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投稿日:2025年11月24日

防衛領域の情報通信分野で技術連携を実現するための実務ポイント

はじめに ― 防衛領域と情報通信分野の新たな融合

防衛産業と情報通信分野は、かつては全く別の領域と思われがちでした。

しかし昨今、IoT、AI、クラウドといった先端技術の急速な普及とともに、両者の協業によるシナジーが業界全体の競争力向上にとって不可欠となっています。

特に2020年代以降、防衛装備品や通信インフラの最適化・自動化・高度化が叫ばれるなかで、技術連携やオープンイノベーションの重要性は日増しに高まっています。

本記事では、長年製造業の現場で培った知見をもとに、防衛領域の情報通信分野で技術連携を実現するための実務的なポイントを、具体例や業界の本音も交えつつ解説します。

防衛領域×情報通信 ― どこに連携の余地があるのか?

現場レベルの課題とニーズの洗い出し

現場ではしばしば「現状の装置では情報が手作業でしか集まらず、リアルタイムで管理できない」、「防衛用途に適合したセキュリティの担保が難しい」などの声が上がります。

これらの要望に応えるため、例えば自動化設備の導入やセンサー技術を組み込むことで、装置の稼働状況や保守履歴を即座に取得・集積できる仕組みが極めて重要になっています。

過去の成功体験に頼ったアナログ管理では、人材の流動化やサイバー攻撃、モノの多様化など新時代のリスクに対応できません。

防衛特有の制約条件

防衛領域は、秘密保持や国家レベルの安全保障など、一般の製造業とは異なる厳しい制約が常に課せられます。

例えば、以下のような事情が連携プロジェクトの難易度を上げます。

– 専門性の高い知見が必要(暗号化通信、軍用ネットワークプロトコルなど)
– 細かな部品1つから海外流出制限がかかる
– 改修やアップデートがスムーズに進まない組織文化
こうした現場の事実から目をそらすことなく、技術連携のロードマップを描く必要があります。

実務で押さえておくべき5つの基本ポイント

1. 専門技術の言語化(翻訳力)が身を分ける

製造業・防衛業界では、現場やサプライヤー、バイヤー間の「用語」や「常識」の隔たりが深刻です。

情報通信の専門用語や最新プロトコルも、防衛現場ではまだ理解が浅いケースが多々あります。

このため説明する側は、現場目線の“翻訳者”として相手の言葉に置き換え、「なぜその技術が現場で必要なのか」を徹底して伝える必要があります。

たとえば、「マルチキャリア通信」という言葉は、「停電時や局所的なトラブル時にも通信が生き残るための多重化施策」と説明したほうが、現場担当者や防衛機器のバイヤーに響きやすいです。

2. インサイダー目線での現場ヒアリング

現場の本音を引き出すためには、形式的なRFP(提案依頼書)や座学的なヒアリングだけでなく、現地・現物・現実主義(三現主義)で細かな運用状況を把握するのが肝要です。

実際、工場ラインや基地の現場を歩きながらの生のヒアリングこそ、DX(デジタルトランスフォーメーション)以前・以後の温度差や、現場で隠れてきた“昭和的な慣習”をあぶり出すうえで有効です。

「なぜこのマニュアル作業が続いているのか?」「見えざる手作業、属人的ノウハウはどこにあるのか?」など、現場独特の“暗黙値”にしつこく迫る姿勢が問われます。

3. システム/機器連携のセキュリティ要件と現実的妥協点

防衛領域では、システムや機器を連携するたびに「情報漏洩リスク」と「運用のしやすさ」のせめぎ合いとなります。

外資系通信機器やクラウドサービスは、大規模な制御データのやりとりでは有用ですが、認証・アクセス制御・監査記録の厳格な設計が求められ、時にコストも跳ね上がります。

現場を知る立場から言えるのは、100%理想解を追求せず、「合格ラインの明確化」と「第二案・第三案のプランB準備」が実務上の落としどころとなるケースが多数です。

ハード・ソフト双方の領域横断で、ベンダーや開発者、ユーザーを交えて設計初期からの攻防が必要となります。

4. 標準化と独自仕様—どこで線を引くか?

防衛用途では調達先の多様化やライフサイクルの長期化により、標準化の重要性が年々高まっています。

一方で、現場には「自社だけの独自技術」「後追いでの仕様追加」への執着も根強く、多くの現場で標準化推進と現実の運用が乖離しています。

私の経験上、業界での合意形成を軸にしつつ、どうしても譲れない“現場発”の仕様要求は「最小限のモジュール化」「ドキュメント化」で埋め合わせる、というバランス感覚が連携の成否を左右します。

5. アナログ現場の“抵抗感”をやわらげる運用設計

昭和時代からの手作業文化や、人海戦術依存のオペレーションは、製造・防衛分野では今も色濃く残っています。

先端技術を押しつけるのではなく、まずはハイブリッドな運用方式や既存オペレーションの心理的ハードルをできる限り下げる設計が導入成功への近道です。

数百名規模の拠点では「まずは一部工程、少人数グループでのPoC(概念実証)」から始め、成功体験を現場主導で横展開していくスタイルが有効です。

業界動向と今後の潮流 ― 遅れる日本、動き始めた民間主導

グローバルでは民間主導の防衛DXが加速中

アメリカやイスラエル、ヨーロッパ諸国では、すでに民間通信・IT大手と政府防衛産業が協調し、次世代通信・防衛インフラの開発が本格化しています。

民間技術の積極的活用(Open Innovation)を前提に、アジャイル手法やクラウド利用、リアルタイム監視など、従来の職人芸やクローズド文化とは異なる潮流が現場に浸透しています。

日本は「失敗しない導入」優先で変化に慎重

日本では、不具合や情報漏洩が国家的ニュースになりやすいこともあり、「安全策」や「前例踏襲」が今も根強いです。

しかし、少子高齢化による人手不足、サイバーテロのリスク増大、国際競争の激化など、もはや昭和のやり方が通用しないフェーズに突入しています。

大手SIer(システムインテグレーター)によるトップダウン型ではなく、現場の声を拾い上げて技術連携を着実に仕込む“現場起点のボトムアップ推進”が差別化ポイントとなっています。

バイヤー、調達担当者に伝えたい実践ノウハウ

バイヤーに必要な“多様な視点”

これから防衛・情報通信分野の技術連携にかかわるバイヤーや調達担当者にとって重要なのは、価格だけでなく、現場の使い勝手・保守性・将来拡張性までトータルで評価する“多様な視点”です。

また、提案依頼やプレゼン資料だけに頼らず、「実機検証」「トライアル運用」「現場メンバーとのワークショップ」など、数字に現れない運用コストやリスクを徹底的に洗い出す姿勢が不可欠です。

サプライヤーにも求められる“バイヤー目線”

逆にサプライヤーやITベンダー側にとっても、「なぜ現場は変化に消極的なのか」「導入に失敗するとどんな痛みがあるのか」を、バイヤーや現場部門の立場を深く理解することが受注拡大のカギとなります。

時には現場の上司や決裁者、調達側に“バトン”を渡すための社内説得ロジックづくりまでサポートする柔軟性も、今後は大きな武器となるでしょう。

まとめ ― 防衛領域のDXは「人」と「現場」から

防衛領域の情報通信分野で技術連携を実現するためには、

– 現場を知り抜いた「翻訳力」
– インサイダー視点での課題抽出
– セキュリティ・標準化・運用設計の現実バランス
– アナログ文化も許容する段階的導入
が極めて重要です。

日本がグローバル競争に負けないために、現場の声を起点とした現実的なDX・技術連携への挑戦が、今まさに待たれています。

製造現場・調達購買部門・サプライヤーすべての立場で、地に足の着いた実践が日本の防衛産業・情報通信業界を切り拓く原動力になります。

この記事が、次世代の技術連携を担う現場の皆さまにとって一歩踏み出すヒントとなれば幸いです。

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