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古い経営観が変革を拒み市場淘汰を加速させる現実

目次
はじめに:変革を拒むアナログ経営が引き起こす淘汰の時代
かつて世界を席巻した日本の製造業は、今やその足元に大きな変化の波が押し寄せています。
高い技術力や現場力を誇り、現場主義を守り続ける一方で、昭和から引き継がれた古い経営観が依然として根強く残り、変革を拒む事例が後を絶ちません。
その結果、時代の進化を読み取れず、市場からの淘汰が加速する現実がそこにあります。
本記事では、私自身が20年以上の製造業の現場を経験し、調達購買・生産管理・品質管理から工場自動化の現場までを見てきた立場から、アナログ経営が抱える問題と、これからの変革の方向性、そして現場でどう行動すべきかを深掘りしていきます。
昭和型経営観が製造業を縛る構造的課題
現場主義の限界とブラックボックス化
昭和時代からの製造業の強みは、現場のベテランによる属人的なノウハウと、細かな改善「カイゼン」の積み重ねに根ざしてきました。
これは確かに競争力の源泉でしたが、現代の複雑化・グローバル化した調達や、生産管理の最適化には対応しきれていません。
特定個人に依存したオペレーションは、情報のブラックボックス化を招きます。
例えば重要部材の調達ルートや、工場設備の運用ノウハウが現場リーダー1人の頭の中にしかない、というケースは今でも珍しくありません。
デジタル化への抵抗も相まって、情報が可視化・共有されないため、現場は”業務の属人化”から抜け出せず、市場の変化に柔軟に対応できない構造が温存されています。
年功序列と硬直した意思決定プロセス
経営層が高齢化し、年功序列の組織文化が色濃く残る企業ほど、新しい取り組みやシステムへの転換が遅れがちです。
「前例がない」「失敗を恐れる」「上司への忖度」こうした空気が新しい挑戦を萎縮させ、現場が知恵を出しても“上で潰される”という悪循環につながっています。
結果的にスピード感のない意思決定となり、不採算事業への固執や、競合他社の進出に追随できず業績悪化へと繋がる例も目立っています。
アナログ志向の悪循環と人材不足
「ウチのやり方が一番だ」と自社流を守ろうとする姿勢が、若い世代や多様な人材の参画を阻みます。
生産管理や調達管理も紙ベースでの管理、電話とファックスによるやりとりに終始し、せっかくのIT投資を現場が使いこなせないままブラックボックス化している企業も多いです。
こうした状態では、次世代を担う若手が育たず、人員の高齢化と現場スキルの継承断絶というWパンチに陥りがちです。
なぜ今、変革が求められるのか?新たな市場淘汰の構造
グローバル競争とサプライチェーンの再編
コロナ禍・地政学リスク・材料価格高騰といった外的要因によるサプライチェーンの混乱が、今まで以上に調達力や生産能力の柔軟さを求めています。
安価な労働力の活用や、生産拠点の多拠点分散、グローバル化するバイヤーやサプライヤーとのやり取りは、“現場だけの経験”では立ち行きません。
ITを駆使した在庫可視化、グローバル規格への迅速対応、データ分析にもとづく生産計画といった『データドリブン経営』へのシフトを進められない企業は、競争から取り残されます。
顧客ニーズの多様化・短納期化への追従
精度重視のモノづくり志向から、昨今は「少量多品種」「短納期対応」「製品ライフサイクルの短縮」がバイヤーやエンドユーザーから当たり前に求められます。
これに応じるためには、部品・原材料のリアルタイムな在庫管理、手配・生産スケジュールの自動最適化、AI/IoTを活用した予知保全など、「部分最適」から「全体最適」へと転換せざるを得ません。
ですが、古き良き時代の「現場勘」だけに依存していては、高速化する市場の変化に到底追いつけません。
結果、市場淘汰が加速するという現実が、私たちの目の前に広がっています。
現場から起こす“新たな地平線”の開拓法
ラテラルシンキングで自社の強みを再発見する
現場力の高さを、アナログ思考の“ガラパゴス化”で終わらせないためにはどうするべきか。
答えの一つは、「他業界の成功事例に学びながら自社の強みもラテラルに(水平的に)組み合わせること」にあります。
例えば、製造現場の「匠の技術」や、改善文化をデジタルツールと連携させることで、ノウハウの形式知化・標準化を推進できます。
現場リーダー自らが、IT部門やバイヤー・サプライヤーと積極的にコミュニケーションを取り、「どうすれば次世代型の最適なオペレーションが作れるか」を柔軟な発想で考えることが、変革の第一歩になるのです。
バイヤー視点で現場の課題をひもとく
今後ますます、バイヤーがサプライヤーに求める条件は「単なる価格の安さ」ではなく、「納期遵守、品質保証、危機対応力」といった全体最適化能力です。
サプライヤー側の現場でも、従来の“御用聞き型”営業から、「自社の生産・調達体制をどこまで見える化できるか」「リスク時にも安定供給できる多重化戦略があるか」が問われます。
現場から見れば、一担当者でもバイヤーの立場を想像し、「ウチの強み・弱みはどこか、どうアピールできるか」を冷静に分析する思考(ラテラルシンキング)の訓練が不可欠です。
調達購買・品質管理・生産管理の各部門が、「私たちが顧客ならどう考える?」と自問し、現場の慣習や伝統へのこだわりを一度“疑う”ことから変革が始まります。
分断を超えるための組織連携とDX推進
工場現場、管理部門、経営層の間の“壁”を取り払い、組織全体で「情報を共有・可視化」するDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが、今や生き残りの必須条件です。
単にシステムを入れるのではなく、現場が自分事として運用設計に参加し、現場起点で業務改善サイクルを回す――。
たとえば「部品の在庫状況をだれでも見えるようにする」「リアルタイムで不良発生・納期リスクがわかる」そんな仕組みは大企業だけのものではありません。
中小サプライヤーでも、既存のエクセル・クラウドを駆使すればできることは多いのです。
現場✕管理部門✕経営が一体となり、変革マインドを醸成し続けることが、時代の壁を突破するカギを握ります。
まとめ:変革を恐れず、新たな価値を創り出そう
いま製造業が直面する最大の壁は、「古い経営観による変化の拒絶」です。
しかし、時代から取り残されることは即、市場淘汰へと直結します。
大切なのは、「昭和の現場力」「現代のデジタル力」「ラテラルシンキングによる突破力」を掛け合わせ、現場から新しい地平線を開拓していく意思です。
読者の皆様には、バイヤーサイド・サプライヤーサイド、どちらの立場であっても「現場から変わる」ことに一歩踏み出してほしいと思います。
古き良き伝統を引き継ぎつつも、それを振り回される側ではなく、主体的にアップデートする。
そうすれば、どのような時代であっても、きっと「選ばれる現場」に生まれ変われるはずです。
これからの製造業の未来を切り拓くのは、私たち一人ひとりの“現場からの変革”に他なりません。
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