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展示会ノベルティのコストダウンを数字だけで判断すると起きる弊害

目次
はじめに:展示会ノベルティで現場が抱える根深い課題
製造業のバイヤーや調達担当、またはサプライヤーの皆様にとって、展示会というのは新しい顧客獲得や既存顧客へのアプローチの貴重な舞台です。
その場で欠かせないアイテムが「ノベルティグッズ」。
低価格・大量発注が求められる傾向にある中、コストダウンというミッションは、常にバイヤーや担当者の頭を悩ませてきました。
しかし、単に「数字」だけでコストダウンを追い求めると見落としがちな、現場目線での弊害が多々あります。
今回は現役時代の経験や、多くの現場と向き合いながら思い知った“数字には映らない、見落としがちなコスト”について、深く掘り下げて解説します。
そして今、なぜ「数字だけで判断しないこと」が、サプライヤー側・バイヤー側双方にとって真の利益に繋がるのかについても考察していきます。
なぜ展示会ノベルティのコスト比較は数字だけに頼りがちなのか
ノベルティを外部発注する際、多くのバイヤーや担当者は「数量×単価=金額」というシンプルな計算式に頼ってしまうものです。
理由は単純明快。
“コスト比較で安い方が上司や経営層に説明しやすい”からです。
昭和から続くアナログな商習慣の強い製造業では、とかく「コスト1円削減=善」という思考が根深く、担当者自身も上層部も“数字で説明がつくこと”を強く重視します。
この文化は、デジタル化が進む令和の今でも多くの工場現場に色濃く残っています。
結果、冊子やタオル、ボールペンなど“単価重視”のアイテム選定が優先され、「1ロットあたりの単価さえ抑えればOK」という、表面的な判断に陥ります。
「なぜ毎年同じグッズを、同じような価格競争で発注してしまうのか?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
数字以外の価値を見落とすと何が起こるのか
筆者自身、工場の調達購買部門に在籍していた際、コストダウンを至上命令として受けた現場で
「一円でも安いボールペンに変えました!」「こちらのノートが数円安いです!」
などの報告を何度も目にしました。
しかし、数字だけで選んだノベルティが、会社のブランド価値やアピールの場で“逆効果”となった事例を数多く経験しました。
コストダウンがもたらす3つの弊害
1. ブランディングの損失
展示会の目的は、新規顧客開拓、既存顧客との信頼構築、そして自社のブランドイメージ向上です。
しかし、最低限のコスト削減を優先し過ぎた結果、“安っぽいノベルティ”や“どこにでもあるグッズ”になってしまうことが多々あります。
ノベルティは名刺代わり、印象に関わる重要なアイテムです。
例えば「すぐ壊れるボールペン」や「デザイン性に欠けるタオル」は、渡された相手に“この会社への信頼感”や“ものづくりへの真摯さ”を感じさせられるでしょうか。
実際に展示会会場では、
「この会社、ものづくり企業なのにペンがすぐ壊れるよね」
「ノートがみんな同じで、どこに何の会社か分からない」
などの声も多く聞かれます。
短期的なコストダウンが、長期的なブランド毀損を招く—これは数字だけでは見えない、大きなロスです。
2. 担当者の工数・現場負荷の増大
見積もり取得からサンプル確認、取引条件調整、納品まで、ノベルティグッズの発注は意外と多くの「現場工数」がかかります。
たとえば「より安く」「より短納期で」など厳しい条件を突き付けることで、
・サプライヤーとのやりとり回数が増える
・校正や確認作業が煩雑化する
・トラブル時の再手配が発生
など、本来の業務以外に担当者が大きな時間を取られます。
また、安かろう悪かろうで品質不十分な商品が届き、梱包や仕分け、展示会場での再確認など、現場の手間も莫大に増えるのです。
その工数コストは、単価の「数円」「数十円」を遥かに上回ることも少なくありません。
3. サプライヤーとの関係悪化とリスク
コストを極限まで削ることは、確かに一時的な安価調達につながるかもしれません。
しかし発注先の業者はどう感じるでしょうか。
・交渉のたびに価格を削られる
・リードタイムを極限まで詰められる
・発注のたびに条件変更や仕様変更
これが繰り返されると、サプライヤー側も「この会社は利益が出ない」「信頼関係を築くのが難しい」と感じ、結果的に“受注辞退”や“品質低下・納期遅延”が起こりやすくなります。
最悪の場合、部材不足や急なトラブルの際に「助けてくれるパートナー」がいなくなり、会社全体の信用リスクにつながることもあります。
昭和時代から続く「数字重視」アナログ思考の限界
昔ながらの製造業界では「見積=価格決定」というアナログな商習慣が色濃く残っています。
・毎年同じ発注先に競合見積もりを依頼
・少しでも安い見積もり先を選定
・現場と経理のすり合わせが煩雑
こうした慣習は「保守的な安心感」はあっても、
長い目で見るとより大きなコストや損失に繋がることも見過ごせません。
デジタル化、サステナビリティ、DX推進がトレンド化している昨今こそ、この“数字だけ重視”の思考から抜け出すタイミングなのではないでしょうか。
バイヤー・サプライヤー、双方が幸せになるノベルティ戦略とは
1. 目的に即したアイテム選定
ノベルティは“一度きりの低価格消耗品”ではなく、
・自社の印象を強く残す
・本当に使われる
・話題になりやすい
これらを重視することで、結果的に“費用対効果”が格段に上がります。
例えば、特定の業界トレンドを反映させた新素材のグッズや、
長く使える実用的なツールなどは、「次もこの会社に相談したい」という信頼感の醸成にもつながります。
2. サプライヤーとのパートナーシップ型調達
サプライヤーとのやりとりを“価格一辺倒”の関係ではなく、
・困った時に相談できる
・付加価値提案を積極的に受け入れる
・長期的目線で共に成長する
こうしたパートナーシップが築ければ、ノベルティ発注以外の業務でも大きなメリットが生まれます。
たとえば
「使い捨てノートではなく、自社の技術を活かせる記念品」
「廃材利用などSDGsにつながるオリジナルグッズ」
など、現場発のアイディアが形になることも多々あります。
3. 工数・リスク・ブランドロスも含めた“トータルコスト”で考える
近年の先進的なバイヤー企業や生産管理の現場では、「TCO(Total Cost of Ownership)=総所有コスト」という概念が広まりつつあります。
つまり、
・発注にかかる工数と時間
・品質問題や配布時のトラブル
・展示会アフターのブランド価値
これら“数字に出にくい目に見えないコスト”も加味して初めて“本当のコストダウン”が実現するのです。
短期的な数字で一喜一憂する時代は終わり、今後は定性的・定量的両面で最適化していくラテラルシンキングが求められます。
業界目線で見た、これからの展示会ノベルティの最適解
昭和から抜けきれないアナログ業態でも、少しの発想転換で大きな成果を得られます。
例えば
・自社の独自技術を使ったミニツールのノベルティ
・サプライチェーン全体でCO2削減に貢献できる提案型グッズ
・高品質&高付加価値なアイテムで「良い物しか作れない会社」というイメージアップ
こうした視点なら単価が若干高くとも、“管理工数削減”や“商談獲得効率UP”で、リターンが何倍にもなります。
具体的なアクションプラン
・単価削減の前に「展示会の戦略的なゴール」を再確認する
・サプライヤー候補には“価格以外で期待する点”も積極的に伝える
・現場担当者の業務工数もコストとして数値化し、上に説明資料を作る
・トラブル時の補填や納品リスクも評価基準として明示する
まとめ:数字だけにとらわれず“見えないコスト”にも目を向けよう
製造業現場が抱えてきた「展示会ノベルティのコストダウン=数字での判断」という常識は、大きな転換期を迎えています。
ブランド価値の損失、現場工数の増大、リスク管理の不徹底。
こうした“数字に見えにくい、だけど本当は無視できない”コストも含めて最適解を探ることが、
これからの時代、バイヤーとしてもサプライヤーとしても大きな武器となるはずです。
現場目線でラテラルに思考し、
「どうすれば展示会ノベルティの投資対効果を最大化できるか?」を追求すれば、
コストダウンと価値創出が両立できる新たな地平線が、きっと見えてくるでしょう。