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OEMとODMの違いと選び方:自社に合う委託モデルを30分で判定するチェックリスト

目次
はじめに:製造業の委託モデルを正しく理解する重要性
製造業の現場では、製品づくりの在り方が多様化しています。
自社ですべてを設計・製造する時代から、外部パートナーとの協業を進める時代へと移り変わってきました。
その中でOEM(Original Equipment Manufacturer)やODM(Original Design Manufacturer)という委託モデルが広く浸透しています。
しかし「OEMとODMの違いが曖昧」「どちらを選ぶべきか判断に迷う」といった現場の声も多く耳にします。
この記事では、現場感覚をふまえた実践的な視点から、OEMとODMの違いと選び方を明確にし、自社に最適な委託モデルを素早く判定するためのチェックリストを提供します。
OEMとは何か?:設計主導権とブランド戦略
OEMの基本的な定義
OEMは、委託元(発注側)のブランドで販売される製品を、委託先(受託側)が製造するビジネスモデルです。
ポイントは「企画・設計を委託元が握る」点にあります。
典型的なOEMの例は、家電メーカーA社が設計した炊飯器を、B社が製造する構図です。
完成した製品にはA社のロゴが付けられ、市場にはA社商品として登場します。
B社は製造に専念し、A社の技術指示・品質要件に従う形です。
OEM導入の現場メリットと課題
OEMは次のような利点があります。
– 設計意図や技術ノウハウを保護しやすい
– ブランドイメージのコントロールが効く
– 製造リソースやコストを外部にシフトできる
一方で現場からは、
– 技術情報開示の手間やリスク
– 委託先との緻密な工程管理が不可欠
といった声も上がります。
これらをどうバランスさせるかがOEM活用のカギとなります。
ODMとは何か?:設計の丸投げとスピードの追求
ODMの基本的な定義
ODMは、製品の「企画・設計」までを受託側パートナーに任せるモデルです。
委託元は、できあがった製品の仕様や方向性を提示するものの、詳細設計や試作などは基本的にODMパートナー側に委ねます。
製品には委託元のブランドロゴが付けられるため、顧客からはOEMとの違いが分かりにくい場合もあります。
たとえばファッション業界で、トレンド情報や希望イメージだけ伝え、工場がデザイン〜生産まで一気通貫で提供するのがODMモデルです。
ODM導入の現場メリットと課題
ODMのメリットは、
– 新商品の立上げスピードが圧倒的に早い
– 委託元の設計リソースが不要、人的コストが最小化
– パートナーの独自技術・ノウハウを活用できる
です。
一方、現場経験からすると、
– 意図した仕様と違う製品が出てくるリスク
– 品質担保・技術伝承・トラブル対応がブラックボックス化しやすい
– 自社独自の競争優位性が出しにくい
という課題が根強く存在します。
OEMとODMどちらを選ぶべきか?判断基準の整理
意思決定フロー:現場目線で確認したい6つのポイント
OEMとODM、どちらを選択するかは一概にどちらが「優れている」と決められません。
現場の実情や自社リソース、競争環境によって最適解は変わります。
バイヤー、サプライヤー双方の立ち位置も意識し、次の6つの観点から意思決定の軸を整理しましょう。
1. 商品企画力・設計力は自社の強みか?
2. 製造にまわせる人的リソース・ノウハウは十分か?
3. 短期間で商品ラインナップを増やす必要があるか?
4. 市場でのブランド価値・独自性にこだわるか?
5. 品質管理・トレーサビリティをどこまで重視するか?
6. パートナーの開発力・実績・信用度は十分か?
これらを自社の現状と照らして明確に優先順位をつけていくことが重要です。
具体的な判断シナリオ:メーカー現場の実例
– 商品企画・マーケティング部門が強く、「設計は自社で」「製造だけ外注」にしたいならOEM
– 明確な市場ニーズがあり、とにかく商品投入をスピーディに、かつ開発負荷を抑えたいならODM
– 設計ノウハウが枯渇していても、現場に設計標準・品質基準の蓄積を重視したい場合はOEM主体で一部ODM導入
– ブランド力より独自技術や協業による価格訴求が重視される「汎用製品」はODM寄り
こうした現場判断が、後の競争優位性や安定供給体制に直結します。
昭和的アナログ業界だからこそ問われるOEM/ODM戦略
製造業は保守的でアナログ思考が根強く残る業界でもあります。
「長年の付き合い」「職人技のこだわり」「現物主義」の文化から、OEM/ODMへの過度な依存を警戒する声が出るのも事実です。
ですが現代は世界規模のサプライチェーンが常態化し、「全工程を自社で」だけでは競争に勝てません。
昭和的なやり方のメリット(現場密着・品質意識の高さ)も活かしつつ、分業化・外部連携を進めるラテラルな発想が必要です。
– 複数OEMパートナーの選定で「量産力の比較」「リスクヘッジ体制の強化」
– 部品ごと(基幹・非基幹)のODM化でコア技術集中とコスト最適化
こうした両立がグローバル競争時代の成功方程式です。
30分で判定!OEM/ODMチェックリスト
現場の打ち合わせや経営会議で「どちらが良いのかすぐ判定したい」というケースも多いでしょう。
ここでは、経験を踏まえて30分以内に方向性を定めるための実践チェックリストを提供します。
【判定用チェックリスト】Yes/Noで自社を整理
1. 自社ですべての商品企画・設計を維持したい Yes → OEM優先
2. 製造コスト・品質要件を細かくコントロールしたい Yes → OEM
3. とにかく短期間で複数商品をローンチする必要がある Yes → ODMに強み
4. 自社独自技術やコアノウハウが少ない/差別化が難しい Yes → ODMに移行
5. パートナーの提案力・柔軟性を最大限利用したい Yes → ODMへ
6. 長年の取引先(サプライヤー)との関係強化も狙いたい Yes → OEM・ODMいずれも選択余地(協議ポイント)
Yesが多い方に今の自社戦略を寄せていくことで、「社内の温度感」や「現実に即した委託モデル」へと意思決定を進めることができます。
バイヤー視点・サプライヤー視点で見る選択の心理
バイヤー(調達側)が気にするポイント
– トータルコスト(見積明細だけでなく、工程移管時の教育・移行コストも)
– 品質担保(出荷前検査・認定試験・トレーサビリティの徹底)
– サプライヤーの「現場力」や応用力
– アフターサービスやトラブル時の対応力
サプライヤー(供給側)からみたバイヤーの本音
– 特注要求や設計変更要請があるか(手間に見合うマージン設計か)
– 長期契約か単年スポットか
– OEMなら「おまかせ製造力」、ODMなら「提案開発力」が差別化材料
– 日本的な空気・忖度を排し、仕様要件を明確化してもらえるバイヤーが歓迎される
これらは現場熟知者同士だからこそ成立する信頼関係と、短期的な数字だけに偏らない本質的なパートナーシップの形成に直結します。
まとめ:OEMとODMを最適化して製造業の未来を切り拓こう
製造業においてOEMとODMは単なる「外注」や「コスト削減策」ではありません。
自社にとって「何を守り、何を提携パートナーに委ねるべきか」という経営資源の最適配分戦略です。
時代に応じたラテラルな発想と、現場現実主義を両立しながら、判断軸を整えていくことが大切です。
このチェックリストや現場の知見が、OEMやODMモデルの適切な導入、ひいては現場発イノベーションの推進につながることを願っています。
外部委託モデルも主導権はあくまで「自社」にある──その当事者意識を持って、製造業の新たな地平線を共に切り拓いていきましょう。
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