投稿日:2025年9月7日

多頭飼い需要に応えるペット用品OEMのアイデア

はじめに:多頭飼い時代の到来とOEM戦略

いま、ペット市場では「多頭飼い」が大きなトレンドとなっています。
愛猫や愛犬を”家族”として迎え入れるだけでなく、2匹3匹と一緒に暮らす世帯が増えています。
少子高齢化や独身世帯の増加、そして”ペットを子ども扱い”するライフスタイルの浸透により、その流れは加速しています。

多頭飼い世帯の増加は、すなわち「従来の一匹飼い想定」から「複数のペットを同時に世話する前提」へと、市場ニーズの前提がシフトすることを意味します。
本記事では、長年製造現場で培った知見をもとに、多頭飼い需要にフォーカスしたペット用品OEM(受託製造)の実践的なアイデアと、従来型思考から一歩抜け出すヒントを業界目線で解説します。

多頭飼いがもたらす需要構造の変化

現場で見える新しいニーズ

1匹か2匹か――数字が変わるだけ、と思われがちですが、現場目線ではまったく別の世界が広がります。

まず、飼育スペースの問題。
多頭飼いになると、ペット同士の距離感やパーソナルスペース、共存ストレスの対策が欠かせません。
そのため「拡張性のあるペットケージ」「間仕切り可能なクッション」「多頭用トイレ」「同時給餌が可能なフードディスペンサー」など、従来製品と根本設計から違う発想が求められます。

また「ケンカ防止」「食事や水の取り合い対策」「個々に異なる健康管理」など、多頭飼い特有の悩みも色濃く現れます。
こうした細分化されたニーズの出現が、OEMメーカーやバイヤーに新たな差別化戦略を迫っています。

アナログ業界を脱却した企画のヒント

昭和時代から続くペット用品市場は、いまだにアナログ色が強い傾向にあります。
カタログ商品を型番で”横流し”するだけではなく、現場の声を吸い上げた「痒いところに手が届く商品企画」こそ、今OEMに求められる最大の価値です。

たとえば以下のようなポイントに着目すると、市場新規参入やシェア拡大のヒントとなります。

– ペットごとの性格・年齢差を考慮したパーソナライズ要素
– 清掃やメンテの手間を極力減らす管理性
– 部材モジュール化による「増設・交換・個別調整」性

昭和的な”同一規格大量生産”思考から抜け出し、きめ細かいバリエーションと柔軟な供給体制へ転換することで多頭飼い需要に応えるOEMビジネスは一層強くなります。

多頭飼い対応のOEM商品開発アイデア

1. 拡張・連結型ペットケージ

家族が増えたら部屋を増設する感覚で、飼い主がパーツを自由に連結できるペットケージは多頭飼いには大変便利です。
スペースやレイアウト変更に柔軟に対応でき、模様替え感覚でペットたちの環境を最適化できます。

OEMでは、基本モジュール(L字型、T字型、ドア付き等)を標準化し、バイヤー企業専用の色味やデザインを容易に展開できる設計思想を盛り込むと、多様なニーズの吸収が容易になります。

2. 個別対応多頭自動給餌機

「並んで食事する2匹のうち、片方だけ肥満、もう片方は偏食」――実際に多頭飼い家庭から出るリアルな悩みです。
個々のIDチップや首輪タグで認識し、指定量だけフードが出る仕組みや、複数口座の食器管理、品種別レシピの自動切り替えなど、IoT技術と連動した「オーダーメイド給餌機」の実用化が期待されています。

OEMとしては、バイヤー独自アプリとの連携や管理画面のカスタマイズ、アフターサービスのシステム連動までをワンストップで供給する提案型の開発が重要です。

3. 多頭分離用の猫砂トイレ、犬用トイレ複合ユニット

2匹以上の猫が同じ砂場を使うと、ストレスや感染リスクを生みやすいという現場の声があります。
区画が個別化されている多頭用トイレや、消臭・抗菌機能を持たせた素材、清掃ロボット機能を搭載したハイエンド仕様など、単なる”大きさの違い”だけではない工夫が求められています。

OEMバイヤー(ブランド側)と協力し、販促面では「実際の多頭世帯モニターによるレビュー」や「家庭ごとの具体的な使用例」など、導入イメージを強く打ち出すマーケティング戦略まで包括提案できる仕組み強化が求められます。

4. 多頭向け消耗品の大容量パッケージ化

多頭飼いになると、餌・砂・清掃用品などの消耗が一気に増えます。
「週に何度も買い足すのが大変」「まとめ買いでコストを抑えたい」こうしたニーズを受け、大容量&コンパクトパック(ミシン目で小分け可能、エコな詰め替え型パッケージ等)はバイヤーが提案しやすい”お得感”を訴求できます。

OEM側で「まとめ買い割引」や「サブスク対応パッケージ」「宅配会社との提携によるスムーズな物流」まで見据えることで、顧客体験全体を向上できます。

OEMで生き残るための差別化・ブランド戦略

バイヤーの本音を汲み取るOEM提案の姿勢

多頭飼い向けという”新たな正解”を模索する今、バイヤー側も製造現場の知見や素材開発、工程管理などの力をどれだけ引き出せるかに注目しています。

「どんな特徴が売れているのか」「現場のクレームや返品傾向は何か」「実際にペットを多頭飼いしている現場の生声」の情報をOEMパートナーが理解し、一緒に市場ニーズを深掘りしていく姿勢が信頼構築の最大のカギとなります。

単にOEM=委託生産という枠を超え、「設計コンサル」「消費者データ活用」「物流まで見越した納品提案」などの協業を積極的に行いましょう。

昭和的”金型依存”から真のDXへ

従来のペット用品製造では、いかに金型を流用しコストを下げるかが正義でした。
しかし少量多品種、短サイクル切り替え、機能拡張や仕様変更が当たり前の多頭飼い需要は、まるで逆の世界です。

たとえば「プリント基板やモーターのモジュール化」「3Dプリンタによる少量カスタマイズ」「素材メーカーとのタイアップによる新素材開発」など、現場発案力とデジタル設計の融合こそが、今後の製造現場の明暗を分けます。

バイヤーやエンドユーザーとの距離を縮め、現場力を生かした独自提案を積極的に盛り込むことこそOEMビジネスの成長戦略です。

まとめ:ペット多頭飼い新時代に向けて

多頭飼い市場の拡大は、一見すると”従来商品を大きく・多く”すれば良いだけのように思えます。
しかし、現場には「個体ごとのストレス」「家族全員の健康管理」「コスパと持続可能性」といった、細分化された課題が山積しています。

OEMや買い手となるバイヤーは、それぞれの課題に寄り添った多様な解決策を提案できるかどうかが大きな分かれ道になります。
昭和時代の大量生産・大量販売モデルから一歩踏み出し、現場知見を生かしたラテラル思考で「今までにない新商品・新サービス」を市場へ届けましょう。

多頭飼い対応ペット用品の進化は、製造現場に新たな地平線を切り開く大きなチャンスです。
お客様の生活と笑顔、そしてペットたちの幸せのために、これからも創意工夫と現場主義でOEMの新時代を共に切り拓いていきましょう。

You cannot copy content of this page