投稿日:2025年10月7日

お菓子の型抜きがきれいに仕上がる打抜圧と離型剤の配合

はじめに:お菓子の型抜きと製造現場の奥深さ

お菓子の型抜き工程は一見シンプルに見えますが、実は非常に奥が深く、製造業全体の知見が集約されています。

打抜圧や離型剤の配合は、品質や生産効率に直結する“成否のカギ”です。

昭和から続くアナログな工程がいまだ現場に根強く残る中、それでも改善や効率化への道を模索し続けているプロの現場視点で、このテーマを掘り下げていきます。

本記事では、製造現場で働く方はもちろん、バイヤー志望の方やサプライヤーの立場で現場把握を目指す方に向けて、実践的な知識をお届けします。

お菓子の成型工程の“命”:打抜圧とは何か

打抜圧の基本と現場での重要性

打抜圧とは、クッキーやビスケットなどの生地を金型で押し切る際にかける圧力のことです。

高すぎると生地が潰れてしまい、逆に低すぎると型抜きが不完全になったり、バリ(余分な生地)が残る、製品同士がうまく分離できないといった問題が発生します。

昭和時代の多くの工場では、職人の「勘と経験」でこの打抜圧を設定してきました。

しかし、現代では数値管理・データ化が進みつつありますが、依然として現場独特のノウハウが根強く存在します。

だからこそ、「最適打抜圧」は現場目線で何度もトライアンドエラーを重ね、妥協点を探る必要があります。

打抜圧設定のポイント

1. 生地の水分量や温度
生地が柔らかすぎると、型抜き時に型に生地が残りやすくなり、硬すぎると割れやすくなります。

生地条件が一日のなかでも変動するため、打抜圧設定も調整が求められます。

2. 金型の形状や材質
“細い線”や“鋭角のカド”がある型は抜きにくく、割れる可能性が高くなります。

型材質が摩耗してエッジが丸くなった場合も、必要打抜圧が変化します。

3. 型抜き装置やプレス機の性能
旧式のプレス機では圧力の均一化が難しく、局所的な過剰圧力や抜きムラ発生の原因となります。

現場では定期的なメンテナンス、金型のクリーニング、機械の精度管理が非常に重要です。

“型離れ”良好の秘訣:離型剤の役割と選定

離型剤とは?製菓工程での重要性

離型剤は、型抜きした生地を金型からきれいに“剥がす”ために使う資材です。

ベタつきやくっつきを防ぎ、成型時の製品破損や歩留の悪化を最小限に抑えます。

一方で、離型剤は製品への味移りや、表面物性の変化、プレス機・金型の寿命にも影響を及ぼすため、選定や配合は慎重に行う必要があります。

主な離型剤の種類と特徴

1. 油脂類(ショートニング、植物油、バター油脂など)
もっとも多用されているタイプです。

お菓子の風味を損なわず、適切な量を使えば生地の離れが良くなります。

食品安全上の管理も比較的容易です。

2. エマルジョンタイプ(乳化剤入り)
特に型離れが悪いデザイン、細かな凹凸の型に有効。

少量でも効果が高いですが、過剰使用は表面のざらつき原因になることも。

3. シリコーン系食品用スプレー
最近では食品添加物として利用可能なものもあり、油分による生地の変化が少ないのが特徴です。

ただし工場ラインの衛生管理が徹底されていないと、機械や床のベタつき要因となりがちです。

離型剤選定時に現場で考慮すべきポイント

・生地(バター多め、生クリーム系、砂糖含有量など)の配合
・型の材質(鉄、アルミ、シリコン、テフロン加工有無)
・製造現場の温湿度変化
・食品衛生上のルールや顧客要件

打抜圧×離型剤 ―現場での最適バランスの探求

現場で実践される“微調整”文化

「このレシピは経験豊富なオペレーターの目利きが必須」「工場長の“ひと声”で今日の設定を決める」といった昭和仕込みの現場も、実は悪くありません。

なぜなら、環境・原料・機械の状態は時々刻々と変化し、一つの正解がないからです。

現場で打抜圧設定と離型剤配合を同時に最適化するため、テストサンプル生産→官能評価→調整を繰り返します。

この際「標準のレシピ」「基準圧力」「推奨離型剤量」を最初のベースとし、現場の小さな声(温度変化の気づき、型摩耗のタイミングなど)をしっかり集めていくことが重要です。

その積み重ねが、“型抜きの仕上がり”精度向上の王道です。

数値管理とアナログ観察の“ハイブリッド”の大切さ

最新のIoT/AIを活用したラインでは、データに基づく自動制御化も進んでいます。

温度・湿度、打抜圧、プレス速度、型摩耗進行度など、リアルタイムで見える化された現場は効率的です。

しかし、原料ロット差や従業員の手さばき、日々ちょっとした“勘所”も現場の強みです。

この“数値化”と“アナログ五感”の両輪を保つことが、今後もお菓子型抜き品質の進化を支えるのです。

現場目線で生まれる新発想:ラテラルシンキングのすすめ

工場内で本当に叩き上げられた知識やノウハウは、しばしば「前例踏襲」にとどまりがちです。

しかし一歩引いて“なぜ、今この設定なのか?”“この素材で本当にベストか?”を問い直すことで、新たな解決策が生まれます。

例えば、「離型剤を均一に噴霧できる自動機を導入する」「プレスの段取り替え作業をあえて“ベテランと新人ペア”でさせて気づきを得る」といった工夫です。

あるいは「離型剤に機能性原料を加え、菓子の風味・食感アップ」といった付加価値提案も可能です。

こうした斬新な取り組みが現場に根付いたとき、アナログ業界こそ劇的な進化を遂げると私は考えます。

川上から川下へ:バイヤー・サプライヤーから見た型抜き品質の重要性

お菓子メーカーのバイヤーは、安定したクオリティの製品を受け取ることが使命です。

だからこそ、サプライヤーや協力工場が「どこまで現場で最適化に尽力しているか」は商談の大きな評価軸となっています。

バイヤー志望の方は、現場での打抜圧・離型剤管理プロセスを知れば、品質の“なぜ”を論理的に説明でき、価格やロット精度の交渉材料にもなります。

サプライヤー側は、「この離型剤、この打抜圧で御社要求スペックにどこまで寄せたか」の報告ができれば、顧客ロイヤルティ向上につながります。

型抜き工程の見学や現場オペレーターとの情報交換を積極的に提案し、相互理解を深めていくことは川上・川下双方の利益です。

まとめ:昭和から未来へ、現場主導の改善は“ものづくり力”の根幹

– 打抜圧と離型剤のバランス最適化は、お菓子の型抜き品質向上の王道であり、製造現場のプロフェッショナリズムが問われるポイントです。

– 数値化や自動化と、現場のアナログ観察・気づきの両立が、本当の高品質・高生産性のカギです。

– バイヤー目線では現場の不断の工夫や改善姿勢を評価軸に。

サプライヤーとしては理論+現場ノウハウの説明力強化が重要です。

令和の時代、アナログからデジタルまで融合させ、さらに新しい“型抜きの可能性”を追求していきましょう。

それこそが、日本の製造業が世界に誇る“現場力”であり、これからも変わらぬ価値を生み出す原動力だと、私は信じています。

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