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投稿日:2025年12月30日

洗浄性に課題が残るコーターマシンで使う配管継手部材

はじめに:コーターマシンと配管継手の洗浄課題

コーターマシンは、紙やフィルム、金属などに各種コーティング剤を均一に塗布する生産現場で欠かせない装置です。

印刷業界、パッケージ業界、さらには電子部材の製造現場など、多様な分野で使われています。

このような装置の性能を最大限に活かすためには、使用される液体の品質維持が重要です。

その要となるのが液剤を供給・循環するための「配管」と「継手部材」ですが、ここには昔ながらの設計思想や保守的な運用ルールが強く根付いており、「洗浄性」が見過ごされがちです。

アナログな慣習から抜け出せない現場では、製品ロス、設備停止、品質トラブルなどのリスクが常に潜在しています。

本稿では、20年以上の工場経験を持つ筆者が、現場ならではの視点を踏まえつつ、コーターマシンで使う配管継手の洗浄性課題と、その根本原因、最新動向、具体的な改善策について深掘りして解説します。

コーターマシン配管の基本構成と継手部材の現状

配管経路の複雑化が招く洗浄の難しさ

コーターマシンの液供給系統は、しばしば複雑です。

原材料(コーティング剤)のタンク、ポンプ、フィルター、供給ヘッド、リターンライン…それぞれが複数のバルブや流量計、センサーと組み合わさっています。

この配管ネットワークの要所要所に、パイプを接続する各種継手部材(ユニオン、フランジ、クイックカップリング、テーパーねじ等)が使われます。

近年ではサニタリー配管も検討されていますが、コストや慣性、既存設備との互換性から、ステンレスねじ込み継手(SZ(スイージー)継手)、ブレードホース+ワンタッチジョイントなど、古くからある工法が根強く残っています。

このような「昔ながらの設計」では、どうしても継手内部にデッドスペース(液溜まりや、洗浄液が流れにくい入り隅)が残ります。

ここが、汚れや異物の温床になりがちなのです。

継手の内部構造が“見えないリスク”を抱える

配管継手は、一見単純なパーツに見えますが、実は内部に「段差」や「ねじ切り部」、「Oリングの溝」などが多くあります。

ここに塗工液の残渣、顔料、バインダー、添加剤、時には可塑剤や溶剤成分が残ります。

目視できないまま固着・膠着し、次回の生産で溶け出したり、黒点異物やブリード不良の原因となるケースが後を絶ちません。

筆者の体験でも、「線状異物が繰り返し発生してCC(クレーム)になった」とき、原因追及の結果、継手のOリング内側やネジ山に経年汚れがべったり残っていた…ということが何度もありました。

こうした“見えないリスク”が、配管継手の洗浄性課題の本質です。

なぜ洗浄対応が進まないのか?アナログ業界のジレンマ

「昔からこの方式」で止まった技術更新

製造業では「保守的・現状維持」の文化が強く、配管工事も例外ではありません。

新しい継手や洗浄しやすいサニタリー部材への更新は、「既存ノウハウが通じない」「初期投資が嵩む」「一部の設備だけ変えると全体調和が崩れる」といった理由で敬遠されがちです。

また、協力会社(配管業者)も熟練作業員ほど「昔のやり方で手早く組める部品」を好みます。

「継手なんてどれも大差ない、壊れなければOK」という意識が現場全体に浸透しています。

しかし現在は、小ロット多品種や頻繁な段取り替えにより、洗浄のたびに人手や時間が取られる事態になっています。

これこそ、変革が求められるポイントなのです。

洗浄作業負荷と現場力の“すり減り”

現場で「洗浄」を担うのは、設備保全課、生産技術班、時にはオペレーター自身です。

継手類を分解・洗浄・再組立する作業は、想像以上に手間と時間がかかります。

しかも内部構造が複雑な継手の場合、ピッキングツール等を駆使しても「完全に汚れを落とす」のは至難の業です。

先輩から受け継いだ清掃手順や独自ノウハウで何とか凌いできたものの、属人化と「なんとなくキレイになっている」という思い込みが横行。

結果、先の見えない負担増とヒューマンエラーが蓄積していきます。

このような現場力の“すり減り”が、ひそかな現代工場の課題なのです。

品質トラブルの原因:デッドスペースと非衛生設計

塗工液残り/樹脂固化が誘発するトラブル事例

洗浄性の悪い継手や配管がもたらす典型的なトラブルは、塗工液の「残液」「樹脂固化」です。

とくに水系バインダーやウレタン樹脂、特殊糊などは、短時間で硬化・付着します。

配管バラしの際にねじ山内部からカチカチに固まった残渣がゴロッと現れ、ショックを隠せなかった現場担当者も多いでしょう。

また顔料スラリーやカーボンブラックなどの沈降性物質は、継手の“隙間”部で微細な堆積物となり、一見キレイな配管でも断面撮影すれば多くの付着物が見つかります。

これらが次回生産時の“異物”の温床。

「突発的な黒点」や「斑点状ムラ」「樹脂キズ」といったクレームの火種となります。

サニタリー設計との違い:なぜ食品・医薬は発達したか

同じ配管でも、乳製品や充填飲料、医薬品の製造現場では「サニタリー配管」が標準化しています。

これは“内部まで完全に洗浄できる・自動でCIP(定置洗浄)できる・微生物の繁殖を防げる”という設計指針が徹底しているためです。

対して、コーターマシンなど工業用領域では、今でも「ねじ込み継手」や「クイック継手」に頼る割合が高く、全面サニタリー化には遅れが目立っています。

食品・医薬と違い、「異物=命に関わる」ほどの絶対的リスクではないという業界意識の差が、技術転換を阻害してきた一因とも言えるでしょう。

しかし、市場の品質要求レベルの高まり・自動化推進の流れを受けて、今こそ「産業用でもサニタリー設計を積極導入」する必要性が増しています。

現場目線で考える:洗浄性を改善するラテラル思考

設計段階で“洗浄しやすさ”を最重要KPIに

既存設備の場合、配管レイアウトや部品選定は「コスト優先」や「納入リードタイム重視」になりやすいです。

しかし、これからの配管設計では、「いかに洗浄が容易か」「内部に全く残渣が残らないか?」という観点をKPI(重要評価指標)として最優先すべきです。

例えば、
– ねじ切り継手をやめて、クランプ式のサニタリー継手を全面導入
– 広口設計(内径と肉厚ディメンジョンの最適化)でブラシが奥まで届くよう配慮
– 継手の分解・組立手順を最少工程で済むよう工夫
などラテラルな設計発想が必要です。

さらに、配管自体のレイアウトも、最短距離・極力直線化・無駄なコーナーや下り勾配を排除といった「洗浄性能最優先」の新しいレイアウトに変えていくことがトータルコストダウンに直結します。

洗浄自動化とIoT連携:次世代の現場力へ

ベテラン作業員頼みの手洗浄から、CIP(定置洗浄システム)や自動制御バルブによる自動シーケンス洗浄への移行も有効です。

IoTセンサーで「洗浄液中の異物濃度」「流速」「温度」「残渣検知」を常時監視する、新世代のスマート洗浄現場は、今や充分実現可能です。

また洗浄結果をクラウド化し、洗浄記録・異物検出ログを「追跡可能」な状態にすることで、工程管理の透明性も劇的に高まります。

このように、デジタルと現場作業の融合こそ、令和のモノづくり現場で「昭和的アナログ設計」から抜け出すためのラテラルなブレークスルーといえるでしょう。

バイヤー・サプライヤー視点の“洗浄性”という付加価値

購買部門の役割:単なるコスト比較に留まらない評価軸

バイヤーの立場としては、「継手=ユニット品」「安価な消耗材」と安易にカテゴライズしがちです。

しかし、現場・製品全体の費用対効果を俯瞰すると、洗浄性による作業時間短縮、品質コスト低減、工程トラブル減少――これら非財務的メリットは非常に大きくなります。

よって、部材選定や工事発注の際は
– 分解洗浄の所要時間
– 清掃工程数と残留異物リスク
– サニタリー仕様/自動洗浄対応可否

といった“洗浄性”を新たな入札スペック、サプライヤー評価軸として積極導入すべきです。

サプライヤーの新たな責任:洗浄ソリューション提案力

一方、サプライヤー側も「従来型継手で十分」と受動的な提案に甘んじていては、変化の波に取り残されます。

顧客の現場課題(クレーム発生原因や作業負荷増大)を深く理解し、積極的に
– 独自構造の洗浄容易型サニタリー継手
– CIP対応クイックコネクター
– 内部観察用スコープやスマートIoTデバイス

といった“洗浄性付加価値”を訴求すれば、自社の技術力と差別化を高くアピールできます。

そしてバイヤー側も、こうした付加価値型サプライヤーをパートナーとして選定することが、企業全体のレベルアップにつながります。

まとめ:洗浄性課題を超えて、日本のものづくり現場を進化させる

コーターマシンの配管継手部材における洗浄性課題は、今なおアナログな慣習の壁、設計思想の遅れ、現場の属人的運用という複雑な問題が絡み合っています。

しかしそれは、現場力の底上げや品質向上、工程DX化への「最後の隠れたフロンティア」とも言えるでしょう。

現場経験とラテラルな視点から断言できることは、
– 洗浄性を設計・購買・運用すべての共通価値観に据える
– バイヤーとサプライヤー双方が、高付加価値提案を武器にパートナーシップを強化する
– IoTやCIP、自動化といった最新技術を臆せず現場で試行・実装する
ことで、日本の製造業は再び“世界に誇る現場力”を取り戻せます。

配管継手という地味な部材ひとつから全体最適を目指す。

この視点が、あなたの現場を変え、日本のものづくりをより強く、進化させる第一歩となることを願っています。

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