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宿泊業がオリジナルルームウェアを製造するためのOEM契約と生産スケジュール

目次
はじめに:オリジナルルームウェアが求められる時代背景
宿泊業界ではゲスト一人ひとりに特別な滞在体験を提供することが重要視されています。
その中で近年、独自性のあるオリジナルルームウェアは宿泊業のブランディングや差別化戦略の一環として急速に注目されています。
多くの宿泊施設が、従来の画一的な共用パジャマではなく、快適性やデザイン性に富んだ自社オリジナルのルームウェアを求めるようになりました。
この動きは、SNS映えや、滞在中のウェアで記憶に残る体験を演出したいというお客様の声に後押しされています。
しかし、自社で一からルームウェアを作るとなると、生地の選定からデザイン、縫製、ロゴ入れ、品質チェックまで多岐にわたるプロセスが発生します。
ここで登場するのがOEM(Original Equipment Manufacturer:相手先ブランド製造)契約です。
効率的かつ安定した品質で自社オリジナルルームウェアを製造するにはOEM契約の理解と、現場での実践的な生産スケジュール管理が不可欠です。
OEM契約とは?宿泊業が知っておきたい基本知識
OEM契約とは、宿泊施設のブランド名で特注のルームウェアを外部の専門工場に製造委託する方法です。
製造メーカーは自社工場・協力工場の生産能力やノウハウ、調達ルート、品質管理の仕組みを活かし、宿泊業の要望に合わせたルームウェアを形にします。
OEM契約の主なメリット
– 品質や生地、デザインの自由度が高い
– 大量ロットから小ロットまで柔軟に対応可能
– リードタイムの短縮や調達コストの最適化
– 品質管理にプロの目が入るため安定した出来上がり
OEM契約の流れ(概要)
1. 企画・デザイン設計(自社、またはデザイナーと連携)
2. サンプル作成・修正
3. 発注・契約締結
4. 原材料の選定と調達
5. 量産・検品
6. 納品・アフターサポート
こうした流れですが、「時間がかかるのでは?」と思われがちです。
しかし、昭和のアナログメーカー時代と比べ、現代のOEMパートナーはデジタル管理やサプライチェーン最適化で納期短縮の努力を重ねています。
オリジナルルームウェア製造の勘所:OEMパートナー選びの現場目線
実際に宿泊業がOEMでルームウェアを製造する際、最も重要なのは委託先パートナーの見極めです。
選ぶポイント1:企画提案力とコミュニケーション
経験豊富なOEM企業であれば、流行の素材や縫製技術など現場目線の提案が受けられます。
こちらの要望が曖昧な場合でも、課題を言語化して提案してくれるかどうか。
問い合わせ対応や説明がスムーズか否かも信頼の指標です。
選ぶポイント2:小ロット・多品種対応の柔軟性
在庫リスクや無駄なコストを減らすため、小ロットでも生産してくれる会社を選びましょう。
また、季節ごとの色違いやサイズ展開など、多品種対応力も必須です。
選ぶポイント3:品質保証とトレーサビリティ
洗濯で型崩れしない、縫製強度がある、肌に心地よいなど、品質基準は明示して選ぶ必要があります。
トレーサビリティがしっかりとれている工場であれば、万が一のクレーム時も迅速な原因追及・改善が可能です。
選ぶポイント4:納期対応と物流力
突発的な増産や、繁忙期納品など「お客様都合の現場事情」への対応力も重要です。
流通網や物流拠点の充実度も確認することで、納品遅れや緊急対応に強いパートナーが選べます。
OEM契約の現実的な生産スケジュールと交渉術
OEMパートナーを決めたら、本格的な生産スケジュールの策定です。
ここが製造業出身者として最も腕の見せ所だと考えます。
目安スケジュール(一般的なパターン)
– 企画・デザイン協議(1~2週間)
– サンプル製作・フィードバック(2~3週間)
– 仕様最終確定・発注(1週間)
– 原材料手配・裁断縫製・プリント加工(3~4週間)
– 全量検品・納品(1週間)
合計:発注から最短6~8週間程度
ただし、昨今では原材料の高騰や世界的なサプライチェーンの混乱(例えばコロナ禍のロックダウンや為替変動)も起こり、昭和時代の「言った通りに、約束の納期で」を続けるのは困難です。
最新情報を常にキャッチし、無理のない生産計画を心がける必要があります。
交渉のコツ
– サンプル修正は最小限にし、初期仕様をできる限り明確化
– 費用と納期はセットで確認し、コミットさせる
– 原材料市況や外部要因の価格・納期リスクもあらかじめ協議
– 一定数の予備在庫を計画し、販売状況をOEMパートナーと共有
– 万一のトラブル時には「どうリカバリーできるか」を契約時に確認
これが現場で生き残るためのアナログ的下支えです。
オリジナルルームウェアの品質基準と押さえておくべきポイント
宿泊業の利用シーンは多岐にわたり、ルームウェアには「着やすさ」と「耐久性」が両立されている必要があります。
また、高級ホテルや旅館であれば、デザイン性も譲れません。
主な品質基準
– 綿素材ならば吸汗速乾性
– 洗濯10回に耐える耐久縫製
– ボタンやファスナーなど副資材の壊れにくさ
– ラベルの肌当たり
– サイズごとの寸法管理徹底
– 無蛍光・低刺激性(敏感肌対応)
OEMメーカーには、これを数値基準やサンプルテスト項目としてきちんと明示しましょう。
製造業の現場目線で見る!OEM製造のよくある落とし穴
現場経験者としてよく見かける失敗談をいくつか紹介します。
– 最初の仕様が曖昧で、「思っていた生地感と違った…」と後悔
– 実際の利用シーンを把握していなかったため、ポケット位置やサイズが不便
– 原材料価格の変動で急にコストアップし、利益が圧迫
– 海外生産による納期遅延や物流トラブル
– 検品漏れでロゴのプリントミス、全量返品
こうしたリスクを最小限に抑えるためにも、社内外の関係者(特に現場スタッフやハウスキーピング担当)の声に耳を傾け、細部まで「なぜこの仕様が必要なのか?」をつきつめて考えましょう。
サプライヤー・バイヤー関係構築のための鉄則
製造業でよく言われる「三現主義(現場・現物・現実)」を徹底し、OEMメーカー(サプライヤー)とは信頼関係を構築しましょう。
– 定期的な現場見学やサンプルチェックを行う
– トラブル時には感情に流されず、事実ベースで冷静に交渉
– 納入後のクレームデータも共有し、メーカーの現場改善に協力
– 新しい素材や技術情報を互いに勉強会で共有
これが、アナログ文化が色濃く残る業界にも有効な「現場を知るバイヤー」の姿勢です。
まとめ:オリジナルルームウェアは宿泊業の新しい付加価値に
オリジナルルームウェアのOEM製造は、宿泊施設にとって「大きな投資」でもありますが、「唯一無二の体験」をゲストに提供できる強力な武器でもあります。
昭和から変わらぬ現場主義・人間関係重視の業界慣習と、令和のデジタル・グローバル志向を組み合わせることで、リスクを最小限にしつつ最大の成果を目指しましょう。
今後ますます拡大する宿泊業界において、調達・生産管理・サプライヤー交渉など、製造業現場出身者ならではの知見が大きく活きてきます。
現場経験を活かし、OEMパートナーと共に、一歩抜きん出たルームウェアでお客様に感動を届けていただきたいと願っています。
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