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日用品メーカーのコストダウン相談で軽視されがちな工程コスト

目次
はじめに:日用品メーカーの「工程コスト」の重要性
製造業、とくに日用品メーカーの現場ではコストダウンが至上命題となっています。
市場競争の激化、原材料価格の高騰、人件費の上昇、そしてユーザーの価格志向。
これらの要素が複雑に絡み合う中、「コストダウン」を推進するために多くの企業が知恵を絞っています。
しかしコストダウンの相談や実行計画を立てる際、どうしても材料費や外注費、物流コストなど「目に見えやすいコスト」ばかりが議論の中心になりやすいです。
実は、現場主義で泥臭く工場を渡り歩いてきた者の感覚からすると、「工程コスト」への意識が非常に希薄な場合が多いと痛感します。
この工程コストこそが現場改善の本丸であり、ゼロベースで考え直すことが日用品メーカーに革新的なコストダウン効果をもたらすのです。
本記事では、「なぜ工程コストは軽視されやすいのか」「現場起点で見直すべきポイント」「サプライヤー、バイヤーそれぞれの視点」など、実践的な視点から深掘りします。
昭和的なアナログ文化が強く残る現場でもできるヒントも交え、ラテラルシンキングで新地平を提案します。
工程コストとは何か?〜原価の見える化の落とし穴〜
そもそも工程コストとは何でしょうか。
通常、日用品メーカーが原価を分解するとき、「材料費」「外注加工費」「労務費」「経費」など伝統的な分類を使います。
このうち「工程コスト」は、材料を最終製品へと仕上げる過程で生じる、すべての費用(主に直接的な工数・工賃・稼働コスト・歩留まりロス・段取りロスなど)を指します。
典型的な例として、下記のような費用が該当します。
・ラインの切り替え作業(段取り替え)による損失時間
・機械の停止時間や異常時の再稼働コスト
・複数工程にまたがる中間搬送費用
・手作業が絡むための人件費、工数増加
・不要な検査工程や過剰品質コスト
・歩留まり(不良品率)による原価増加
このようなコストは「固定費」「変動費」として管理表には並ぶものの、現場の隅々にまで目を凝らさないと真の無駄が見えてきません。
一方で材料費や外注費は、経理や購買部門からも目が届きやすく、「金額をいじればすぐ結果が見える」ためコストダウン対象として安直に取り上げられがちです。
しかし、現代的なコスト競争で勝つためには「隠れた工程コスト」こそ減らすべきなのです。
なぜ工程コストは軽視されるのか?昭和的アナログ文化の呪縛
多くの現場や管理職の会話を聞いてきて、工程コストが軽視される主な理由は次の通りです。
1. 「現場にしか分からない」属人化の壁
多くの工程コストは、現場の作業者や現場リーダーしか気付きません。
上層部や購買、生産管理との間に壁があり、「現場力への過信」と「他者への説明の難しさ」から工程コストが見過ごされます。
2. 測定・数値化の困難さ
材料単価や購入品の値下げは、エクセルで一発集計が可能です。
しかし段取りコストや歩留まりロス、生産停止リスクなどは変動要因が多く、データとして拾いきれません。
これが「工程コストは分かりづらいから無視」の温床になっています。
3. アナログ工程の根強い慣習
特に昭和から続く工場文化では、「手作業を細かく分担する」「逓送型のローテーション」など、効率化とは真逆の慣習が残っています。
改善が進まないので、工程コスト自体もアップデートされず、「仕方がないコスト」として横たわり続けてしまうのです。
現場目線で読み解く!コストダウン相談時のポイント
購買や経営層が工場のコストダウンをテーマにサプライヤーと協議する場面で、必ず意識してほしいポイントがあります。
稼働率・段取り・仕掛品:3大エリアの再点検
材料や加工費ではなく、「どこで余計な工程コストが生じているのか」を可視化するには、次の3点が肝要です。
1. 稼働率の見直し
2. 段取り替え頻度の低減
3. 仕掛品・中間在庫の圧縮
例えば稼働率を上げるためには、夜勤や多能工化による人材の有効活用が求められます。
段取り替えは「ロットサイズの最適化」「工程統合」「色数や品種統合」などが有効です。
仕掛品の圧縮は、「ジャストインタイム」の再徹底や、中間搬送方式(引き取り・プッシュ方式など)を再検討しましょう。
この辺りは現場主導で推進しやすく、即効性も期待できます。
工程短縮の壁〜安全・品質とのバランスをどう取るか?
短絡的に工程を減らせばよいわけではありません。
安全面・品質面・生産変動リスクとのバランスが肝要です。
ここで必要なのが「ポカヨケ(ミス防止装置)」や「自動検査」「一工程流し(フロー生産)」などの仕組み化です。
これらがアナログ文化であれデジタル導入であれ、仕組みとして根付けば、工程コストは劇的に削減できます。
バイヤーの視点:工程コストを「値引き」の議論で終わらせない
バイヤー(購買部門)の立場から見たとき、工程コストを単なる「単価交渉」の材料にしてしまうと、現場との信頼や仕入れ先の協力姿勢に大きな悪影響を及ぼします。
なぜなら、「材料費や外注費は削れても、工程コストは現場改善なくして減らせない」からです。
バイヤーが心がけるべき3つのアプローチ
1. サプライヤー現場をよく知る
→実際に工場見学・現場ヒアリングを重ね、「どの工程が無駄なのか?なぜ改善できないのか?」を現場スタッフと言葉を交わしながら体得しましょう。
2. 共有利益を追求
→短期的な値下げ競争ではなく、工程改善による「ライフサイクルコストの共有利益」を前面に据えた仕組みづくりが必要です。
3. 成果の「見える化」「分かち合い」
→改善によるコストダウン成果を分配したり、インセンティブ制度と結ぶことで、サプライヤーの自発的な改善意欲を引き出せます。
サプライヤーはどう考える?下請け現場からのリアルな声
長年、日用品メーカーの本社・工場、下請けサプライヤー双方の現場で働いてきた経験から言えば、工程コストに関する本音は次の通りです。
「単価を下げろ」だけでは、現場力が持たない
現場の声としてよく聞くのが、「これ以上は人を減らさないと無理」「過去の改善アイデアは出尽くしている」という苦しい訴えです。
材料費・加工費で絞れないなら、工程改善に本気で取り組むしかありません。
しかし、そのための投資や人材確保、上層部への説明の手間が大きすぎて進まない企業が多いのが現実です。
下請けから見た現場改善の“やりがい”と“報われなさ”
一方、現場改善が一定の評価や金銭的見返りにつながれば、サプライヤー現場も非常に前向きになれます。
「自分たちが改善したことで、○円の原価低減成果が出た」と見える形で評価されれば、現場の士気が高まります。
その意味では、発注元の日用品メーカー側の「現場歩き」「質疑応答」「やってみせる姿勢」こそが重要です。
改革へのラテラルシンキング:アナログ×デジタルの融合
昭和的な手作業主義、マニュアル頼みの慣習を抜け出すのは簡単ではありません。
しかし、昨今は中小企業でも導入しやすいデジタルツールが登場しています。
工程コスト削減で実際に効果を出した現場改善事例
・スマートウォッチによる作業時間計測→ムダな移動や待機の見える化
・IoTセンサー設置→設備の停止&稼働のロス原因を特定
・作業動画のタイムスタディ共有→ベテラン作業者の「コツ」を若手に伝承
こういった「簡単なDX化」「シニアの知見とITの融合」により、従来見落としていた工程コストがどんどん“発掘”され、削減されています。
ポイントは、「全工程のデジタル化ではなく、使えるところだけ賢く使う」ことです。
現場起点の改善と、無理のないIT活用のハイブリッドこそが、新時代のコストダウン推進力となります。
まとめ:工程コストは「最後のフロンティア」
日用品メーカーのコストダウンを真に成功させるには、目立つコストだけでなく「隠れた工程コスト」の徹底的な見える化が不可欠です。
属人的でアナログな現場作業こそ、イノベーションの余地があります。
バイヤー・サプライヤー双方が現場遵守の精神でコミュニケーションを取り、「工程コストを減らしてこその原価改革」という共通認識を持つことが、競争力強化への第一歩です。
時代は変わります。
従来通りのやり方に固執せず、アナログ×デジタル融合のラテラルシンキングで、日用品メーカーの工場現場に新たな価値を創造しましょう。
隠れた工程コストの発掘、ぜひ今こそ現場改善の火付け役となってください。
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