- お役立ち記事
- 技術者のための戦略的技術マーケティングと計数計画の実践・ポイント
技術者のための戦略的技術マーケティングと計数計画の実践・ポイント

目次
はじめに – 技術者の新たな役割、「技術マーケティング」と「計数計画」
これまで製造業の技術者は、「より良い製品」「確かな品質」「安定的な生産」を追い求めることが主な役割とされてきました。
ところが、今や単なる技術力だけでは差別化が難しく、デジタル技術やグローバル競争の加速、サプライチェーンの多様化など、事業環境は大きく変化しています。
そうした中で今、現場技術者が「戦略的技術マーケティング」「計数計画(数値計画)」に積極的に関わることが、現場競争力の源泉となりつつあります。
本記事では、昭和時代から変わらぬアナログな現場ノウハウと、最新トレンドを組み合わせながら、「技術者のための戦略的技術マーケティングと計数計画」について、実践的な視点で解説します。
新たな武器を手にし、これからの製造業をリードしましょう。
なぜ技術者に戦略的マーケティングと計数計画が必要なのか
現場技術者こそ、「顧客起点思考」がカギ
かつて日本のものづくりは「作れば売れる」時代が長く続きました。
しかし、今は顧客ニーズを的確に把握し、それに合ったソリューションや製品を開発しないと生き残れません。
現場技術者は、顧客の課題や業界動向、隠れた要望を肌感覚で感じている貴重な存在です。
工場でのトラブル、サプライヤーからの声、営業と同行した際に見た現場の温度感など、すべてが「技術マーケティング」のヒントになります。
現場からイノベーションや新サービスを生み出すためには、技術の先にある真の「必要性」を自分ごと化して考えることが必要です。
計数計画は利益体質と働きやすさの両面に効く
一方、現場技術者だからこそ「計数計画(数値管理)」から逃げてはいけません。
需給予測、原価低減活動、設備投資や省人化の投資回収計算、生産リードタイム短縮、品質不良のコストインパクト…数字と向き合うことで、無駄を見つけ、改善効果を最大化できます。
数字が読めることは、「工場≠コストセンター」から「利益を創出する現場」にシフトするための絶対条件です。
また、計数管理が徹底された現場は働き方改革の推進役にもなります。
ムダな残業や無理な増産指示が減り、改善提案が通りやすい土壌が作られるのです。
戦略的技術マーケティングとは何か?
「技術マーケティング」の定義
技術マーケティングとは、技術の力を「売れる価値」として市場に届けるための戦略的活動です。
欧米の製造業では従来から重視されていますが、日本では技術者とマーケターが分断されがちでした。
現場目線で考える技術マーケティングのステップは、次の通りです。
- 市場・顧客動向の探索(現場で聞こえるニーズ、サプライヤー・バイヤーの要求の分析)
- 自社技術の差別化ポイントの明確化
- 提案資料やプレゼンでの技術価値の見える化
- 開発・生産・品質の現場を巻き込んだ実証/改良
- 営業担当者と顧客を巻き込んだ「使いこなし提案」
この一連の流れに技術者が積極的に参画することで、現場の知恵から「売れる技術」が初めて生まれます。
戦略的発想のポイント
市場や顧客の現状を把握するための情報源は、営業部門やマーケティング部門のみでは不十分です。
現場に入っている技術者だからこそ得られる一次情報(雑談や作業者からのつぶやきまで!)が強力な武器になります。
また、市場でトレンドとなる課題(カーボンニュートラル、省エネ、DX対応、BCP、生産性向上等)を、技術課題として具体的に分解する力こそが「戦略的マーケティング」の基盤です。
技術的制約や現場の事情をふまえつつ、「顧客価値」と「収益性」の両方が最大化されるラインを見つけ出すラテラルシンキングが求められます。
計数計画の実践で現場に起きる波及効果
数字で語れる現場は強い
長年製造現場で働いていると、「なんとなくの経験値」や「前年踏襲」「先輩の言伝え」に頼りがちです。
しかし、昨今の激しい原価変動や需給のブレ、サプライチェーンリスクに対応するには、客観的な数値裏付けが必須です。
たとえば、
- 歩留まり向上によるコスト削減額
- 在庫圧縮のキャッシュフロー改善額
- 新たな自動化投資と回収期間のシミュレーション
- サプライヤー選定でのTCO(トータルコスト)比較
こういった「見える化・数値化」が組織の説得力を向上させ、経営陣や他部門との合意形成もぐっとスムーズになります。
計数マネジメントを成功させる3つのコツ
1.全員が分かるルールや目標を現場で可視化する
2.継続的に数字を追いかける仕組み(朝会・月例レビューなど)を作る
3.数字の「背景」と「ナレッジ」を共有し、学び合いを促す
これにより、現場改善活動のスピードも加速し、ムダ・モレの早期発見につながります。
アナログ現場でどうやって「戦略」と「計数」を根付かせる?
昭和型文化を乗り越える現場改革のポイント
未だ多くの製造現場では、「データは紙」「経験と勘が優先」「承認プロセスが多重」など、昭和時代の名残が根強く残っている企業も少なくありません。
こうした文化をどう変え、若手・中堅技術者でも「戦略」と「計数」を実践できるようになるのでしょうか。
現場主導の小さな成功体験の蓄積がカギ
最初から壮大なKPIや全社改革を目指さず、まずは現場の悩み(例:調達ミスの削減、歩留まり向上、小集団活動)を「数字」で見える化し、改善→効果確認→全員で共有、というサイクルを回すことが大切です。
管理職やリーダーは、「現場起点での改善を数字で評価し、承認文化を変革する」ことが使命となります。
ある程度実績がでてきた段階で、初めてデジタルツール(IoT、BIツール、ダッシュボード等)の導入を進めると、「現場が置き去りにされない」効率化と省力化がスムーズに進みます。
サプライヤー・バイヤー視点にも「数字」と「戦略」
バイヤーやサプライヤー側からみても、提案や交渉に「戦略ストーリー」と「計数根拠」があるかどうかで信頼度が大きく変わります。
例えば、
- 納期短縮のためのリードタイム分析(工程ごとのボトルネックの特定)
- 品質トラブル発生時の損失金額の算出と、それを防ぐための投資効果説明
- 差別化技術の市場評価にもとづいた共同開発ストーリーの提案
こうしたアプローチで商談や共創活動を進めることで、単なる「価格勝負」ではない、付加価値型のパートナーシップが実現します。
技術マーケティング×計数計画の融合が、現場を進化させる
今、製造業の現場技術者に求められる「技術マーケティング」と「計数計画」は、単なる流行ではなく、サバイバルのための必須スキルです。
技術=現場力×戦略発想力×計数管理力
この掛け算によって、現場の知恵は新たな顧客価値やイノベーションへと昇華されます。
日々の業務の中で、「なぜこの仕事をやるのか」「数字でどんな成果が出るのか」「どんな顧客価値に繋がるのか」という問いを常に持ち続けてください。
そして、自分たちが現場の枠を超えて「経営・営業・バイヤー・サプライヤー」と協調し、製造業全体のレベルアップを牽引する旗手であることを忘れないでください。
まとめ – 戦略的技術マーケティングと計数計画で、現場から未来を変えよう
戦略的技術マーケティングと計数計画は、昭和時代のアナログ現場にもしっかりと根付く可能性を持っています。
現場技術者自らが現状を分析し、数字を武器にし、自社とパートナーの強みを生かした提案力を高めることで、競争力ある工場・サプライチェーンを実現できます。
あなたの現場経験・知見を最大限活かし、時代の転換期を共に乗り越えていきましょう。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)