投稿日:2025年10月17日

紙ナプキンのふんわり感を生む抄紙テンションと繊維配合比率の制御

はじめに:紙ナプキン生産現場のリアルな課題意識

紙ナプキンは、私たちの日常生活や飲食店、医療現場など、さまざまな場面で使われている消耗品です。

この一枚の紙に「柔らかさ」「吸水性」「清潔感」「適度な強度」といった多くの機能性が求められています。

実際に紙ナプキンを製造する現場では、多くの工程やパラメータに気を配り、コストと品質の両立を試行錯誤しています。

その中でも特に「ふんわり感」は、ユーザーの手に取った瞬間の体感満足度に直結するため、紙ナプキンメーカー内で最重要品質特性の一つとされています。

本稿では、現場の視点を交えながら、ふんわりした紙ナプキンを生むための抄紙工程における「抄紙テンション」と「繊維配合比率」制御というテーマに深く切り込んでいきます。

昭和から続くアナログ工程がなお強く残る製紙業界において、いかに時代に合った付加価値を生み出し続けるべきか、長年の実体験を踏まえ、ラテラルシンキングで掘り下げていきます。

抄紙テンションとは何か? 製造現場での本質的な意味

抄紙テンションは、紙を成形・脱水・乾燥しながら連続搬送する抄紙機の中で一定の引っ張り力をかけることです。

このテンション設定を変えるだけで、最終製品の質感や強度、表面性状が大きく変わるのが紙製品独特の面白みです。

多くの現場では、以下の課題と向き合いながらテンション管理の最適化を目指します。

テンションの強弱で変わる物性バランス

テンションを強くすると紙繊維が密に絡み、強度と表面平滑性が高くなりますが、触感が硬くなりがちです。

逆にテンションを弱くすると、紙繊維がふんわりと膨らみ、柔らかく、クッション性も生まれますが、引張強度や寸法安定性・機械走行性が落ちてしまいます。

量産現場ではテンション緩め=「紙切れ事故」のリスクでもあり、工程担当者の心理的プレッシャーにもなっています。

紙ナプキンならではのテンション設定の妙

トイレットペーパーやティッシュペーパーとは異なり、紙ナプキンは折り畳み・セットアップ工程もあり、見た目の「シャキッと感」も求められます。

したがって、極端なテンション低減は禁物です。

ふんわり感とスマートな仕上がり、この二律背反をきわどく攻めるテンション制御が紙ナプキン製造の現場では求められるのです。

昭和的「勘と経験」に頼りやすい工程の構造

多くの中小製紙工場では、オートテンション制御が未導入だったり、ラインや資材の古さからデジタルデータの取得・活用が難しい状況が今も続いています。

テンションの最適値は「職人の耳」と「巻き取り時の紙の音」など、パラメータ以外の五感インフォメーションに頼る現場も。

これが再現性と持続的品質改善の壁になっている現実も直視しなければなりません。

繊維配合比率の制御 ― ふんわりの鍵は繊維の組成と品質にあり

紙ナプキン製造に使われる繊維は、大きく分けて「バージンパルプ」と「再生パルプ」に分類されます。

さらには針葉樹パルプと広葉樹パルプ、リサイクル繊維、バインダー用途の化学繊維成分など、ブレンド設計の自由度が高いのも特長です。

針葉樹 vs 広葉樹 繊維長のコントロールでふんわり感を設計する

針葉樹パルプ(LF=Long Fiber)は繊維が長く、紙を立体的に絡ませるので、ふんわり感やクッション性、吸水性に優れています。

広葉樹パルプ(SF=Short Fiber)は繊維が短く、コンパクトで均一な紙面、滑らかさや吸水スピードに優れています。

紙ナプキンではLF/SFのブレンド比率を微妙に変えることで、広がる膨らみと吸水力、ふんわり・やわらか・且つまとまりのある手触りを両立させています。

リサイクルパルプや化学繊維の活用と品質課題

コストやサステナビリティ志向の高まりから、再生パルプの利用比率を高めたいという要望も多いです。

しかしリサイクル繊維は繊維の切断・結合ポイントが多く、ふんわり感や強度を両立させにくい弱点も顕在化しています。

近年は湿潤紙力増強剤やバインダー繊維、機能性添加剤を駆使し、リサイクル比率アップと柔らかさ両立の技術開発が進められています。

繊維配合比の現場最適解とは-日々の条件変動への知恵

同じ配合率でも湿度・温度・抄紙速度・原料ロットのブレで物性は毎日微妙に変わります。

現場では「マニュアル通り」より、「今この原料、この空調、この機械状態ならどうする?」を即時に判断し、配合・抄紙条件を細かくアジャストする事が求められます。

この目利き力が結果的に「これぞ、この工場のふんわり感だね」と消費者に感じてもらえる独自品質になっていくのです。

抄紙テンション×繊維配合比率 - 現場力で“ふんわり”を生み出す技術と勘所

ふんわりの決定要因はこの二つだけではありませんが、両者の相乗効果やバランス設計こそが新しい製品価値を生み出します。

実践事例1:抄紙機をいたわる「ギリギリテンション」の見極め

実際の現場では「この針葉樹配合比率なら、このテンションまで下げても紙切れしない」という「自分ルール」を職長や機長が持っています。

例えば、夏季の乾燥が激しい時期にはテンション高めに操作し紙の割れ・静電気を防ぐ、といった経験則があります。

一方、高湿度期にはテンションを落としても切れにくくなるので、よりふんわり感を重視した設定が可能です。

実践事例2:繊維設計とテンション制御の同時最適化

たとえばリサイクル比率を上げた新配合の場合、繊維間の絡みが弱く、同じテンションで走行すると紙切れやエッジ割れが発生します。

その際にはテンションと乾燥条件を調整する一方、塗布剤による表面改質・バインダー量の調整など、多角的なアプローチでふんわり感と生産安定を両立させます。

このように現場では配合設計と操業条件の「同時最適化」を目指し、トライアンドエラーを日々繰り返しているのです。

アナログ業界だからこその課題とこれからのソリューション

デジタル化・自動計測が進みつつありますが、まだまだ熟練工の手作業とアジャイルな現場判断に頼りがちな紙製品業界。

この風土が良い味を出す一方で、「再現性」「持続的成長」「新人教育」などでは大きな課題にもなっています。

リアルタイムデータ活用によるテンション・配合比率の統合制御

最近ではIoTセンサーや画像処理を用いた紙面・エッジ状態の可視化技術、「AIフィードバック制御」を組み合わせた設備更新が進みつつあります。

これにより、「感じるふんわり感」を数字やデータで管理できる時代が到来しつつあります。

現場の勘と経験、昭和の“手仕事感”をAIとデータで再現し、さらなる品質改善と効率化・省人化を目指す取り組みが始まっています。

消費者ニーズとSDGs対応

消費者の目線でも「肌へのやさしさ」「エコ」「サステナビリティ」は今や大きな価値観です。

バイヤーやサプライヤーが製造段階の「ふんわり感」や「原料トレーサビリティ」に寄り添ったブランドストーリーを構築することで、競争力強化にもつながります。

まとめ ― 紙ナプキンのふんわり感は現場の挑戦と進化の象徴

紙ナプキンの「ふんわり感」は、工場現場の抄紙テンション設定、繊維配合比率の緻密なコントロール、その裏側にある職人技と現場力の結晶です。

この現場志向の探究心と、最新のデジタル技術を組み合わせることで、これからの紙ナプキン業界は新たな価値を創出できる可能性を秘めています。

アナログ業界ならではの苦労・経験も価値ですが、時代に合った変革の波に果敢に挑み、ユーザーが求める「心地よさ」「サステナビリティ」といった新たな品質象徴をともに生み出していきましょう。

製造現場発の“深い知恵と実行力”こそ、これからの本当の差別化ポイントになる時代です。

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