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投稿日:2025年9月27日

属人化した在庫管理でキャッシュフローが悪化する問題

属人化した在庫管理でキャッシュフローが悪化する問題

はじめに:今も根強く残る「人頼り」の在庫管理

製造業の現場では、在庫管理の手法がいまだに「人」に大きく依存しているケースが多く見られます。
パレット番号ひとつ、棚位置ひとつにしても、「あの担当者がいなければ分からない」という状況が発生していないでしょうか。
属人的な在庫管理は、職人芸や現場力と称されがちですが、見過ごせないリスクとコストを現場にもたらしています。

とくに、調達購買や生産管理の業務においては、在庫が適正に維持・管理されていることがキャッシュフローの健全化に直結します。
しかし、その属人化が進むほど、現場のブラックボックス化や帳簿在庫と現物在庫とのズレ、キャッシュロスという大きな問題に発展します。

本記事では、昭和から平成、令和にかけて進化できないまま残ってきた属人的管理の弊害をあらためて整理し、現場目線で「なぜキャッシュフローが悪化するのか」「どう変革すれば改善できるのか」を掘り下げていきます。

在庫管理の属人化が生み出す4つの問題

1. 在庫状況のブラックボックス化

属人化が進んだ工場現場では、どこにどんな在庫がどれくらいあるかが“一部の人しか分からない”という状況が発生します。
これにより、棚卸しのたびに実在庫と帳面在庫が合わず、修正作業やロスが多発します。
この齟齬を取り繕うための追加発注や、大量の突発発注が現場の混乱と無駄なコストを生みだしています。

2. 過剰在庫・欠品の発生

担当者の経験値や勘に頼った発注判断では、過剰在庫や欠品が発生しやすくなります。
在庫が多過ぎれば資金が不必要に寝かされ、在庫が足りなければラインストップや納期遅延につながります。
いずれもキャッシュフロー悪化の大きな要因です。

3. 情報の断絶による対応遅延

属人化された情報は、担当者の休職・退職・異動によって簡単に消失します。
伝票の読み合わせやエクセル台帳の管理も、人によって形式や記録のしかたが異なり、情報共有が進みません。
数日間、意思決定や出荷がストップする現場の損失は計り知れません。

4. 業務の非効率化・働き方改革への逆行

属人的な在庫管理は、一部スタッフに過度な負荷が集中します。
休日出勤やサービス残業の温床となるだけでなく、デジタル化やリスキリングにも逆行します。
こうした状況では、未来志向の業務改善や新たな付加価値創出が難しくなります。

なぜキャッシュフローが悪化するのか?

在庫は“現金”と同じ

製造業のキャッシュフロー悪化を引き起こす最大要因が、過剰在庫です。
資材・部品・仕掛品・製品…いずれも現金をモノの形で“塩漬け”しているのと同じ状態です。
本来、在庫の圧縮ができれば、経営の自由度は格段に上がります。
ところが、属人化された現場では、適正在庫量を正しく把握できず、結果的に「不安だから」「多めに持っておかねば」と在庫が膨らみ、経営資源が余計に消費されます。

入出庫ミスによる損失

発注ミスや納期遅延、誤品引き当ては、現場の混乱だけでなく機会損失や返品コストとも直結します。
これらは全て現場力に依存し過ぎて、属人的な判断を放置した結果として現れるものです。

IT投資を避けたツケ

「今さらIT化なんて必要ない」「うちのやり方で何十年もうまくやってきた」…こうした意識が、現場の進化を止めてしまっています。
昭和の成功体験にしがみつき、Excelや紙帳票、アナログ台帳管理だけでやりくりしている現場も少なくありません。
ですが、ITやIoTの活用で在庫情報を共有・可視化しなければ、いつまで経ってもキャッシュフローの改善余地は広がりません。

仕入先・バイヤー・サプライヤーから見た在庫管理の実態

バイヤー目線での課題

バイヤーは、「現場が見えている在庫量」と「調達部門がERPや購買システムで把握している在庫量」とのギャップに頭を悩ませています。
このギャップが埋まらないまま、調達リードタイムの長期化や、“念のため”の緊急発注が習慣化します。

また、サプライヤーとの価格交渉や納期調整も、正確な在庫状況が分からないまま対応しなければならず、無理な発注や短納期依頼が双方にストレスを与えています。

サプライヤーの立場から見た“バイヤーの深層心理”

実は下請け側から見ると、「なぜこのタイミングでこんな大量ロット発注が来るのか」「どうしてこんなに発注が読みにくいのか」と疑問を抱くことが多々あります。
現場で在庫管理がブラックボックス化しているからこそ、調達先も必要以上にバッファーを溜めたくなります。

さらに、現場在庫の数量や出荷予定が明示されず、都度“ざっくりした”数量指示となるため、サプライヤー側も自社の生産調整が難航し、最適化ができません。
サプライチェーン全体の安定化を損なう元凶のひとつが、属人的管理の跡です。

アナログ管理から脱却する5つのアクション

1. 在庫台帳のDX化とIoT管理の推進

まずは現場の在庫台帳をITシステム化し、実情報と帳簿情報の乖離をなくすことが第一歩です。
バーコード、RFIDなど簡易な仕組みから順次IoT導入を進め、入出庫や保管位置をリアルタイムで誰でも把握できる状態を作ります。
専任担当者がいなくても管理できる仕組みづくりが鍵となります。

2. 棚卸しのルーティン化・可視化

年1回の大棚卸しだけでなく、日常のサイクル棚卸しを組み込み、現場が「いつも数字が合っている」状態にします。
現場の管理方法やエクセルの書式統一も大切です。
在庫状況と資金移動を毎日見える化できるようにします。

3. 標準作業マニュアルの整備

担当者から「この部品、あの隅っこに置いてあるよ」などという個別知識を排除し、標準化された棚番号・保管方法・入出庫手順を明文化します。
新人教育や担当変更にも耐える仕組みが必要です。

4. 揺れ幅の小さい発注プロセスの設計

在庫の自動補充点設定やリードタイムの見直し、適正在庫数量の再設定などを行い、「いつ、いくつ発注するか」のルールを定型化します。
感覚ではなくデータに基づいた発注ができれば、ブレを抑えながらキャッシュアウトを最小化できます。

5. 調達・サプライヤーとの情報共有

サプライヤーや調達担当と在庫情報・需要予測のデータを連携し、発注計画をオープンにします。
それにより「なぜタイミングが変わるのか」「なぜ急発注が起きたのか」といった説明責任を果たしやすくなります。
属人化した知識やノウハウを、組織的資産に昇華することで、現場の競争力を高めることもできます。

製造現場の文化と向き合う勇気

「うちの現場は昔からこうやってる」「やり方を変えるのは怖い」。
多くの現場リーダーやベテラン作業者は、JITや生産革命のかけ声に懐疑的です。
ですが、本当に必要なのは、“見せかけ”や“帳尻合わせ”ではない現場の透明性と、キャッシュの流れを止めないための合理化・効率化です。

在庫管理の属人化から“脱出”できれば、日常業務の効率アップや人材の多能化だけでなく、調達グループ・サプライチェーン全体の最適化、ひいては企業の利益率改善に直結します。

まとめ:明日からできる属人化脱却の一歩

1. あなたの現場、在庫管理が「その人がいないと分からない」状況になっていませんか?
2. エクセルや紙管理が前提となっている棚卸し、在庫台帳に“現場力頼み”の作業が生じていませんか?
3. キャッシュフローや調達コストの悪化、その根本要因は「見える化・標準化の遅れ」にありませんか?

まずは現場で「真の在庫」を数字で可視化し、現場・調達・サプライヤーで同じ情報を共有することから始めましょう。

属人化した在庫管理の出口は、イノベーションやデジタル化だけではありません。
現場の“気付き”と“勇気”がカギになります。
誰もが同じく情報にアクセスでき、キャッシュフローがスムーズに回る“新しい地平”を開拓していきましょう。

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