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曲げ加工機で使う交換部材の在庫切れが続く調達面の課題

目次
はじめに:曲げ加工機の交換部材調達が抱える現場のリアル
曲げ加工機は、板金加工や自動車部品の製造現場にとって不可欠な生産設備です。
効率的な生産や高い品質を維持するためには、パンチやダイ、オイルシール、センサー類といった交換部材を切らすことが許されません。
しかし、コロナ禍以降の世界的なサプライチェーンの混乱、原材料価格の高騰、人員不足、さらにはアナログ体質が色濃く残る昭和型の調達体制などが重なり、「在庫切れ」が慢性的な課題となっています。
本記事では、長年現場に身を置いた立場から、この問題の現状、構造的な原因、そして即効性・持続性の両側面からの打開策について、深く実践的に掘り下げていきます。
曲げ加工機の交換部材 ― どのようなものがあるかと流通事情
主要な交換部材とそれぞれの調達難度
曲げ加工機で一般的に交換が必要となる部材は、以下の通りです。
– パンチ(上型)
– ダイ(下型)
– ホルダー、ウェッジ
– センサー(角度・圧力)
– 油圧配管・オイルシール
– ボルト・ナットなどの消耗品
– 安全カバーや制御パーツ
特にパンチ・ダイなどの金型類は、一点ものや特殊仕様になることも多く、簡単に代替が利かない分ショートすれば重大な生産遅延を招きます。
流通の実態:カタログ品vs特注品の「納期ギャップ」
カタログ品(標準品)は比較的流通も多く、短納期で手配しやすい一方、いざ破損・摩耗が発生した現場で本当に必要なのは「特殊寸法」「旧型番対応」などの“非定常”品です。
こうした部材は、都度見積もり・受注生産となるため、納期が数週間から数か月に及ぶことも珍しくありません。
また、部品メーカー側も需要の変動が激しく在庫の持ち方が難しいため、ますます「必要な時に無い」現象のリスクが高まっています。
在庫切れが現場にもたらす深刻な影響
最悪の場合、生産停止リスクに直結
部材の在庫切れは、当然ながら生産ラインの停止、納期遅延、顧客クレーム、会社の信用失墜に直結します。
特に自動車、家電、インフラといった時間厳守・高付加価値な商材で使われる加工機の場合、一分単位の停止が百万円単位の損失につながる“重さ”があります。
現場のストレスと「緊急調達劇」の常態化
「明日までにどうしても必要だ」
「予備を発注したつもりが、数違いだった…」
「納品遅延の連絡が無く、慌ててメーカーに電話」
こうした緊急対応が常になると、調達担当も現場も疲弊し、残業や休日対応が慢性化します。
さらに、人が替わればノウハウが途絶え、属人化が進みがちです。
この「現場消耗サイクル」からの脱却が急務です。
調達面の構造的な課題と昭和的“壁”
アナログな在庫管理・購買フロー
いまだに「Excelによる手作業台帳」「棚卸しは年1回」「消耗推移の分析なし」といった企業が圧倒的に多いのが現実です。
発注タイミングも勘や経験則頼りなことが多く、異常値や発注忘れに気付きにくいという欠陥をはらんでいます。
メーカーへの依存度の高さと「系列調達」慣行
特定メーカー、特定商社へ発注が集中することで、その担当者の休職・転勤で”ブラックボックス化”する構造も見受けられます。
また、「この部品は昔からあの取引先からしか買えない」「相見積もりが取りにくい」という昭和的なしがらみ(系列主義)も根強く残っています。
設備老朽化によるサポート終了、廃番部品問題
20~30年以上前の機械が現役で稼働している現場では、メーカー側の部品供給終了が相次いでいます。
純正パーツの確保どころか、どこにも在庫が無く、図面から再製作するしかないケースも年々増加。
調達リスクの根深さに拍車をかけています。
業界動向:調達・部材管理の潮流変化
標準化・予知保全型へのシフト
大手自動車工場や電子産業では、交換部材の「標準化」「互換化」「正確な消耗データによる適正在庫化」が進みつつあります。
センサーやIoTデバイスを組み込んで「摩耗予兆」を検知し、部材の使用タイミングを“見える化”する取り組みも。
新旧混在の工場でこの仕組みをどう根付かせるかが次の課題です。
サプライヤー競争と多様な調達チャネルの登場
Web商社・EC化が進み、部材調達の形は「カタログ商社任せ」から「ネットで選ぶ・即日配送」へと徐々に変わりつつあります。
また、リビルドパーツや3D造形による補修部品、独立系修理業者、海外サプライヤーも含め、リスク分散先の幅が広がっています。
デジタル化時代の調達リテラシーを上げることも、生産現場の強さに直結します。
現場で今すぐできる実践的な対策
1. 在庫の見える化と「点検頻度」の最適化
地道な部分ですが、まずは交換部材の現物管理をデジタル化することが肝要です。
最低二か月分の回転在庫数を把握し、「何を」「何個」持っているかをリスト化します。
最近はクラウド型の在庫管理ツールも安価に導入可能です。
加えて、「使いかけの部品」「再利用できそうな廃材」を含めて棚卸しを月次で実施。
点検頻度を上げるほど“漏れ”は減ります。
2. 標準化と「共通化」の推進
型・穴径・寸法などで互換性の高い部材を積極的に使うことで、複数機種で『共通ストック化』が図れます。
設計部門とも連携し、発注先を1社に縛られないよう見直しを継続すると、緊急時のリカバリー力が格段に増します。
3. サプライヤーの多元化と「調達バックアップ」プラン
部材手配ルートを分け、どうしても必要な特殊部材は“予備品”を複数仕入先に分散保管してもらうなど、
サプライヤー巻き込み型のリスク分散も有効です。
また、廃番パーツの情報は早めに掴み、外部加工・リバースエンジニアリングによる再現品のパートナーもリストアップしておくべきです。
4. 調達購買と現場の双方向コミュニケーション強化
購買担当者と現場オペレーター(設備保全含む)の意思疎通が不足すると「現場の本当の困りごと」が伝わりません。
定例ミーティングや交換部材の「自主点検会議」を設け、現場視点の“気づき”を反映させる習慣作りが大切です。
バイヤー・購買担当者へのメッセージ
バイヤーの役割は、単なる「安く仕入れる」ことではなく、「現場を止めない」「安全・品質・コストの三立て」を実現することにあります。
現代の部材調達は「早い者勝ち」であり、いかに業界ネットワークを広げ、常に最新情報を押さえているかが腕の見せ所です。
また、AI・IoT、大手商社だけでなく、地域の小回りの利く部品屋やネットワークを活用する柔軟性も求められます。
古い体質の会社であっても、現場発の声×デジタル化×多様なルート開拓を組み合わせることで、前例のない価値創出が可能です。
サプライヤー側から見た「バイヤーの思考」
サプライヤーの皆様は、バイヤーの調達ニーズが“安定供給”にシフトしていることを強く意識する必要があります。
– 品薄・廃番品などの事前アラート
– 小ロット・短納期対応
– 互換性のある他社製品情報提供
– 生産現場でのフィードバックのヒアリング
これらを積極的に提案できるパートナーが、今後さらに評価されます。
未来への提言:ラテラルシンキングで新たな調達基盤を
最後に、「在庫切れ・調達難」の根本解決には、発想自体の転換が必要です。
「必ず必要になる消耗品は、工事現場のコンビニのように地元拠点倉庫で常時ストック」
「消耗部材の状態をAIで自動予測し、発注リードタイムと連動したスマートな自動購買システム」など、
属人的な経験則を超えた“現場起点×デジタル”の両輪が大切です。
日本の「ものづくり」の進化は、こうした小さな現場の改善、購買と現場の協働、ITの活用によって加速できます。
在庫切れという“当たり前”を、着実な現場改革で「ありえない世界」に転換していく。
それこそが、次世代の製造業に求められる新しい地平線なのです。
まとめ
曲げ加工機の交換部材調達は、単なる物流・発注活動にとどまらず、生産現場の存否を左右する戦略活動へと進化しています。
昭和の慣習に縛られることなく、ラテラルな発想と現場主義、デジタルの力を駆使して、新たな調達の在り方を一緒に切り拓いていきましょう。
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