・記録管理強化
・プロダクト説明力強化と付加価値提案
が差別化のカギとなります。
まとめ:ペットフードOEMで未来を切り開くために
ペットフードOEMにおいては、単に「作る」「仕入れる」だけでなく
・科学的な栄養設計に基づく総合栄養食対応
・根拠のある法定ラベル表示
・透明性の高い現場運営
・旧来型の現場文化をデジタル化や人材育成で刷新する意識
が決定的な競争力となります。
OEMビジネスのバイヤー、サプライヤーともに、「基準」と「透明性」を軸に
価値向上と信頼強化に取り組むことが、これからの製造業・ペット市場におけるサバイバル条件といえるでしょう。
現場からの実践例や業界動向を把握し、「設計力×表示管理力×現場変革」—この三位一体でもって、新しいペットフードOEMの時代をともに切り開いていきましょう。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)