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製造業スタートアップがエンプラ営業で成果を上げるための組織設計と分業戦略

目次
はじめに:製造業スタートアップとエンプラ営業の現状
日本の製造業は長きにわたり、熟練の現場力と少数精鋭の営業チームで世界市場を渡り歩いてきました。
しかし、近年はグローバル競争の激化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の波、社会全体の「令和化」といった変化により、従来のやり方では抜け出せない「昭和の壁」に直面しています。
特にエンタープライズ(以後エンプラ)顧客をターゲットとした営業では、この壁は一層高く感じられるでしょう。
一方、製造業のスタートアップ(創業期・成長期のベンチャー企業)は、新しい技術や独自サービスで業界に新風を吹き込もうと日々奮闘しています。
本記事では、「エンプラ営業」の難易度と重要性を踏まえ、成果に直結する組織設計や分業戦略、そしてアナログな商習慣が根強い業界でも価値を発揮するポイントについて、組織運営や現場マネジメントの経験を交えながら、現場視点で解説します。
エンプラ営業の本質とスタートアップに求められる挑戦意識
エンプラ営業の難易度と醍醐味
エンプラ営業とは、自動車メーカーや大手家電メーカー、社会インフラを担う重工企業など、売上規模・組織規模が大きい企業を顧客として開拓・深耕する営業活動を指します。
業界ごとに要求事項が厳しく、長期にわたる技術提案、購買・技術・品質部門など多部署横断的な折衝が求められるため、成約獲得までの「受注リードタイム」は非常に長くなりがちです。
その分、成果を得たときのインパクトは大きく、初受注時の喜びや社会的な信頼感の獲得は、スタートアップにとって大きなブレイクスルーとなります。
「昭和の壁」とスタートアップの闘い
エンプラを相手にするとき、現場で立ちはだかるのが「昭和的」なルールや慣例です。
たとえば、
・FAXでのやり取りや紙媒体でのプレゼン
・先方購買部門による年功序列やトップダウンの承認フロー
・下請け、孫請けといったピラミッド構造
・現状維持バイアスと新規参入メーカーに対する「前例がない」という理由での拒絶反応
こういった背景のなか、先進的な提案や生産性の高いビジネスモデルを武器にするスタートアップが、どのようにして成果を上げていくか。
それは時に、単なる営業力や技術力だけでは突破できません。
組織設計や分業の仕方を戦略的に変える必要があります。
「組織設計」の本質:営業チームのつくり方
役割と責任を明確にする
スタートアップがエンプラ営業で勝ち抜くためには、「属人的に優れた営業パーソンを育てる」のではなく、組織として仕組み化された営業プロセスを築くことが不可欠です。
まず、下記のような役割分担を明確にすることが重要です。
・リードジェネレーション(案件開拓)
・インサイドセールス(情報収集と初期提案)
・フィールドセールス(技術的な要件定義、商談、クロージング)
・カスタマーサクセス(導入後の定着支援、追加提案)
役割を明確にし、それぞれの責任範囲と成果指標(KPI)を設定すれば、各自がプロフェッショナルとして機能できる土壌が生まれます。
「誰でも再現できる」営業プロセスを設計する
属人性を排し、組織の誰もが営業成功パターンを追従できる仕組みを作りましょう。
たとえば、下記はベーシックですが有効です。
・エンプラ顧客とのやり取りは、商談録や要点をSalesforceやkintoneなど共有できるCRMで一元管理
・顧客の意思決定プロセスや社内稟議を資料ベースで可視化し、ナレッジデータベースで全社共有
・受注のための活動(見積作成→承認→提出→フォローアップ)の標準手順書(SOP)を作成
これにより、創業メンバーが現場から退いても、持続的に成果を上げ続けられる営業組織へ成長できます。
エンプラ営業に求められる「分業戦略」
営業と技術の役割分担・協業の工夫
エンプラ顧客は、技術的な懸念の払拭や、導入後の品質・コストリスクについてシビアです。
このため、「営業=セールストーク担当/技術=質問に答えるだけ」といった旧来的な分業ではうまく回りません。
現場の知見として、スタートアップでは以下の“ハイブリッド型分業”が効果的です。
・初期フェーズでは営業と技術担当がセットで客先訪問
・顧客の要望ヒアリング後、共有MTGを設けて本質課題を技術的に深堀
・品質や納期については、営業が一次回答するのでなく、専門担当を「同席」させる、またはビデオ会議で呼び込む
これにより、顧客側の「分業型組織」に合わせて対応でき、技術力と営業力の“掛け算”で商談の精度・競争力が高まります。
仕入先やパートナー企業との協業
スタートアップ単体の力では、エンプラ顧客が求める規模やスピードに応じきれないことも多いです。
そこで、サプライチェーンの川上・川下に位置する協力会社や外注先、製造パートナーと積極的にアライアンスを組み、共同提案や一括受注体制をつくることも重要です。
例えば、
・工場の自働化装置やITツールは既存ベンダーと連携してワンストップで提供
・品質保証や検査体制も外部検査機関や物流企業との連携で補完
こうしたパートナー協調戦略を採ることで、エンプラ顧客の「安心感」や「プロジェクト全体最適」が実現し、信頼獲得とリピート受注につながります。
製造業アナログ領域で刺さる「DX」の進め方
業界特有の「アナログ文化」と科学的営業のバランス
依然として「現場主義」「現物確認」「紙伝票」が残る製造業。
新興企業があまりにも「IT/DX最適化」だけを打ち出すと、エンプラ側から「現場を分かっていない」と敬遠されることがあります。
現場視点で成功パターンとしては、
・紙やExcelの資材調達管理を、段階的にクラウド上へ移行。無理のないマイグレーション計画で反発を和らげる
・生産ラインのIoT化や自動収集データを、まずは品質会議の資料作成・報告書作成の効率化に使う(現場稼働そのものではなく事務作業の負担軽減からスタート)
・現場担当者とのダイレクトな関係づくり(Face to Faceのヒアリング重視)をDX化の「前提」にする
こうした現場に寄り添う進め方が、「昭和」体質の強いエンプラとの信頼関係づくりに直結します。
全社融合型の組織風土が成果を生む
縦割りを壊して“全員営業”の意識づけ
多くの製造業企業で、「営業部」「技術部」「生産部」といった“縦割り”が根強く残っています。
しかし、これからの時代、特にスタートアップでは、全社が一丸となった「営業機会の創出」「現場課題の解決」が必須です。
営業マンだけでなく技術者も現場改善提案や顧客開拓に関与し、品質部門も実地監査やISO対応だけでなく「顧客の困りごと発掘」にアンテナを立てる。
このような“全員営業”マインドの醸成が、スタートアップの武器になります。
データドリブン×泥臭い現場主義の融合
「データで意思決定」「KPI管理」は重要ですが、「仕事は人間同士の信頼で成立する」という現場感覚が、こと製造業のエンプラ営業では欠かせません。
営業進捗や品質課題は数値データで可視化しつつも、客先の現場、購買部門のキーマンとの人間関係構築を怠らない。
面倒かもしれませんが、この“データ×現場”ハイブリッドが昭和・令和をまたぐ実践的解となります。
まとめ:製造業スタートアップがエンプラ営業で成果を出すために
エンプラ営業で成果をあげるには、営業個人の力ではなく、組織戦略と分業の仕組化がカギを握ります。
昭和的商習慣と令和の最新技術が交錯する現在、スタートアップは「現場視点」と「データ活用」、「属人主義」と「組織力強化」のバランスを巧みにとりながら、エンプラ顧客への価値提案を進化させましょう。
製造業に勤める方やバイヤーを目指す方、サプライヤーの立場でバイヤー心理を読みたい方にとっても、これら組織設計や分業戦略は実践的なヒントとなるはずです。
業界全体の変革に向け、ともに知恵を出し合い、現場発の新しい地平を切り拓いていきましょう。
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