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OEMによるオリジナル首輪・リード製作の流れと注意点

目次
はじめに:製造業現場から見たOEM首輪・リード製作の今
現代のペットブームは著しく、ペット向け製品市場は拡大の一途をたどっています。
特に首輪やリードは、飼い主の個性や愛情表現が如実に表れるアイテムです。
オリジナルデザインを求める消費者が増えたことから、OEM(Original Equipment Manufacturer)による独自製品の開発依頼も増加傾向にあります。
しかし、「OEMで首輪・リードを作る」と一口にいっても、実際には多くの課題や独特の商習慣が存在します。
私自身、製造業でバイヤー・工場長・品質管理など多くのポジションを経験した立場から、現場目線の実践的な内容をわかりやすく解説します。
本記事ではOEM首輪・リード製作の流れと、トラブル回避に向けた注意点を詳しく掘り下げていきます。
OEMによる首輪・リード製作の基本的な流れ
OEMによる製作は大まかに以下の流れをたどります。
– 商品企画・仕様決定
– サプライヤー選定と打合せ
– サンプル製作・評価
– 製造委託契約・発注
– 量産・納品
– 品質保証・アフターフォロー
1. 商品企画・仕様決定
まず最初に行うのが、どのような首輪・リードを作りたいのかという商品企画です。
「ペット用の首輪」という一言だけでも、素材は革・ナイロン・シリコン・金属など多彩です。
幅・サイズ・カラーリング・ロゴ・名入れ・安全機構…そして何より、ターゲットとなる飼い主層やペットの種類(犬・猫・小動物等)を明確にすることが肝要です。
仕様書(スペックシート)作成の段階で曖昧さを残すと、後工程でのトラブルや追加コスト発生の温床となります。
現場目線でいえば「『どこまでが必須で、何がこだわりなのか』を一覧で書き出す」ことをまずおすすめします。
2. サプライヤー選定と打合せ
製品イメージが具体的になったらOEM先となる工場・メーカーを複数リストアップし、見積り・提案依頼(RFQ)を行います。
ここで注意したいのは、「自分の希望どおりの製品が作れる技術・経験・設備があるか」を十分にチェックすることです。
ネット上の情報や展示会、業界口コミを駆使し「過去にどのような首輪・リード製作実績があるか」「担当者との意思疎通が図れるか」「サンプル確認は容易か」を見極めてください。
アナログさが色濃く残る業界ですから、書面でのやりとりだけでなく現地訪問やオンライン面談、現物確認が重要です。
3. サンプル製作・評価
OEM製造の失敗あるあるのひとつに「サンプルをきちんと確認せず量産に入った」ケースがあります。
首輪・リードは生地やパーツの色合い、手触り、耐久性など「実物」を確認しなければ判断できないポイントが山ほどあります。
たとえばナイロンテープの手触りや縫製のピッチひとつで製品評価は大きく変わります。
できるだけ細やかな条件をサンプルでチェックし、気になる点はその都度しっかり共有し、都度フィードバックを重ねてください。
「赤」といってもサンプルでA社の赤とB社の赤ではまったく違う場合もあります。
この工程で妥協すると、最終的に想像と違う製品が出来上がってしまうリスクが非常に高くなります。
4. 製造委託契約・発注
サンプルに100%納得できたら、正式な発注・契約へと進みます。
契約書面には「製品仕様」「納期」「数量」「検収条件」「保証内容」「不具合発生時の対応」などを必ず明記しましょう。
特にアナログ業界では、口約束やメールのみで済ませがちですが、後々のトラブル防止には欠かせません。
また、分割納品や追加生産時のルールも事前に定めておくことを強く推奨します。
5. 量産・納品
量産時に気をつけるべき点は「サンプルと同品質での安定供給ができるか」です。
過去には「サンプルは良かったのに量産品が全然違う」「ロットによって色や感触が違う」といった事例が多々発生しています。
この要因としては、「原材料の変更(仕入先変更)」「設備・人員の熟練度不足」「工程の省略」などがあります。
現場と密に連絡を取り「本当にスペック通りか」を抜き取り検品し、不明点や変更点があればすぐに確認しましょう。
納品時は本数・数量・仕様・付属品・刻印・ロゴ・梱包状態まで確実にチェックすることが重要です。
6. 品質保証・アフターフォロー
仮に不具合があった場合、どのような対応を取るかも事前に協議しておく必要があります。
たとえば「使ってすぐに壊れた」「ロゴが剥がれる」「色落ちが激しい」などの顧客クレームに対して、サプライヤーがどこまで責任を負うのか、再生産や返金対応ができるのか明確にしておきましょう。
品質トレーサビリティ(どのロットのどんな材料で作られたかを把握する仕組み)まで導入できているかも、近年特に重視されています。
OEM製作で失敗しやすいポイントと現場目線の注意点
首輪やリードのような一見シンプルな製品でも、製造現場ではさまざまなトラブルが発生します。
特に筆者も工場現場で経験した「昭和的な商習慣」が根強く残ることからくる課題も見逃せません。
ここでは失敗事例とその対処法を現場目線で解説します。
仕様の「曖昧さ」が全てを狂わせる
「サンプルと同じで」と発注して、実際は色味や厚み、縫い糸の種類まで微妙に違う製品が納品された…こういった苦い経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
製造する側は「なるべく工程を楽に」「コストを下げて」「加工しやすく」作りたいので、指定のない部分は自社の「標準」で進めがちです。
細かい仕様(厚み、ステッチ、パーツの型番、素材ブランド)は必ず明記し、伝わったか口頭でも確認しておきましょう。
サプライヤーの「思い込み」による仕様変更
例えば“赤いリード”を依頼したのに「去年の余っているロットがあるからこれを使ったら安くなる」など、サプライヤー判断で“勝手に”材料や色が変更になる場合があります。
量産後に「サンプルと違う!」と気づいても後の祭りです。
「事前相談なしの仕様変更は絶対にしない」と契約書や仕様書には明記すべきです。
検品工程の“抜け”
首輪・リードはパーツごとの組み立ても多く、1つ1つの仕上がりがチェック漏れになる恐れが高い製品です。
「数量だけ見て細部のチェックはしていなかった」「出荷前検品はサプライヤー任せ」という状態では、不良発生リスクが大です。
ランダムに抜き出して“使ってみる”テストや、第三者検品会社の利用を検討すると、後工程での大混乱を防ぐことができます。
アナログさゆえの“伝達ミス”
FAXや手書き書類で依頼書を送った結果、読み間違いや伝言ゲームが発生し、思っていたものと違う製品が出来上がる…昭和的アナログ業界ではよくある話です。
メールやPDFデータなど、極力デジタル記録を活用し、過去の履歴を残しておくことでトラブルを大幅に減らせます。
明確な図面やカラーサンプルの現物を両者で共有し、「誰が見ても同じモノ」を指せることが、現場では極めて重要です。
OEM首輪・リード製作におけるトレンドと業界動向
首輪・リードのOEM分野でも近年大きなトレンド変化と、業界特有の動向が見られます。
現場目線でピックアップすると以下のような特徴が顕著です。
小ロット・多品種ニーズの高まり
大型ペット量販店はもちろん、最近ではオリジナルブランドや個人店主による小ロット製作の依頼が急増しています。
「最小ロット〇〇本から」「カラーバリエーション豊富に対応」など、柔軟なOEM体制を整えるサプライヤーが増えつつあります。
昭和的な「1,000本以上でないと受けません」という対応は、今や時代遅れになりつつあります。
SDGs・エコ素材対応の拡大
従来のビニールや一般化学繊維だけでなく、オーガニックコットンやリサイクルPET、ヴィーガンレザーなど、環境配慮素材への転換が進んでいます。
これら新素材採用の可否やコストインパクトを早期にサプライヤーへ質問し、「自社ブランドらしさ」を打ち出す差別化につなげたいところです。
IoT・装着型トラッカーなどデジタル機能の融合
近年は首輪・リードにGPSやICタグを組み込んだ“スマートペットアイテム”のOEM依頼も増加しています。
部品の調達難易度、組み込み生産ノウハウが問われる領域ですが、「工場・メーカーのエンジニアがデジタルをどこまで理解しているか」は現場訪問時にしっかり見極めてください。
OEM製作を成功に導くためのノウハウとコツ
最後に、OEMによる首輪・リード製作を成功させるための実践的なノウハウをまとめます。
1. “対話”と“現物主義”を徹底する
図面・仕様書・現物サンプルを用意し、対面やオンラインでサプライヤー担当者と密接なコミュニケーションを行いましょう。
文字や写真だけでは伝わらない細部は、現物にまさる伝達手段はありません。
2. 細かな仕様変更やコスト変動は、逐次記録・相談する
生産現場ではちょっとした材料高騰や納期遅延、工程の小変更がしばしば発生します。
「前回と同じだろう」と流すのではなく、常に仕様・見積り・納期の変動を記録し、不明点は必ず問合わせましょう。
3. 成功事例・失敗事例を“仕組み”として蓄積する
1回限りのノウハウではなく、検品記録や顧客フィードバック、トラブル事例をデータとして蓄積し、次回以降の制作や新たなOEM先選定時に役立てます。
品質基準やトラブル対処テンプレートなど「自社マニュアル」を整備することもおすすめです。
4. サプライヤーとは“対等”なパートナーシップを
下請け的な関係になりがちな日本のOEMですが、良いモノづくりは信頼と共創から生まれます。
問題や変更点が出た場合は、互いの立場や事情を理解し「一緒に解決する」姿勢を持つと、長期的に良いパートナーシップが築けます。
まとめ:ラテラルシンキングで現場を革新せよ
首輪・リード製品のOEM製作は、単なる委託ではなく「現場のラテラルシンキング」が成功への鍵となります。
“前例どおり”で流すのではなく、仕様決定や検品、現場対応のすべてで一歩踏み込んだ対話と創意工夫が不可欠です。
昭和的なアナログ商習慣をアップデートし、デジタル化や新素材、IoT連携など新しい地平線を切り開きましょう。
現場感覚と時代感覚、両方のバランスをもってOEMパートナーやバイヤーとして信頼・評価される存在になってください。
それが製造業発展への「現場発」貢献になると信じています。
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