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B2BとB2Cで需要が重なる消耗品を効率的に仕入れる発注ロット最適化の方法

目次
B2BとB2Cで需要が重なる消耗品を効率的に仕入れる発注ロット最適化の方法
はじめに:消耗品発注の課題と現状
製造業にとって、消耗品の安定調達は生産活動の生命線といえます。
特にB2B(企業間取引)とB2C(個人向け取引)の双方で需要が重なる商品、例えば手袋やマスク、工具、梱包資材などは、市場での需要変動が大きく、適正な発注ロットの設定が難しいジャンルです。
近年では新型コロナウイルスのパンデミックや原材料高騰、物流の停滞といった外部要因が影響し、「必要なときに必要な分だけ手配する」というこれまでの常識が揺らいでいます。
昭和の時代から現場では「念のため多めに発注」が根付いていましたが、現代の経営環境では、在庫過多によるコスト増やキャッシュフロー悪化が深刻な問題となっています。
では、B2B・B2C両方の需要を的確に読み取りつつ、無駄のない仕入れを実現するにはどのような工夫が必要でしょうか。
今回は、現場目線で実践的かつ、アナログ業界にも根付いている動向を踏まえ、発注ロット最適化の方法を深掘りします。
発注ロットとは何か? 意義と基本的な考え方
発注ロットとは、一度にまとめて発注する単位、すなわち「最小の発注・仕入れ数量」を意味します。
最適な発注ロットを設定することで、以下のようなメリットが得られます。
・在庫切れのリスクを減らせる
・余剰在庫によるコスト増を抑えられる
・発注・納品の業務効率が上がる
一方で「ロットを小さくしすぎると頻繁な発注が必要になり手間が増える」「ロットを大きくすると在庫が膨らむ」など、バランスが重要です。
特にB2BとB2Cで需要が重なる(例えば法人も個人も使うような商品)の場合、法人側には継続安定供給が、個人側には即納対応や少量購入のニーズがあり、双方に配慮した発注戦略が求められます。
ロット最適化のカギ:ABC分析と需要予測
発注ロット適正化の王道手法として、「ABC分析」と「需要予測」の組み合わせが挙げられます。
ABC分析とは、年間消費金額や出荷数量の多い順にA、B、C群に分類し、それぞれ重要度に応じた管理リソースや安全在庫数を設定する手法です。
A群(全体の上位20%程度)は重点管理、B群(次の30%)は標準管理、C群(残り50%)は簡略管理にすることで、効率的な在庫・発注運用が可能になります。
また、需要予測では過去の出荷傾向・季節変動・突発的な事象(天候、社会的流行、経済動向)を加味しながら、将来的な消費量を見積もります。
最近では、需要分析の業務をエクセルで「週次」や「日次」ベースでデータ更新しながら、在庫状況と照らし合わせてロットを調整する現場も増えています。
B2B・B2Cのダブル需要品については、個人市場の予測が読みにくいケースも多いため、サプライヤーとの情報交換や、eコマース販売データの活用が新たな武器になります。
アナログ現場における実践的ロット最適化のノウハウ
高度なシステムやデータ分析ツールがなくても、現場の工夫次第でロット最適化は実現できます。
現場ヒアリングと現物主義の徹底
データで見えにくい「使い方のクセ」や「都度発生するイレギュラー」は、現場担当者への直接ヒアリングが不可欠です。
忙しい中でも、定期的に担当者や倉庫内の状況を観察し、実際に「どのタイミングで」「どのくらい」消耗品が減っているか、生の情報を掴みましょう。
また、紙やエクセル管理を続けている現場では、見える化ボードや在庫札を活用した「現物管理」も有効です。
適正在庫ラインを色テープ等で表示し、「この在庫量を切ったら○○個発注」といった明確なルールを作るだけでも、発注漏れや過剰仕入れを防げます。
サプライヤー連携によるリスク分散
特定商材への依存リスクや、B2C市場の需給変動による品薄化に備え、複数サプライヤーからの調達や、在庫供給型の仕入れ契約も検討しましょう。
また、サプライヤーとの協定により「最小発注ロット(MOQ)」を弾力的に変更してもらう交渉も有効です。
昨今は「月初や月末など時期によってロットを変動対応」「緊急時は特別発注に応じる」といった柔軟なパートナーシップが重視されています。
加えて、サプライヤーから「市場動向情報」や「代理在庫制度」などを活用できる場合は、自社単独で全在庫を持たなくてもよい仕組み作りが可能です。
これらの仕組みを積極的に活用することで、在庫リスクは大幅に分散できます。
デジタルツール導入による効率化と失敗しないコツ
最近では、多くの企業が在庫・発注管理システムの導入を進めています。
基幹システム・ERP活用
SAP、オラクル、国内パッケージなどのERPを導入している企業では、販売実績や在庫回転率、使用履歴データをもとに発注点やロットサイズを自動計算する機能があります。
ですが、システム導入には多大なコストや現場教育が必要なため、運用初期の混乱や「システム通りに発注したのに現場と齟齬が出る」といった問題も発生します。
このため、デジタル化のポイントは「システムと現場実態のギャップを小さくする」ことです。
現場主導で運用ルールを作り、「急ぎの注文はどうするか」「予兆が見られたときの対応策」といったアナログ的補完策も並行して整備しましょう。
中小・準大手向けのクラウド管理システムも有効
中小企業や古参企業の場合、高度なERPやWMS(倉庫管理システム)は荷が重いかもしれません。
最近ではクラウド型の在庫管理・発注支援ツールも進化しており、スマートフォンやタブレットから容易に在庫数や発注状況を管理できます。
費用対効果と現場の負担を見極めながら、まずは「発注点通知サービス」「消耗品ごとの予測アラート」など最低限のIT化から段階的に取り組むのがおすすめです。
B2B/B2C市場動向から逆算した発注戦略
B2BとB2Cで需要が重なる消耗品は、一般的に以下の特徴を持ちます。
・B2Bは定常的かつ大口発注が主だが、量の増減も大きい
・B2Cは突発的で小口、SNS等の影響で急増・急減が頻発
このため、両市場のトレンドを読むことで、「この時期には通常より1.2倍のロットが必要だ」「この商品はB2Cの流行で急騰しそうなので多めに押さえておこう」といった柔軟な発注戦略が取れるようになります。
例えばマスクの場合、法人需要の安定期を見つつ、花粉症シーズンやインフルエンザ流行、各種イベント情報など外部要因を加味した「先読み発注」が差別化ポイントです。
また、B2Cの強い商品については、ネット販売の即日出荷ニーズに対応すべく、発送用の小分け包装まで手配しておくなど、工場現場でも付加価値を意識した在庫管理が求められます。
サプライヤーから見たバイヤーの発注ロット最適化戦略
サプライヤーの立場では、バイヤーの発注ロット最適化が「安定受注」「生産計画の平準化」「在庫負担の軽減」につながります。
ただし、バイヤーがロットを小さくすると仕入れ単価が上がる、配送回数が増える、納期調整負担が大きくなるなどの課題も生じます。
サプライヤー側は、バイヤーに対して以下のような付加価値提案を行うと良いでしょう。
・最小ロットの柔軟化や、定量定期の供給プラン提案
・需要変動期には一部代理在庫の持ち合い
・市場動向や原材料価格の先読み情報の提供
・BCP(事業継続)観点での代替品リストアップ
・ITを活用した発注・納品スピードアップ支援
バイヤーにとっても、単なる価格交渉や納期短縮だけでなく、「共に最適化」に取り組むパートナー姿勢がサプライヤー選定の新たな基準となりつつあります。
まとめ:発注ロット最適化で経営力を高める
B2BとB2Cで需要の重なる消耗品は、現場の知恵とデジタル活用の両輪が在庫・発注管理の最適化に不可欠です。
現場ヒアリングと需給分析、サプライヤー連携に加え、市場動向の「先読み」と「共創」の姿勢が、これからの製造現場で求められる“新しい当たり前”となっています。
今回ご紹介したノウハウや戦略を活用し、自社の経営資質・現場体制に合わせて、発注ロットの最適化に挑戦してみてください。
現場改善から始める発注改革こそが、昭和から続くアナログの殻を破り、持続可能な成長をもたらす大きな一歩となるでしょう。
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