投稿日:2025年9月5日

ペット用品OEMで人気のカテゴリーと市場参入の狙い目

ペット用品OEMとは?最近の動向を現場目線で解説

ペット用品のOEM(Original Equipment Manufacturer)は、ブランドオーナーが自社ブランドで販売するペット用品を、外部のメーカーに生産委託するビジネスモデルです。

従来は日用品や家電などでよく見られましたが、昨今のペットブームを受け、ペットフードやおもちゃ、ケア用品、インテリア雑貨まで多彩なカテゴリーへ広がっています。

長年、製造現場で調達・品質・生産管理に携わった経験から言えば、ペット市場は消費者ニーズの変化スピードが早く、小ロット・多品種を実現した「柔軟なものづくり力」がOEMメーカーにも求められるのが特徴です。

昭和時代の大量生産型モデルからの転換が迫られており、自動化・省人化ニーズも同時に高まっています。

ペット用品OEMで人気のカテゴリー

ペット用品のOEMカテゴリーは年々拡大していますが、特に市場ニーズが強い分野をいくつか挙げてみます。

1. ペットフード(ドライ・ウェット・サプリメント含む)

ペットフード分野は、OEM依頼件数が群を抜いて多いです。
安全・無添加・国産志向が年々強まっており、原料トレーサビリティが重視されます。

特に、グレインフリーやスーパーフード配合、機能性サプリメント(皮膚や関節、お腹の健康をサポートする栄養素入り)がマーケットで伸長しています。

食品製造・衛生管理の経験があるメーカーが新規参入しやすい一方で、アレルギーやロット管理、成分証明など品質ハードルは非常に高いと言えるでしょう。

2. ペット用品(ケア・グルーミング用品、トイレ用品など)

シャンプーやブラシ、ウェットティッシュ、ペットシーツなどのケア用品は、日用品OEM実績のある工場で対応可能です。

環境配慮型(バイオマス原料や生分解性)や、アレルゲンフリーといった付加価値製品が最近のトレンドです。

特に猫砂やシーツは「消臭」「固まり具合」など、機能の差別化に対するOEM相談が増加しています。

3. ペットウェア・アクセサリー

季節ごと・イベントごとに新商品が投下され、ファッション性が高く小ロット多品種生産の典型です。

アパレル工場の技術転用や、3Dプリンターによるアクセサリー開発も進んでおり、企画提案力のあるOEMが選ばれやすくなっています。

4. ペット家具・ベッド・インテリア雑貨

デザイン性とユーティリティ性を兼ねたペット家具のOEMも近年人気です。

人とペットが共生しやすい空間作りが求められる一方で、木工・樹脂・金属など異素材を組み合わせる開発力が強みになります。工務店や建具職人など異業種からのOEM参入も増えています。

5. ペット用IoT・ヘルスケア機器

昭和の「アナログ」製造現場から大きく変わった領域です。

スマート給餌器や見守りカメラ、健康管理ウェアラブルなど、電子・IT技術を駆使したペット用品は今後さらに拡大が見込まれています。

家電や電子部品メーカーのOEM依頼が多く、ICT分野に精通した製造パートナー探しがカギとなります。

OEM市場参入の狙い目とポイントは?

新たにペット用品市場へOEMで参入を狙う場合、特に次の3つの戦略・ポイントを押さえておくと良いでしょう。

1. バイヤー側の現場ニーズを読み解く

メーカーとバイヤーの関係は時に「言葉の食い違い」でトラブルになりがちです。

例えば最終消費者は
「どんなペットでも使える安全・安心性」
「汚れやすいからお手入れが楽」
「インテリア性」などを求めます。

一方で、OEMバイヤー側は
「納期対応力(繁忙期の増産や急な試作)」
「小ロット対応とコストのバランス」
「欧州や北米の法規対応や輸出規制」
など、かなり実務的な観点からサプライヤーを選定します。

自社の製造特性や得意分野を明確にし、バイヤーの課題解決提案ができるのが、選ばれるOEMになります。

2. 業界特有の法規・トレンドを先取りする

ペット用品は食品に準じた品質管理が必要な場合が多く、「食品表示法」や「動物用医薬品管理」にも配慮が求められます。

特に欧州や北米への展開を考える場合、RoHS指令、REACH規則、FDA(アメリカ食品医薬品局)の認証など各国・地域の規制確認が必須です。

数年後を見据えた素材調達や、エコ/ウェルネス志向を製品開発に盛り込むことが競争力に直結します。

3. アナログ業界の強みも積極的に活かす

製造業界はデジタル化や自動化へと急速にシフトしていますが、「アナログの職人技」「経験値による不良防止のノウハウ」は今なお大きな武器になります。

新素材やIoT技術とのハイブリッド提案のほか、手作業の仕上げや小回りの効くアフター対応など、昭和から続く“日本的なきめ細やかさ”は欧米バイヤーにも高く評価されています。

継続的な現場改善やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進と合わせて、古き良き現場力の維持も、OEMにおける差異化要素と言えるでしょう。

バイヤーが期待するOEMサプライヤー像とは

現場でのバイヤー経験からお伝えすると、OEMサプライヤーに求められる一番の資質は「柔軟な対応力」と「実直なコミュニケーション」です。

未知の分野や新規素材に対するチャレンジ精神も重要ですが、曖昧を残さず、図面・仕様・納期・価格・品質などをしっかり対話し、着実にモノを造る姿勢が信頼につながります。

また、効率的な生産ラインやSCM(サプライチェーンマネジメント)構築も重要な評価ポイントです。

小ロット時代だからこそ、工場内の見える化や、協力工場ネットワークの拡充による「変種変量」への強さが強みに変わっています。

さらに、OEM案件は「初回発注時のやり取り」が9割を占めると言っても過言ではありません。

バイヤーの視点では、「試作時点でのレスポンス」「現場トラブル発生時の初動対応」「品質異常への根本原因追求と再発防止策の説明力」などが、長期の信頼関係構築のカギとなります。

OEM参入で成功するための現場的アドバイス

製造現場で実際に感じてきたOEM参入時のアドバイスをいくつかご紹介します。

1. 小さく始め、フィードバックを重視する

大きな案件や新分野への挑戦は魅力的ですが、まずは手の届く範囲で「できること」「得意なこと」に絞りましょう。

パイロット案件を経て、課題やニーズを現場で共有・改善しながらブラッシュアップすることで、無駄なコスト・失敗のリスクを減らせます。

2. 関連法規・原材料調達を徹底把握する

ペット用品の品質トラブルは消費者の信頼喪失や、取引停止にも直結します。

一次原料サプライヤーにも検査・監査体制を敷き、業界動向(リコール情報や消費者事故ニュース)にも日ごろからアンテナを張っておきましょう。

3. コスト以外の「見えない付加価値」を提案する

OEMの競争は価格だけでは長続きしません。

例えば「エシカル」「ペットと人の幸せを支える」などのストーリーや、エビデンスデータに基づく製品改良提案、現場スタッフへの徹底した教育や現場見学対応など、取引先・バイヤー目線での“気付き”をどんどん伝えましょう。

まとめ:これからのペット用品OEMに求められるもの

ペット用品のOEM市場は、アナログ時代から大きく進化し、“柔軟性”と“変化への対応力”がますます問われる時代になっています。

人気カテゴリーへの参入とともに、バイヤーのリアルな要求を現場目線で理解し、旧来のものづくり力と新たな付加価値を掛け合わせることが、業界発展のカギとなります。

製造業現場で培ったスキルと経験は必ず活きる分野です。

これからのペット用品OEM市場で、バイヤーにもサプライヤーにも新たな可能性が開きます。

成熟産業と思われがちな製造業界ですが、今こそ“ラテラルシンキング”で一歩先を見据え、共に成長していきましょう。

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