- お役立ち記事
- シーズナリティを考慮したB2C/B2B消耗品調達の最適化方法
シーズナリティを考慮したB2C/B2B消耗品調達の最適化方法

目次
はじめに――消耗品調達の最前線で考えるシーズナリティの重要性
製造業を取り巻く調達・購買環境は、日々変化し続けています。
特に消耗品調達においては、生産計画の変動や外部要因、そしてシーズナリティ(季節変動)が最適化の大きな鍵を握っています。
B2CとB2Bの消耗品双方に共通するのは「常に安定供給しなければならない」というミッションです。
しかし、実際の現場ではシーズナリティに振り回されて余剰在庫や欠品、コスト増大、非効率な調達が慢性化しているケースも少なくありません。
本記事では、20年以上にわたり製造現場で培った知見をもとに、シーズナリティを考慮したB2C/B2B消耗品調達の最適化方法を、リアルな現場目線で解説します。
シーズナリティはなぜ調達現場を悩ませるのか
消耗品とは何か?そしてなぜ季節変動が生じるのか
消耗品とは、工具や資材、包装材、潤滑油、作業用手袋やマスク、オフィス備品など「使えばなくなる」再購入が必須な資材です。
B2C、B2Bを問わず消耗品には、次のようなシーズナリティが発生します。
春:新年度・異動で備品消費が増大、農業系資材の需要が高まる
夏:冷却材・熱中症対策用消耗品が増加、土木現場もピーク
秋:生産現場向け保全部材、収穫関連消耗品の需要大
冬:暖房用備品、スタッドレスタイヤ、融雪剤など特殊消耗品が活況
こうした季節変動要因とサプライチェーンのリードタイム、需要予測ミスが組み合わさることで、消耗品調達の難易度が跳ね上がります。
昭和型調達の“読みとカン”からの脱却が急務
今もなお製造業現場では「ばくぜんと前年実績で発注」「現場の声が一番」という昭和型のアナログ調達が根強く残っています。
この方法では昨今の急激な天候変動や市場変化を捉えきれず、
・在庫過多
・致命的な欠品
・スポット調達による高コスト化
・現場の非効率な探し物時間
こうした課題を引き起こしやすいのが現実です。
B2C企業ではECなどによるアクセス急増、B2Bメーカーや工場でも繁閑差の激しい稼働状況に適切に追随することが求められています。
シーズナリティに強くなるための消耗品調達最適化5ステップ
1. 季節変動を数値化:過去データとトレンドの可視化
手始めに、調達担当者はここ3~5年スパンで各消耗品の発注数・使用量・用途を時系列で見える化しましょう。
Excelや簡易BIツールでも構いません。
「実は毎年6月と11月にマスクの消費が2割増えている」
「A現場は夏季に潤滑油が突出して増加している」
こんな事実をあぶり出します。
さらに他社動向や市場ニュース、天候予測、現場の生産計画も掛け合わせていくことが業界ならではの知恵です。
2. シーズナリティ予報×需要予測の調和
数値化したデータをもとに、季節ごとの需要予測(フォーキャスト)を作成します。
単なる前年比較だけでなく「昨年より今年は猛暑」「コロナ禍の沈静化で需要回復」など、業界特有の短期/中期見通しを反映させます。
B2Cならセールや広告との連動、B2Bなら受注計画/納期プロジェクト情報が強力なヒントです。
3. サプライヤーとのシーズナリティ協働体制の確立
サプライヤー(取引先)には「なぜ今この品目が必要なのか」「季節による見込み数」を包み隠さず共有しましょう。
昭和の“値切り交渉”から“情報共有型パートナーシップ”へ進化させることで、
・サプライヤー側での積極在庫・生産計画
・納入リードタイム短縮
・季節短期スポット発注から定期契約への見直し
が可能になります。
B2C/B2B問わず、調達担当者とサプライヤーは【同じ目線で需要起伏を読む】ことが理想形です。
4. 在庫戦略の多層化と合理化――「持つ/持たない」の最適分岐点
消耗品は「全てを持つ」のが安心ですが、これでは管理とコストの面で破綻します。
現場の声・過去データ・異常気象時の経験も踏まえ
- 【定番品】…通年一定量を持つべきもの(納期遅延リスク対策)
- 【季節集中品】…シーズナリティで変動するものはスポット/コンシグメント(委託)在庫へ
- 【百均・外部調達OK品】…緊急時調達可な品は在庫極小化
このように分岐して“複層的な在庫管理”を推進しましょう。
5. デジタル調達と現場アナログの共存
クラウド型の購買システム、AI需要予測ツール、バーコードや自動発注など最新技術も導入効果大ですが、現場ではまだ“紙”や“エクセル”運用が残るのも事実です。
ベストなのは、現場の「ちょっとした異変・予兆」をデジタル数値とリアルタイムで統合していくマネジメント。
定期的な現場ヒアリングや巡回、フォーカスグループ、現場リーダーの声を組み込んだPDCAを続けましょう。
B2CとB2B、シーズナリティへの対応の違いとその要点
B2C――変化のスピードが速い個人消費市場
生活消耗品(ティッシュ・洗剤・除菌グッズなど)は、トレンドやテレビ番組、SNSで急激にヒット・欠品が起こります。
B2Cの消耗品調達最適化では
・EC売上データやWeb検索トレンド活用
・小ロット多品種仕入れや直送システム導入
・ギリギリまで在庫を絞り、売れ筋の増産/発注弾力性を確保
がポイントです。
直近のパンデミック時にも、生活必需品の急激な需要変動に耐えうる調達体制が求められました。
B2B――現場特有の“使い切り予測”と現場優先供給
一方B2B調達は納品先(工場・建設現場等)の稼働率や生産量、プロジェクトの進行により大きく左右されます。
納期遵守・品質担保と同時に
・現場での「これがないと止まる」消耗品(ブレーカー、潤滑油など)には安全在庫を持つ
・シーズナリティで突出する品は、サプライヤーコンソーシアム(協働体、共同購買)を活用
・“あまり使わないが切れると困る”ものは現場にミニストック拠点や分散在庫を用意
といった工夫も大切です。
シーズナリティ最適化のために“脱昭和”で一歩先行く現場運営へ
現場起点でPDCAをまわす新時代の調達マネジメント
消耗品調達のシーズナリティ最適化は、「データと現場の融合」が最大の武器です。
発注数の自動化や外部委託、新型需給モデルをどんどん試し、「従来のカン」でなく「事実に基づく調達計画」を作り上げることで、産業全体の競争力を大きく押し上げます。
バイヤーへの挑戦、サプライヤーとの共創――未来の製造業像とは
この課題解決は、バイヤー、調達担当だけなく、サプライヤーにも“考え方の転換”を迫ります。
「納品して終わり」ではなく、「相手のシーズナリティを一緒に考え、双方に利益が出る仕組みを構築」する――これがこれからの主流です。
製造業現場であなたの現場力が発揮される、その一歩が、
『シーズナリティを読み切る調達改革』
です。
さいごに――新たな地平線を切り拓くために現場ができること
シーズナリティを考慮したB2C/B2B消耗品調達の最適化は、今この時代『現場から産業全体を変えていく』最重要テーマです。
昭和的な慣習や固定観念を脱ぎ捨て、自由な発想とデータ、現場の知恵、サプライヤーとの協働を組み合わせて、
新たな製造業の調達像を一緒に創り上げていきましょう。
現場で汗を流す皆様が、一歩ずつでも変革を重ねることで、日本のモノづくり、そして世界の産業はさらに輝きを増します。
今こそ、現場力を武器にシーズナリティに打ち勝ち、より効率的で持続可能な調達・購買を実現していきましょう。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)