投稿日:2024年12月23日

分散分析(1元配置法と2元配置法)

分散分析とは

分散分析(Analysis of Variance:ANOVA)は、統計解析の手法の一つであり、異なるグループ間の平均値が統計的に異なるかどうかを判断するために用いられます。
多くのデータセットの中から有意差を見つけるために、分散分析は極めて有用です。

製造業においては、工程の最適化、新製品の品質評価、さらにはコスト削減のための要因分析など、多様な分野で活用されています。
今回は、特に「1元配置法」と「2元配置法」の分散分析に焦点を当て、その基礎を説明していきます。

1元配置法とは

1元配置法の基本概念

1元配置法(One-Way ANOVA)は、一つの要因または条件(独立変数)が複数のレベルを持つ場合に、その要因が従属変数に対して有意な影響を及ぼすかどうかを確認するための手法です。
簡単に言えば、一種類の要因について複数の群を比較する際に用いられる方法です。

例えば、製造業において異なる製造ラインの効率を比較する場合が1元配置法の典型です。
ここでは、製造ラインという一つの要因(独立変数)に対して、その成果である製品の生産量や不良率を評価します。

1元配置法の手順

1元配置法の手順は以下のようになります。

1. 仮説の設定:無効仮説(H0)は群間の平均値に差がないという仮説、有効仮説(H1)は差があるという仮説を設定します。
2. 分散分析表の作成:データを基に分散分析表を作成し、総変動、群間変動、群内変動を計算します。
3. F検定の実施:群間変動と群内変動の比としてF値を計算し、F分布表の臨界値と比較します。
4. 結論の導出:F値が臨界値を上回れば、有意差があると結論付けます。

1元配置法の応用例

製造業における具体例として、異なる原料の仕入先による製造品質の影響を調べる際に、1元配置法を用います。
例えば、複数のサプライヤーから材料を仕入れ、それぞれの材料を用いて製品を試作し、製品の強度を測定します。

サプライヤーという一つの要因に対し、製品の強度という従属変数の平均に差があるかを分散分析で判断するのです。

2元配置法とは

2元配置法の基本概念

2元配置法(Two-Way ANOVA)は、二つの要因が同時に従属変数に及ぼす影響を調べるための手法です。
要因間の交互作用も考慮されるため、より複雑なデータ解析が可能です。

製造業では、例えば異なる温度条件と湿度条件が製品の品質に与える影響を見る場合に2元配置法を使用します。
この場合、温度と湿度の二つの要因が製品の品質(強度や不良率など)に及ぼす複合的な影響を解析します。

2元配置法の手順

2元配置法の手順も1元配置法に類似していますが、もう一つの要因を考慮するプロセスが追加されます。

1. 仮説の設定:3つの仮説を設定します。第1要因に関する無効仮説、第2要因に関する無効仮説、そして両要因の交互作用についての無効仮説です。
2. 分散分析表の作成:データを基に分散分析表を作成し、総変動、群間変動、交互作用項などを計算します。
3. F検定の実施:各要因および交互作用についてF検定を行います。
4. 結論の導出:各要因および交互作用について有意な差があるかどうかを評価します。

2元配置法の応用例

製造業の現場では、生産の最適化を図るために2元配置法が多用されます。
例えば、新しい製造プロセスと原材料の配合が製品強度に与える影響を調べる際に、2元配置法を用いることができます。

この場合、製造プロセスと原材料の二つの要因の相互的な影響も考慮し、最適な条件を見出すことが可能です。

分散分析の現場での重要性

分散分析は製造業におけるデータ解析に欠かせないツールです。
購買や生産管理の現場において、その重要性は特に高く、たとえば品質管理においては、異なる生産条件下での製品バラツキを解析する際に活用されます。

また、現代の製造業界において、デジタル化がすすみビッグデータ解析が主流となるなかで、分散分析の基礎知識を持つことは、アナログ業界での仕事をこなす上でも非常に有利に働きます。

まとめ

1元配置法と2元配置法の分散分析は、製造業におけるデータ解析の基礎です。
異なる条件や要因が製品やプロセスに与える影響を評価するために、一般的に使用される方法です。

特に製造現場では、多くの要因が絡み合うため、これらを整理し最適な解決策を見つけるために分散分析を用いることができます。

今回紹介した手法を理解することで、製造業界でのさらなる改善や効率化に貢献できるでしょう。

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