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生活雑貨ODM:型不要の成形と市販部品の賢い活用法

目次
はじめに:生活雑貨ODMの新たな潮流
生活雑貨産業は、常に変化と進化を続けています。
近年、ODM(Original Design Manufacturing)の活用が広がり、製造方法やアイデアの具現化が大きく変化しています。
従来、「型(モールド)」を用いた成形が主流でしたが、コストとスピードの問題、そしてサステナビリティ(持続可能性)を背景に、型の要らない成形技術や市販部品の組み合わせが注目されています。
この記事では、大手製造業メーカーで築いた現場目線から、型不要成形と市販部品の活用について実践的なノウハウを提供します。
1. 昭和から続く「型」依存の課題と限界
1-1. 型成形のメリットとその陰に潜むデメリット
多くの生活雑貨は、射出成形やプレス成形のように「型」を使う製造方法が一般的です。
型成形のメリットは、寸法精度の高い大量生産が可能な点です。
しかし、金型の初期投資は数十万円から数百万円に及びます。
また、一度型を作ると設計変更が困難になり、開発リードタイムも長くなります。
1-2. アナログ体質に根付く思い込みと変化への抵抗
製造業に長く根付く「型に頼る」という価値観は、合理的な部分と同時に、柔軟な発想やスピード感を妨げる側面もあります。
「とりあえず型を作る」「部品は全部一から作る」といった“昭和的”なアプローチは、競争激化や多様化が進む中では、時に大きな足かせとなります。
2. 型不要成形が拓く新しいモノづくり
2-1. 樹脂加工の小ロット対応~カット・曲げ・接着の活用
最近では、樹脂プレートやチューブ、丸棒などを既存の汎用素材から切断・曲げ・接着し、型を作ることなく部品として利用する手法が増えています。
レーザーカット、CNC加工、3Dプリンタも大きな武器です。
これにより、小ロット品や多品種少量生産でも、開発リードタイムやコストを大幅に削減できます。
2-2. モジュール構造による設計思想の転換
パーツごとに分割し、市販部品や簡易加工部品を組み合わせれば、一からすべてを設計・製造する必要がなくなります。
例えば、ケースやホルダーは市販規格品を使い、内部のみ独自加工部品を入れることで、製品改良や派生品への対応もスピーディになります。
2-3. サステナビリティへの寄与
型不要のアプローチは、廃棄コストやプラスチックごみ削減の面でも注目されています。
必要な分しか生産しない、在庫リスクを抑えるといった取り組みが、ESG経営やSDGs推進にも寄与します。
3. 市販部品の賢い活用法とは
3-1. サプライチェーンの多様化で進化する市販部品
近年、モノタロウ、RS、ミスミなどのECプラットフォームを中心に、市販部品の種類は爆発的に増えています。
規格品の拡充、短納期対応、3Dデータ提供など、設計者やバイヤーの利便性は格段に向上しました。
3-2. 市販部品採用メリット
市販部品を活用することで、リードタイムの短縮、調達コストの削減、安定品質の確保が実現できます。
また、メンテナンス性や流用設計にも強みを発揮し、設計段階からのコストダウン(VE/VA活動)につながります。
3-3. 現場からの「流用設計」戦略
実際の現場では、品質部や生産技術部と競合他社品や過去案件の流用を前提に会話しています。
「この形状ならこの市販部品で代用できないか?」「規格変更があっても即座に代替できる構成にできないか」など、モジュール設計と部品共有化が加速しています。
4. バイヤー視点で見るODM時代の調達購買戦略
4-1. 価格だけでなくリスクと柔軟性を評価する
バイヤーとしては、価格交渉はもちろん、納期や供給安定性、法規制(RoHS/REACH等)、環境対応をトータルで考慮する必要があります。
特にODM委託時は「型を作ってしまえば安心」ではなく、「部品の調達難易度」「サプライヤーの変更容易性」にも注目すべきです。
4-2. サプライヤー目線で分かる提案の鉄則
ODM委託を受けるサプライヤーとして重要なのは、形状や機能要求に対して柔軟な代替案を提案できるスキルです。
「この仕様は型なしでも実現できます」「この部品は市販品に置き換えることでコストと納期を圧縮できます」など、バイヤーの視点に立った提案力が信頼の礎となります。
5. 成功する生活雑貨ODM ~型不要&市販部品活用の実践ポイント~
5-1. 設計段階での「割り切り」と「共通化」の推進
すべての部品をオリジナルで作るのではなく、「割り切り設計」で市販部品に合わせて設計し、複数製品で共通部品を使い回すことがポイントです。
これにより、開発・購買・品質部門すべてがメリットを享受できます。
5-2. 3Dプリンタと簡易治具の積極利用
型不要成形の流れを加速するのが、3Dプリンタや簡易ジグ、治具類の活用です。
試作段階から量産初期まで、柔軟な形状変更やフィードバック設計が可能で、無駄な投資と手戻りを削減します。
5-3. 現場コミュニケーションの徹底
設計・購買・生産・品質といった複数部門のコミュニケーションを密に行い、現場の実情や市場の動向をリアルタイムで共有することで、ボトルネックの早期発見や新たな発想への転換が可能です。
6. まとめ:現場発・ODM新時代のモノづくりへ
従来の「型」を作って量産するスタイルにこだわらず、柔軟な発想と“市販部品の組み合わせ”を活用することで、小ロット多品種・高付加価値商品を素早く市場に投入できる時代になりました。
昭和のアナログな価値観と、最新のデジタル活用をハイブリッドで考えることで、ODM製造の可能性は大きく広がります。
バイヤーもサプライヤーも、現場で培った知見を武器に、「型要らず」「市販部品活用」「柔軟提案」により、生活雑貨業界の新たな価値創造に貢献していきましょう。
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