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美容サロンがオリジナルコスメを開発する際のOEM選定とテスト販売の進め方

目次
はじめに:美容サロンの新たな挑戦「オリジナルコスメ」
美容業界における差別化は、年々難しくなっています。
従来は接客力や技術力、店舗デザインなどで競うのが一般的でしたが、昨今では「サロン発の自社ブランドコスメ」の導入が注目されています。
この取り組みは、既存顧客との関係強化はもちろん、新規顧客獲得やサロンのブランディングにも直結します。
しかし、コスメ開発には多くの専門知識とマーケティング戦略が不可欠です。
特にOEM(受託製造)メーカーの選定と、テスト販売のプロセス設計は事業成否を分ける分岐点です。
本記事では、製造業の現場目線から、アナログな空気が残る業界特有の事情も踏まえ、OEM選定とテスト販売の現実的かつ成功確率を上げる進め方を解説します。
OEMとは?なぜ自社開発より有効なのか
OEM(Original Equipment Manufacturer)は、「自社ブランドで商品を展開したいが、設備や製造ノウハウがない」事業者が製造委託する仕組みです。
コスメの処方設計から充填・包装まで、製品化のプロセス全体を受託メーカーが担います。
なぜ、サロンが自社内製ではなくOEMを使うべきなのでしょうか。
製造コスト削減と品質担保
設備投資や研究費など初期コストを大幅に下げることができます。
また、専門工場のノウハウや薬事法対応といった品質や法規制もOEMなら安心です。
これは、「昭和から続く現場の知恵」とも言える「無理しない」「餅は餅屋に」という考え方に通じます。
スピード感と市場対応力
トレンドの変化が早い美容業界では、商品開発のスピードが命です。
OEMメーカーは既存の処方やパッケージを応用できるので、要望に応じて柔軟なカスタマイズが可能です。
サロン専用コスメOEMの選定ポイント
OEMメーカー選びはコスメ開発で最も重要なプロセスです。
ここでは調達現場で鍛えた「バイヤー発想」を生かし、サロンに最適なOEMパートナーの選び方を整理します。
1. 実績・得意分野の見極め
美容サロン向けOEMは、一般流通向け(ドラッグストア用)と求められるノウハウが異なります。
「小ロット可」「サロン限定」の実績が豊富なメーカーか、過去の開発商品や取引サロンをリサーチしましょう。
ここで重要なのがお互いの「価値観マッチング」です。サロンの世界観と、OEMメーカーが得意とする雰囲気が合うかを、見学やサンプル打合せの場で確認するのがおすすめです。
2. コストとMOQ(最小ロット)の柔軟性
サロン発コスメは、まずは「失敗しても痛手にならない規模で」始めるべきです。
OEMメーカーによっては最低発注数量(MOQ)が1,000本~1万本まで様々です。
小ロットからスタートできるか、またサンプル制作費や初期費用体系を詳細に比較しましょう。
商品化後の再発注や短納期対応も事前に確認しておくことが、後々のトラブル防止につながります。
3. コミュニケーション体制(開発サポート力)
初めてのコスメ開発は「わからないことが多い」のが当たり前です。
丸ごと受け身でなく、デザインや成分、ラベル表示、薬事などすべて相談できるか、「伴走型」のOEMメーカーを選ぶのが現場成功のコツです。
メールや電話でのレスポンスは早いか、専任担当が付くか、アフターフォローも重視しましょう。
4. 安全・品質管理とトレーサビリティ
真に長く愛されるサロンコスメをつくるには、「安全性」「再現性」が必須です。
原料管理や製造記録、安全検査(パッチテスト・安定性試験)の実施をOEMメーカーの現場で実際に確認しましょう。
ISO認証や化粧品GMP(適正製造規範)取得の有無も信頼の証です。
ラテラルシンキングで広がる「コスメ開発」の切り口
OEM選定を進める際、一般的な「化粧水」「クリーム」だけでなく、サロンならではの強みを活かした商品企画が新境地を開きます。
現場発アイデアの重要性
日々顧客の悩みを受けるスタッフの意見は宝の山です。
「ヘッドスパ後の頭皮ケア」「まつエク耐久性アップの美容液」など、“現場のお客様の声”をOEMメーカーへのブリーフィング材料に盛り込むと、より共感度の高い製品が生まれるでしょう。
「体験」をプロダクトと連動
昭和的発想では「売れる商品を作る」ことがゴールでしたが、今は「サロン体験(施術・空間)」と連動した商品開発が成果を伸ばします。
例えば、「サロン施術の仕上がりを自宅で再現できる」ホームケア商品とすることで、体験価値が循環し、リピーター増加という好循環が生まれます。
実践的・現場発テスト販売の進め方
OEMメーカーと試作品を作った後、いきなり大量生産・全国販売するのは非常にリスクが高くなります。
ここでは、製造業でよく知られる「試作→プレマーケ→本生産」という現場流の流れをサロン向けにアレンジして解説します。
1. サンプル提供で顧客リアルボイス収集
まずは常連顧客や協力的なサロンスタッフに向けて、試作品のサンプルを無料もしくはモニター価格で配布します。
アンケートや会話によるフィードバックで「使用感」「香り」「効果」「パッケージデザイン」など五感に訴える定性的な評価を集めましょう。
判断基準は「自分でお金を払ってリピートしたいか」という率直な声です。
2. 店頭限定のテスト販売
十分なフィードバックを受けたら、実際にサロン内で限定的なプチ販売を行います。
例えば「先着50本/予約制」など希少性を出すのも有効です。
結果を定量的に把握するため、POSレジや売上管理表を用い、どんなお客様がどのタイミングで購入したかを分析します。
ここで「想定より早く完売する」などの手応えがあれば本格的展開への自信につながります。
3. 施術連動型プロモーション
「トリートメントを受けた方へお試しミニサイズをプレゼント」「購入者限定でスペシャルカウンセリング」といったプロモーションを組み合わせることで、体験価値向上と商品認知を同時に実現できます。
コレは、製造現場で言う「現品確認」「現地現物主義」と同じく、実際の利用シーンを重視したアプローチです。
4. 顧客データから改良→2ndロットへ
売れ行きデータや顧客の声、返品やクレーム内容も必ず記録します。
ここからは製造業の「PDCA」サイクルと同じです。
気になった改善ポイント(たとえば「香りが好みに合わない」「キャップが開けにくい」など)をOEMメーカーにフィードバックし、短期間で2ndロットの改良・再販売につなげていきましょう。
製造業の現場発想が生きる:サロン向けコスメ開発で注意したいこと
アナログ色が強い美容業界ですが、コスメ開発には製造業の「品質・現場重視」の姿勢が大きな力を発揮します。
薬事とパッケージ表示のチェック
化粧品表示の不備はトラブルや回収リスクに直結します。
OEMメーカー任せにせず、パッケージやWeb文言もダブルチェックしましょう。もし表示や訴求ワードで悩んだら、中小企業診断士や行政書士など専門家にセカンドオピニオンを求める姿勢が大切です。
ブランド世界観の統一
せっかくのオリジナルコスメも、「サロンらしさ」と合致していなければ陳腐化し、在庫の山…という事態にもなりかねません。
デザインやメッセージもサロンのコンセプトと一貫性を持たせましょう。
まとめ:昭和的経験×ラテラル思考で未来を切り拓く
美容サロンのオリジナルコスメ開発は、単なるモノづくり以上に、「サロン体験の拡張」や「ブランド磨き」という大きな効果をもたらします。
OEMメーカーの確かな選定、テスト販売の現場重視、顧客ニーズへの俊敏な対応という、昭和から現代へ続く製造業の現場知見を最大限活用してください。
ちょっとしたリスクや壁で諦めず、ラテラルシンキングを駆使して「想像を超える新しい商品体験」を、現場力との掛け算で生み出していきましょう。
これからのサロン経営の柱となるオリジナルコスメは、あなたと顧客と、OEMパートナーの三位一体でつくる“共創ブランド”へ成長させることが成功の鍵です。
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