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消耗品OEMを通じて小売業との取引を拡大するための準備

目次
はじめに:消耗品OEMの現状と小売業との連携強化の重要性
消耗品OEM(Original Equipment Manufacturer)は、製造業におけるバリューチェーンの中核を担う重要なビジネスモデルです。
特に、日本の製造現場ではアナログ的な「昭和型発想」から脱却しきれていない企業も多く存在します。
しかし、消耗品の需要は堅調であり、特に小売業との安定的な取引拡大は、利益確保や販路拡大の大きなチャンスとなります。
小売業者のニーズは年々多様化し、コストだけでなく「安定調達」「品質保証」「SDGs対応」など、さまざまな観点が求められています。
本記事では、実際に20年以上製造業現場・管理職を経験した筆者が、現場目線とラテラルシンキングに基づき、消耗品OEMビジネスで小売業との取引を拡大するための実践的準備や戦略について深掘りします。
消耗品OEMとは:なぜ今、小売業が注目するのか
消耗品OEMとは、本来自社ブランドで販売する商品を、他社ブランドの要望に合わせて設計・製造し、納品することを指します。
小売業が消耗品OEMに注目する理由はいくつかあります。
1. 独自性・差別化を目指すPB(プライベートブランド)戦略の加速
近年、小売業では外部メーカーから仕入れるNB(ナショナルブランド)商品だけでなく、PB商品の開発強化が進んでいます。
PB商品は価格競争力を高められるほか、消費者リレーション構築やブランドイメージ確立にも寄与します。
その一方で、消耗品部門は多品種少量となりやすく、安定調達できるOEM供給元の確保が喫緊の課題となっています。
2. サステナビリティ・トレーサビリティへの対応
原材料高騰や物流コストの上昇、SDGsへの社会的要請なども、小売業にとってのリスクです。
消耗品OEMでは、環境対応素材や資源循環設計、労働環境への配慮などが求められ、小売業側も「共創できるメーカー」を選ぶ潮流があります。
3. サプライチェーン強靭化ニーズへの高まり
世界的なパンデミックや地政学リスクを受けて、消耗品分野でも「BCP(事業継続計画)」の視点が不可欠です。
分散生産・在庫管理体制、デジタル技術の導入による生産性向上が、サプライヤー選定の新しいスタンダードになっています。
小売業との取引拡大を実現するための準備ステップ
慣習的なルート営業やコスト訴求のみでは、小売業側のニーズをつかめません。
ここからは、昭和・平成を超えて令和時代に勝ち抜くための実践的な準備ステップを解説します。
1. 既存プロダクト・業務プロセスの徹底棚卸・見直し
まず自社の強み・弱みを明確にするために、現状の製品スペック・品質管理体制・調達力・納期遵守力を、第三者視点で棚卸しします。
昭和型の「これまで通り」で進化を止めてしまうと、小売業が重視する変化対応力をアピールできません。
製品標準化の余地や、サステナ対応可能な原材料選択、工程自動化の余地なども洗い出しましょう。
2. 小売業バイヤー目線の提案力強化
バイヤーは「なぜこのメーカーと取引すべきか」を数字・ロジックで見極めています。
単純な価格比較や納期短縮のみではなく、「小売現場でどう売れるのか」「既存PBやNBとの差異」「サステナ・食品ロス対策など社会課題とどうリンクするのか」など、市場・消費者心理まで深く考察した提案資料づくりが必須です。
現場体験に基づく具体的な改善提案や、ラインへの導入事例なども資料化しておくと有利です。
3. 品質保証・トレーサビリティ体制の構築
消耗品分野は「不良率の低減」「安定供給」「緊急時対応」などの品質保証体制が取引拡大の要件となります。
品質管理規程(ISO・JIS等)の取得だけでなく、日常的なトレーサビリティ記録(ロット管理・原材料履歴管理・廃棄物管理など)を情報として開示できる体制を整えておきます。
4. デジタル技術による業務効率・価値向上
デジタル化の波は現場にも押し寄せています。
例えば、生産管理システムや在庫管理ツール、AI需要予測を活用することで、小売業サイドも求める「リードタイム短縮」「在庫削減」「受発注の自動化」などの要望にリアルタイムで応えやすくなります。
ITリテラシーの向上は、取引チャンス拡大の大きなカギを握ります。
サプライヤーがバイヤー心理を知るためのコツ
多くのサプライヤーは「バイヤーがなぜその決定をするのか」まで想像できていません。
現場で培った経験から、バイヤーの心理や考えていることを知る上で有効なポイントを紹介します。
1. バイヤーは自社の「リスク」と「メリット」の両面でジャッジしている
コストや既存関係のしがらみだけでなく、「供給が止まらないか」「予想外のクレームにどう対応できるか」といったファクトベースのリスクを厳しく見ています。
それと同時に、自社の評価や現場のオペレーション負荷(工数・問い合わせ対応など)まで計算しています。
2. 現場同士の共創力・ストーリー性が購買意思を後押しする
カタログ値や一般性能よりも、「なぜこの現場がこの工程でこだわり抜いたのか」などの現場ストーリーに共感しやすい傾向があります。
現場リーダーや工場長自身が説明できるキーマン訪問、現場同行をセットするのも、強い説得力を生みます。
3. 「いざという時の安心感」が取引継続・拡大の決定打になる
納品トラブルや品質問題はゼロにはできません。
実際の修羅場で「どこまで現場と一緒に汗をかいて復旧に動けるか」「状況報告や改善提案がスピーディにできるか」など、昭和型の“義理人情”も現代流にアレンジして伝えることが大切です。
具体的施策事例(OEM営業・現場改革)
ここでは筆者自身の体験や多くの成功事例、また昭和型・令和型を融合したアプローチを紹介します。
事例1:自動化設備を活かした短納期&大量供給体制のPR
ある工場では、元々手作業だった包装工程を自動化しました。
これにより、不良率低減と同時に突発注文にもフレキシブルに対応できるようになりました。
小売業バイヤーには、「導入後、突発対応で納期遅延0件」など具体実績を提示し、社内承認プロセスにも耐えうる信頼を醸成しました。
事例2:品質トレーサビリティ・現場見える化ツールの導入
従来は紙管理によるトレーサビリティしかありませんでしたが、IoTロット管理システムを導入。
原材料ロット・生産日・加工ラインを一元管理し、出荷後のトラブル発生時も迅速な原因特定&改善報告ができるようにしました。
この事例が小売業バイヤーの「リスクヘッジ」の観点から大きなポイントとなったことが契約獲得につながりました。
事例3:サステナ要求への能動的対応と差別化
消耗品の一部を再生素材やバイオマス化することで、自治体・エンドユーザー向けのプロモーションにも協力。
PB商品や店舗配布品などで持続的販路確保に成功しています。
今後の業界動向とサプライヤーに求められる要件
消耗品分野でのOEMは、今後ますます高度化・細分化していく流れは間違いありません。
小売需要の多様化を受けて、柔軟かつ雷迅速な対応、DXによる効率化、SDGs目線での供給体制づくりが不可欠です。
製造業の現場も、「安く・早く・うまく」から「安心・共創・変化対応」へとバリュー観を大きく転換する時期にきています。
まとめとアクションリスト
消耗品OEMを通じて小売業との取引拡大を目指すなら、まず「昭和からの脱却」を自問し、現場・業務全体を見渡してアップデートする意識が第一歩です。
バイヤー目線のリスクヘッジ・提案力、現場の共感力、DX推進力、SDGs対応力──。それぞれの強みを鍛え、現場・営業・開発が一体となった全社提案で、ぜひ新たな地平を切り拓いてください。
まずは、「現場を知り、現場を磨く」ことから始めましょう。
どんな時代も、強い現場が勝つのです。
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