投稿日:2025年9月7日

ペット用ケア消耗品OEMの市場動向と企画の工夫

ペット用ケア消耗品OEMの市場拡大と背景

ペット市場はここ10年で急速に拡大しています。
特に日本は犬や猫などの飼育頭数が子供の人口を上回るという状況となり、「ペットは家族」という考え方が一般化しています。
そんな中、ペット用ケア消耗品OEM(Original Equipment Manufacturer)は、従来の大手メーカーのみならず、異業種からの新規参入や中小企業の活躍によって大きな注目を集めています。

OEMとは、他社ブランドの製品を製造するビジネスモデルですが、近年ペット用品市場でもOEM製品のウエイトが確実に増しています。
その主な理由には、消費者ニーズの多様化と低コスト・短納期化、オリジナリティ志向の強まりがあります。
ここでは、ペット用ケア消耗品OEM市場の現状や業界の動き、OEM企画における工夫ポイントを現場目線で掘り下げてみます。

ペット用ケア消耗品の主なアイテムと特徴

◎定番の消耗品アイテム

ペット用消耗品OEMの中核となるのは、以下のようなアイテムです。

・ペット用ウェットティッシュ、シャンプーシート
・ペット用トイレシート、ペット用おむつ
・ペット用歯みがきシートや歯ブラシなどの口腔ケア用品
・エチケット袋やマナー袋
・除菌・消臭関連のスプレーやシート

これらは人間向けの生活消耗品より小ロットかつ多品種化する傾向が強い点が特徴です。
また、犬・猫それぞれの身体的特性やライフスタイル、病気や老化に合わせたバリエーション展開も進んでいます。

◎高まる機能性と「安心安全」志向

もはやペット消耗品にも機能性や安全性が必須です。
たとえば「抗菌」「無添加」「国産原料使用」といった訴求はスタンダードになりつつあります。
第三者機関の認証取得や、製造履歴のトレーサビリティ確保に取り組む企業も増えています。

そのため、OEMを手掛ける工場側も、生産・品質管理体制の高度化やR&D(研究開発)力の強化が欠かせません。
昭和の大量生産によるリピートビジネスから、今や細かな受注生産や小回りの利いた開発対応が標準となりました。

OEM市場の業界動向とアナログ文化の変化

◎異業種参入とプライベートブランド(PB)の台頭

近年、ドラッグストアやホームセンター、EC事業者によるPB商品の開発・委託が進んでいます。
また、医薬品や食品業界からの異業種OEM参入も活発です。
この動きは、市場規模が徐々に拡大し「ニッチな一品勝負」が成り立つ土壌が整ったことを示しています。

一方、旧来の商習慣や業界内ネットワーク重視の慣習も根強く残ります。
昭和的な「顔見知りの取引先重視」「FAX・電話中心の受発注」など、デジタル化の遅れが特に生産現場には色濃い状況です。
だからこそ、市場変化に俊敏かつ柔軟に対応できるOEM事業者が今後の主役となります。

◎サステナビリティとDX(デジタルトランスフォーメーション)

近年の市場トレンドで外せないのが、環境配慮とDXの推進です。
ペットケア消耗品も、リサイクル素材の活用やバイオマス由来原料の採用、「脱プラスチック」設計が増えています。
また、生産現場でのIoT・AI活用や、クラウド型受発注システムの導入により業務効率化を進める動きが強まっています。

こうしたテーマは、ユーザー企業(バイヤー)だけでなく、OEM受託工場も避けて通れません。
アナログ文化から脱皮できた企業ほど、今後の市場で存在感を増していくでしょう。

OEM企画における現場発の工夫事例

◎小ロット多品種への柔軟な対応力

大量生産前提の従来型工場では、最小ロットが大きく、柔軟な生産切り替えが難しいという壁がありました。
しかし、現場での段取り時間短縮・汎用ライン機器活用・熟練オペレーター育成といった地道な工夫の積み重ねで、今では「1000個単位の試作対応」「OEM元ブランドの急な仕様変更対応」も当たり前となっています。

徹底した現場視点でのムダ取り改善(いわゆるカイゼン活動)や、設備のIoT化によるリアルタイムの稼働・品質データ取得など、「昭和の現場」から「令和のスマートファクトリー」へと進化することで、これを実現しています。

◎購買とバイヤー視点の連動提案

消耗品OEMは「売り場=使用場面」を意識した製品設計が成功のカギです。
現場と購買部門が連携し、以下のような視点でアイデア提案がなされています。

・お手入れのしやすさ(パッケージ開け口の工夫や取り出しやすさ)
・使用後の処分の手間削減(生分解性素材や、トイレ流せる仕様)
・ユーザーアンケートや現場の声を反映した仕様変更
・店頭POPやEC説明文向けコンセプト資料の共同開発

このような取組みを進めることで、OEM受託先も単なる「下請け」から「開発パートナー」へと格上げされ、ブランド側とのWin-Winな関係が生まれています。

◎品質第一主義とカイゼン文化の現代的進化

工場の品質管理手法は今も昭和から続く「4M(人、機械、材料、方法)」管理が中心です。
しかし、LIMS(品質情報管理システム)の導入や、AIによる外観検査自動化、蓄積データの共有によるフィードバック体制構築などで、品質保証レベルは確実に進化しました。

ヒューマンエラーの低減や、バイヤーからのクレーム低減、品質トラブル対応フローの迅速化など、現場での不断な改善の積み重ねが、結果的に製品力とOEM受託力強化の源泉となっています。

バイヤー・サプライヤー双方に求められるこれからの姿勢

◎バイヤー(発注側)の変革と意識改革

バイヤーは自社ブランド戦略を明確にし、単なる価格競争ではなく、「ユーザーにとっての付加価値」をOEM先と追求する姿勢が求められます。
発注仕様や納期等についても柔軟な協議を惜しまず、現場や現物をよく観察し、「机上の空論」ではなく実践的視点で課題解決に取り組むことが大切です。

また、サステナビリティやDX推進を重視しながら、協力工場とのデータ連携や成功事例のシェアなど、オープンマインドでのパートナーシップ構築も重要です。

◎サプライヤー(OEM受託側)も「価値提案型」へ

サプライヤーは単に「注文通りにつくる」のではなく、市場動向や他業界の成功事例、新素材や省人化技術などを積極的に情報発信し、バイヤーのブランド強化に貢献する「価値提案型OEM」へと進化が必要です。

消費者インサイト分析を活用し、「この小ロット・多品種にも短納期で対応します」「現場でこんな改善が可能です」と、発注先のニーズ変化に即応できる組織づくりと、現場と営業・開発の密接な連携がカギを握ります。

まとめ:現場の強みを活かし、共創マーケットへ

ペット用ケア消耗品OEM市場は、今後さらに競争が激化し、多様なプレイヤーが入り混じる未来が見込まれます。
バイヤー・サプライヤーともに「現場起点」「顧客価値起点」で本質的課題を追及し、「昭和」のアナログ文化の良いところを活かしつつ、「令和」のデジタル変革・サステナビリティへの進化を両立することが成功の鍵を握ります。

日々のカイゼンや“気づき”の積み重ねこそが、
ペットやその家族にとって本当に求められる価値を提供し続ける力となります。

今こそ、“人”と“現場”の知恵を最大化し、メーカーとサプライヤー、そしてユーザー三方よしの共創マーケットを目指しましょう。

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