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時代遅れの紙カタログ営業が淘汰を加速させる構造

目次
はじめに:製造業の現場でいまだ続く紙カタログ営業
デジタル化が進む世の中にあっても、製造業では驚くほど多くの現場で「紙カタログ営業」が根強く残っています。
長年に渡る商慣習、顧客との関係性、担当者の意識。
それらが複雑に絡み合い、なかなか抜本的な変革が進みません。
しかし、その裏側では、紙カタログに頼る営業スタイルが業界の競争力を低下させ、企業間での「淘汰」を加速していることをご存知でしょうか。
本記事では、なぜ製造業の現場で紙カタログ営業が続き、どのようなデメリットや危険性があるのか。
さらにデジタル営業への移行戦略と、紙カタログから一歩踏み出すヒントについて、現場視点を交えて詳しく解説します。
紙カタログ営業の「昭和的構造」が温存されている理由
変化を嫌う「現場文化」と商慣習
製造業は徹底した現場主義、実績重視の文化が色濃く残っています。
新たな仕組みやツールの導入に対して、「今までこれで問題なかった」という心理が働き、変革のハードルが高くなっています。
また、長年にわたり担当者同士の「現場顔合わせ」が信頼構築の要でした。
紙カタログを手渡しする行為そのものが営業活動の大きな意味を持っていたのです。
このため、「既存顧客に紙カタログを届ける」という行動自体が半ば慣習化し、営業担当者の評価指標にもなっています。
情報が「モノ」として流通する安心感
発注者(バイヤー)側から見ると、紙カタログは情報がデータではなく「物質」として手元に残る安心感があります。
一覧性が高く、現場や会議で担当者全員が一冊のカタログを囲む──こうしたアナログなやりとりが、効率を犠牲にしてでも意思決定の「儀式」として定着しています。
紙カタログ営業の致命的リスクと、淘汰の加速
情報共有の遅れが競争力を奪う
紙カタログの場合、製品情報や在庫状況、価格改定などの最新の変化がリアルタイムに共有できません。
一度配ったカタログが、社内のどこで誰の手にあるのかさえ把握困難です。
この「伝達の遅さ」「最新でない情報の流通」が、バイヤーにとって致命的な判断ミスや購入機会の損失を招いています。
高品質、低価格、短納期を求められる現在、情報の鮮度は新たな競争軸です。
紙カタログだけに頼っている仕入先は、デジタル情報を駆使するライバルに確実に後れを取ります。
環境コスト・保管コストの増大
SDGsへの対応が業界の新常識となる中、紙カタログは廃棄コストや印刷コスト、さらには紙資源の消費という社会的な課題を生み出します。
年度ごとのカタログ刷新は膨大なコストを要し、管理・保管スペースも人知れず工場や事業所の負担です。
デジタル化の遅れは、環境配慮の観点からバイヤーからの評価を下げる要因にもなり得ます。
人材の「デジタル格差」が選択の要因に
若いバイヤーや購買担当者は、スマートフォンやPCによる情報収集が当たり前です。
紙カタログしか提供しないサプライヤーは「情報が探しにくい」「発注までのプロセスが面倒」と敬遠されがちで、将来的なパートナーシップの継続に黄信号が灯ります。
またバイヤー自身も社内で「非効率なアナログ業者を使っている」と判断されれば、評価を下げるリスクを抱えます。
両者がデジタルリテラシーという新たな基準で選別される時代が着実に到来しています。
現場目線で考える「紙カタログ卒業」へのシナリオ
営業活動のデジタルシフトは部分的な導入から
いきなり紙カタログを全面廃止するのは現実的ではありません。
重要なのは、顧客や担当案件の特性をしっかりと見極め、一部顧客・製品情報からデジタルカタログ活用をスタートすることです。
たとえば、見積依頼や仕様確認を頻繁に受ける部品群から電子カタログ化を進めていく方法が有効です。
デジタル化で「共通言語」と「業務効率」を劇的向上
製造業バイヤーの実務では、「複数のサプライヤーから同時に情報を集めて比較する」ことが日常です。
ウェブ上のカタログや業界標準のEDI(電子データ交換)により、検索性と比較性が飛躍的に高まります。
調達から購買、現場内への情報共有、発注までのプロセスが一気通貫で完結することで、工数削減や在庫最適化にも直結します。
これはサプライヤー側にも大きなメリットです。
顧客ごとの説明やカタログ発送、在庫問合わせ対応の工数が大幅に削減されます。
「営業担当一人の能力」に依存していた情報伝達の属人化リスクも解消でき、誰でも同じ品質・同じ速度で情報提供が可能になります。
デジタル営業で「新しい顧客との出会い」が生まれる
紙カタログ営業だけでは「既存顧客の守り」が中心になりがちです。
しかし、デジタル化を推進することで、検索エンジンや業界プラットフォーム経由で、今まで取引のなかった企業や業種からの新規引き合いも増加します。
これは紙営業だけに固執していたのでは絶対に得られなかったビジネスチャンスです。
また、商品単位での問い合わせデータやダウンロード数などの分析ができるため、時流を先取りした商品開発、営業戦略の立案もスピード感をもって行えます。
現場の抵抗感を克服するためのポイント
「紙ならでは」の価値を正しく見極めた運用
全てをデジタル化する必要はありません。
展示会やキーパーソンへのプレゼンなど、紙カタログが活きる場面も当然あります。
重要なのは、使い分けのポリシーを明文化し、担当者の判断基準に落とし込むことです。
例えば、「新規引合いはデジタル主体」「高額商品や工場見学時には紙資料も活用」など、現場の納得感を高める工夫が大切です。
現場を巻き込む段階的なDX推進
DX(デジタルトランスフォーメーション)は「現場で使いやすい」を第一義に設計することが肝要です。
管理職やIT部門だけで決めてしまうと絵に描いた餅になりがちなので、実際に営業や調達の担当者にパイロットユーザーとして参加してもらい、フィードバックをもとに機能改善を重ねましょう。
また、「今まで1日かかっていたカタログ発送業務が30分で終わる」といった定量的な効果を現場に見せることで、徐々に賛同者を増やすのも効果的です。
まとめ:紙カタログ営業からの脱却は製造業の未来を守る第一歩
「紙カタログ営業の伝統」が残る業界構造を乗り越えるためには、現場の視点と納得感を大切にしつつ、戦略的かつ段階的なデジタルシフトが不可欠です。
古い商慣習や慣れ親しんだやり方への固執が、企業間競争、ひいては業界全体の競争力を損なう時代が来ています。
製造バイヤーやサプライヤーの皆さんには、「紙にしかできない価値」と「デジタルならではの圧倒的な業務効率」という視点を意識しながら、最適な営業スタイルを再構築してほしいと願っています。
時代の変化を正しくとらえ、業界の未来を共に切り拓いていきましょう。
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