- お役立ち記事
- プリント滲みを抑えるバインダー粘度と乾燥風速の最適バランス
プリント滲みを抑えるバインダー粘度と乾燥風速の最適バランス

目次
プリント滲みとは:製造現場が直面する課題
プリント滲みは、製造業における印刷工程やラベル貼付工程でよく発生する問題です。
とくに繊維・紙・プラスチックフィルムなどの界面上でインクやバインダーが広がり、文字や模様がはっきりしなくなる現象を指します。
この滲みは外観不良の主要因であり、出荷判定NG、歩留まり低下、最悪の場合クレームや再製造といった大きな損失につながる場合があります。
プリント品質の安定化は、設備の自動化・省人化が加速している現代においても完全には自動化しきれない「現場力」の見せ所なのです。
バインダー粘度と乾燥風速が滲み防止のカギ
プリントの基本プロセスと滲み発生メカニズム
プリント工程では、まずバインダー樹脂と顔料を混合したミクスチャー(インク)が素材上に塗布されます。
その後、乾燥ブースやIR(赤外線)ヒーター、エアカーテンで溶剤や水分を揮発させ、樹脂成分と顔料だけが素材表面に残ることでプリントが定着します。
このとき、バインダー(またはインク)粘度が低すぎると塗工直後に材料に吸い込まれやすくなり、意図しない方向への拡がり=滲みが発生します。
一方、粘度が高すぎるとムラになったりプリント不良や目詰まり、塗布不足といった別の課題を引き起こします。
また、乾燥工程での過剰な風速は、表面だけ先に乾き中身がドロドロのままになる「表面皮膜現象」が起き、その隙間から再びインク成分がじわりと浸透し滲みリスクが増します。
つまり、「バインダー粘度」と「乾燥風速(乾燥条件)」は互いが影響し合い、最適バランスを欠いた瞬間に滲みトラブルを引き起こすのです。
現場力でつかむ最適バランス:成功例と失敗例
長年、工場現場に身を置いてきた経験上、最適バインダー粘度と乾燥風速のバランス調整こそが、プリント品質安定化の肝です。
ある現場での実例です。
自動化ラインと前後工程の簡易アナログ測定(カップ粘度計で20±2秒/25℃)のみで運用していた時期、夏場の高湿度によりバインダー粘度が下がり、乾燥時間も長めに取られていました。
その結果、シーズン始まりに大量の滲みクレームが続出。
工程巡回を強化し粘度を25秒程度に上げつつ、乾燥ブースの風速も「素材の端部にしっかり風が当たるレベル」まで微調整したところ、不良率は大幅に低減しました。
逆に、粘度だけを高めにして油断し乾燥を早めすぎた例では、プリント面のひび割れや表面に白化現象(ブリードアウト)が起きました。
「溶剤(or水系)の抜けきり」と「表面乾燥」の両立が不可欠であることを痛感した瞬間です。
滲み防止のための具体的アプローチ
1. 粘度管理の重要ポイント
バインダーの粘度は、5秒違うだけでも拡がり具合や浸透性に大きな差が出ます。
日常管理では下記ポイントを押さえてください。
– 一元で測定(カップ粘度・ブルックフィールド粘度計など)
– 作業場の温度や湿度も合わせて「管理グラフ」で可視化(同じ粘度でも気温で塗布性が変化するため)
– ロットや原材料の僅かな差での傾向変化も記録し、シーズン初めには基準粘度の調整提案を
2. 乾燥風速と温度の細かいコントロール
乾燥ブースの風速は「ただ強ければ早く乾く」というものではありません。
特に気をつけるポイントは以下の通りです。
– 表面温度上昇に注意し、素材の端部まで均一な風が当たるよう調整
– 「天井吹き下ろし」「サイドブロー」など素材やレイアウトに合わせて風向きを検討
– 初期乾燥ゾーンと仕上げ乾燥ゾーンで風速・温度を分ける(二段階乾燥)
現場では「風速計」や「温度計」といったアナログ計器での記録がメインになるため、日々の「数字の変化」とNG品の発生傾向の付き合い方が肝心です。
3. 現場スタッフの五感が最終砦
どんなに自動化が進んでも、現場で活躍するベテランスタッフの「見た目」「触感」「素材の波打ち方」の観察が最後まで欠かせません。
乾燥直後に「表面がべたついていないか」「ひび割れが起きていないか」、またロール状素材の場合は「巻きズレ」「重なり跡」も要確認ポイントです。
日々のちょっとした異変をスルーせず、必ず工程担当・開発・品質管理と連携し、すぐに対策を議論できる風土を育みましょう。
サプライヤー視点:バイヤーが求める品質とは
サプライヤーの営業担当者や技術担当が、バイヤーの期待に応えるために知っておくべきは、「現場で再現可能な最適バランス」の提供です。
– 粘度と乾燥性のバランス評価データの提示
– 季節変動や量産時の歩留まり傾向、システム導入への適合性
– 万が一のトラブル時に現場に寄り添い共同改善できる技術サポート力
バイヤーは「一度OKを出しても、現場実装で不良が出たときにどれだけ迅速に知見を提供してくれるか」を重視しています。
単なる数値スペックより、「現場で本当に繰り返し使えるかもしれない…」という実践的安心感が評価されています。
アナログ業界ならではの”根付いた慣習”の壁
現在も多くの中小工場や伝統あるメーカーでは、「カップ粘度計の目分量」「扇風機の風」「体感による乾き具合判断」など、昭和時代から続くアナログスタイルが根強いです。
デジタル設備が高額で導入できない、スタッフの高齢化で変化が難しい、といった背景も存在します。
ですが、こうした現場ほど「目視で違いを見極める力」「その場で応じた技能改善」が強みとなり、致命的な滲み不良を防いでいます。
デジタル化による効率化と、アナログならではの五感・経験知の融合が新たな地平線を拓くカギとなるでしょう。
まとめ:現場の「当たり前」を問い直せ
プリント滲みを抑えるためのバインダー粘度と乾燥風速の最適バランスは、一朝一夕に理想値が見つかるものではありません。
設備更新、材料開発、現場の経験値、それぞれの特性を活かしながら、PDCAを回し続けていくことが重要です。
– 粘度変化の影響を「数字」で管理
– 乾燥風速・温度をライン全体で均一化
– スタッフの五感による最終チェック
– サプライヤー・バイヤー・現場の三位一体で問題解決
– アナログ慣習も適材適所で活かす
製造業は変革期ですが、現場で培われてきた”当たり前”をアップデートすることが品質革新への一歩です。
ぜひ、皆さんの現場で「なぜその粘度?」「その乾燥時間で大丈夫?」を日々問い直してください。
そして、そこから生まれる新発見こそが競争力の源泉となります。
製造現場の知恵と最新技術を融合し、プリント品質向上の新たな地平線を一緒に切り拓いていきましょう。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)