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関税支払い方法DUTY PAIDアカウント管理で資金繰りを最適化

目次
関税支払い方法DUTY PAIDとは:基本を押さえよう
関税の支払い方法にはいくつか種類がありますが、その中でも「DUTY PAID」は製造業における国際取引で頻繁に登場するキーワードです。
DUTY PAIDとは、商取引において売主側が輸入関税や関税関連の手数料を全額支払った状態で商品を納入することを指します。
典型的にはインコタームズ(国際商業会議所が定める国際取引のルール)の「DDP:Delivered Duty Paid(関税込み持込渡し)」に相当します。
つまり、輸入者としては、輸送中や通関で追加コストを請求されるリスクがなく、受け取った瞬間から想定した価格で原材料や部品を受領できるメリットがあります。
特にバイヤー(調達担当)にとって資金繰りの見通しがしやすく、コスト管理の精度向上が大きな魅力です。
DUTY PAIDはなぜ広がっているのか
近年では、グローバルサプライチェーンの複雑化や為替変動リスク、通関の手間の削減を理由に、DUTY PAIDでの調達を選ぶ企業が増加しています。
典型的なアナログな業界でも、将来的なDX(デジタルトランスフォーメーション)への転換を意識し、「トータルコストの見える化」の一環としてDUTY PAIDでの運用を選択する傾向が強まっています。
資金繰り最適化におけるDUTY PAIDアカウント管理の重要性
製造業の現場では、資金繰り管理が利益確保の生命線です。
そこで、DUTY PAIDでの調達を行う場合にアカウント(勘定)管理を徹底することが、資金繰り最適化に直結します。
資金繰りに強くなるDUTY PAID管理手法
DUTY PAIDでは商品価格にすべての諸費用が含まれるため、発注のタイミングで必要資金が完全に算出可能です。
納入スケジュールが決まっていれば、支払いサイクルとキャッシュフロー計画が正確に立てやすくなります。
支払額が明確なので、仕入原価のブレも発生しません。
特に部品点数や取引国数が多い製造業では、この「コストの不確定要素排除」が資金繰りの安定に与えるインパクトは絶大です。
DUTY PAIDのアカウント仕訳:現場の工夫
アナログな管理が根付く現場では、国ごと・ベンダーごとに関税支払いの管理方法がバラバラで、帳票やシステム入力が標準化されていないケースが散見されます。
この場合、DUTY PAIDでの仕入は「商品代金に関税等諸費用込」として一括計上します。
何にどれだけ課税されているかは販売業者(サプライヤー)が把握しており、調達先ごとに「税込み仕入」として伝票規格を標準化すると、社内の仕訳漏れや二重計上を防止できます。
特に、製造ラインのロット単位で原価計算している場合、本来は関税・運賃を分離して原価配賦しますが、人手に頼ると配分ミスが起きがちです。
DUTY PAIDでは単価明細ごとに「全部のせ」となり、業務の効率化・見落とし防止に大きく貢献します。
サプライヤーから見たDUTY PAIDのリスクと対策
DUTY PAIDの運用はバイヤーにメリットが大きいですが、サプライヤーにも「関税リスクの一括負担」という責任が生じます。
為替変動・通関遅延への備え
海外サプライヤーは、為替相場や通関基準の変更によってコストが変動するリスクを負います。
そのため、DUTY PAIDの価格設定にはバッファーを持たせるか、リスクが極端に高い国との取引は避ける方針を取るケースが増えています。
また、電子インボイスや事前申告制度を活用し、通関プロセスの自動化・標準化によってリスクや工数を下げる取り組みも進んでいます。
顧客要求とのバランス
バイヤーの立場ではDUTY PAIDが好まれますが、サプライヤー側も利益保全の観点から「DDU(関税抜き渡し)」やDAP(決まった納入地までの運送負担のみサプライヤーが持つ方式)」も選択肢にしています。
価格交渉の際は、DUTY PAIDにすることでお互いのリスクとメリットをどう分担するか、コミュニケーションが重要です。
サプライヤーがバイヤーの考えを知っておくことで、より有利な交渉材料を作ることもできます。
現場でDUTY PAIDアカウントを導入・改善する具体的ステップ
今からDUTY PAIDを導入、または既存方式を運用改善したい場合に現場目線で取り組めるステップを解説します。
1. 現状の関税払いルートの棚卸
まず自社の発注先ごとに、どの支払い方式で関税処理しているか一覧化します。
DUTY PAIDなのに現場で関税や通関手数料の再処理が起きていないか、請求がダブっていないかを「見える化」することで、ムダや漏れの早期発見につながります。
2. システムと帳票の標準化
ERP(基幹業務システム)や原価管理システムと連動し、関税含む仕入帳票や請求書を「DUTY PAID用」として一律管理するルールを明確化します。
可能であれば発注書雛形もDUTY PAID表示付に統一し、だれが見ても一目で仕入金額の内訳が判別できる体制にします。
業界に根付く紙伝票主義の現場でも、帳票分類やExcel台帳レベルで独自管理することで、工数削減・転記ミス削減が可能です。
3. サプライヤーとの定期レビュー実施
DUTY PAID導入後も、価格構成やリードタイムが定期的に変化していないかチェックします。
例えば通関でコストアップが発生した場合や、為替変動によりリスクが高まった際は随時フォローアップを行い、お互いが納得できる運用にアップデートしていくことが健全な関係維持に繋がります。
4. 複数拠点・多国籍展開時の留意点
大規模メーカーで複数の海外工場を持つ場合、拠点ごとに関税率や官公庁対応体制も異なります。
DUTY PAID導入分だけを分離集計し、本社で一括管理できるよう、個別管理帳票や専用アカウントを設けることが、現場トラブルや監査対応時の強い武器となります。
DUTY PAID管理の未来像と、現場が主体的にできる改善のヒント
昭和から続くアナログ手法が根強い製造業でも、DUTY PAIDの定着によって現場の働き方や発想が変わります。
DXの足掛かりとしてのDUTY PAID活用
DUTY PAIDは単なる「関税込み」調達の枠を超え、原価算定の透明性やサプライチェーン全体の可視化にも効果があります。
実績データ分析を進めることで、ムダな工程や再請求のようなエラーを発見し、将来的にはAI自動配賦や、スマートファクトリー構築に繋げていく土壌ができます。
「現場目線」からの自主管理文化へ
DUTY PAID導入をきっかけに、現場スタッフ自らが「業務効率化の工夫点」や「さらなるコストダウンの着眼点」を発信する風土づくりが大切です。
購買・調達部門だけに閉じた管理ではなく、品質管理・生産管理とも連携し「工場全体でキャッシュフローを守る」文化を醸成していきましょう。
業界トレンドへの適応力を磨こう
物流や通関、為替制度も年々変化しています。
DUTY PAIDの運用一つとっても、他社動向やベストプラクティスをウォッチすることで、世界水準の資金繰り管理スキルを身につけられます。
将来のサプライチェーンマネジメント人材、あるいはグローバルバイヤーを目指すなら、この分野の「変化に強い守り方」を習得しておきましょう。
まとめ:資金繰りと持続的成長を両立するDUTY PAID活用法
DUTY PAIDによる関税支払い方法の確立は、製造業における資金繰りの最適化、経営の安定化に直結します。
アナログなやり方を一つずつ見直し、現場主導で仕入伝票や会計処理の標準化を進めることで、無駄な支出や資金ロスを最小限に抑えることができます。
バイヤー、現場の担当者、そしてサプライヤーが共通理解のもと「見える化」と「継続的な確認」を行うことで、激変する製造業界においても安定した成長を描けます。
ぜひ、DUTY PAID管理を現場発のイノベーションの第一歩と捉え、自社の強みに育て上げていってください。
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