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船積み港と仕向け港で異なる通関規制に起因する貨物差戻し防止の事前準備

目次
はじめに
製造業のグローバル展開が加速度的に進む中で、国際物流は企業競争力の重要なカギとなっています。
とりわけ、船積み港(輸出港)と仕向け港(輸入港)の双方で課される通関規制の違いが、実務でトラブルの種になることが少なくありません。
通関手続きの不備や規制の相違による貨物差戻しは、納期遅延・コスト増という形でバイヤーやサプライヤー双方の信頼関係に直結します。
本記事では、昭和的なやり方が色濃く残る製造業の現場目線から、貨物差戻しを未然に防ぐ「事前準備」の実践的ポイントを掘り下げます。
バイヤー、サプライヤーの方はもちろん、これから製造業のサプライチェーン管理に携わる方にも役立つ内容です。
国際物流における通関規制の基礎知識
通関とは何か
通関とは、貨物を国際的に移動させる際、輸出入する国の法律・規制に基づき申告や検査を受ける一連の手続きです。
船積み港と仕向け港の違い
船積み港では主として輸出国の法令(例えば日本では輸出貿易管理令や外貨法など)が適用されます。
一方、仕向け港では輸入国の法令(現地の関税法、食品衛生規制、製品安全基準ほか)が適用されます。
ここで最大のリスクとなるのが、両国の規制や解釈の相違です。
通関規制のギャップが引き起こす問題
例えば、同じ化学品であっても「日本では規制対象外」なのに「仕向け国で有害物質扱いになる」場合や、ラベル表記に現地語が必須だったが日本語ラベルのまま渡してしまった、などは典型的なギャップ事例です。
これらの違いを見落とすと、貨物が仕向け港の通関で止められ、最悪の場合は日本へ差し戻し(リターンシップ)となります。
この差戻しがもたらす損失は、単なる配送料金や手数料にとどまらず、ブランドイメージ毀損やビジネスチャンスの逸失につながります。
昭和的な現場から抜け出せない原因と課題
現場の調達購買や物流担当者が「昭和からのやり方」に甘んじてしまう要因として、
– 前例踏襲主義(以前大丈夫だったから今回も大丈夫だろう)
– 与えられた指示のみをこなす(自分の担当領域だけで思考が完結しがち)
– 規制やルール変化への情報感度の低さ
が挙げられます。
このような空気の中では、国ごとの通関規制の違いを深く調べる文化が根付かず、「まさか自分の貨物が差し戻されるとは…」という“想定外”に直面しやすいのです。
実践!貨物差戻しを防ぐ事前準備のポイント
1. 輸出国・輸入国双方の通関規制を徹底調査
まずは、貨物の内容・品目ごとに日本側と仕向け国側、双方の通関関連法令・規制を調査します。
この過程では、ネット検索や輸出先の大使館・商工会議所・ジェトロなどの支援情報が活用できます。
また、仕向け先で信頼できる通関業者(フォワーダー/カスタムブローカー)に直接ヒアリングすることも有効です。
特に定期的な規制更新や現地ローカルルール、抜き打ち的な解釈変更にも目を光らせておく必要があります。
2. 法規制だけでなく“実務解釈”の違いも確認
例えば「成分証明」「残留農薬テスト」「製品安全データシート(SDS)」など、書類の様式や記載項目一つひとつに現地独自の要求が加わるケースも少なくありません。
事前に現地通関業者へ「どの記載方法が受け入れられているか」や「直近で現場運用が厳格化された部分は何か」まで確認すれば、陥りやすい落とし穴を回避しやすくなります。
3. ラベリングや梱包規格の事前チェック
特に食品、化学品、電気機器などはラベル表記や梱包仕様に厳しい規制があります。
例えば欧州向けRoHS規制やGHSラベル、中国へ家電を送る際のCCCマーク、アメリカのFCCやUL認定など、「標準規格+現地要求」のダブルチェックが不可欠です。
4. 事前サンプル送付・テスト通関活用
新規案件や初めて取引する相手では、事前に「輸入サンプル」もしくは必要最小限のサンプル通関を行い、本番出荷の前に規制適合性や現地通関に耐えうることを実地で検証するのも有効なリスクヘッジです。
5. 現地バイヤーや現地法人との密な情報共有
「日本から送って問題ないはず」と思い込まず、現地のバイヤーや自社現地法人のローカル担当者に、通関に関する最新情報や具体的な書類要求を積極的に確認・共有しましょう。
現地事情に精通したパートナーの協力によって、想定外のトラブルを避けることができます。
6. 調達サイドでの容認範囲の明確化と工程分解
サプライヤー側も「依頼された通り送ればいい」のではなく、「バイヤーが本当に求めている要件」「最終仕向け地で何にされるか」を理解した上で、自分たちで調達・梱包工程を分解し、規制適合チェックリストを作成します。
必要に応じて、追加の書類や検査証明などを用意し、バイヤーと逐一すり合わせを行う姿勢が求められます。
最新の業界動向とデジタル活用による規制対応の進化
昭和的な「経験と勘だけに頼った通関業務」から脱却するため、近年はデジタルツールによる規制情報の収集・共有、電子申告(NACCSなど)活用、AIによる通関リスク予測などIT活用が進んできています。
しかし、多くの現場では未だ紙の伝票や電話・FAXによる業務連絡が中心。
社内の壁を超えた購買・物流・品質管理の横断的な情報共有や、リアルタイムで規制改正情報を自動アラートできる仕組みづくりが、今後の差戻し防止に直結するといえます。
実際の現場でのトラブル事例と学び
筆者が工場長時代、北米向けに精密部品を輸出した際、小さな成分表示ラベルの記載ミスが発覚し、仕向け港で差戻しとなった経験があります。
数十万単位の部品が1カ月以上止まり、顧客の生産ラインまで停滞させてしまいました。
その失敗以降、「第三者チェック」「現地向け模擬通関テスト」「依頼元・先との三者WEB会議」など、現場が主体的に動く仕組みを現場に落とし込みました。
このような自分ごと・現場ごとの経験が、全社の品質や信頼性向上の礎となります。
まとめ:バイヤーとサプライヤー、それぞれの立場から“攻めの通関準備”を
通関規制ギャップによる貨物差戻しは、「自分の現場には起きない」と油断している業界・現場ほど突然に発生します。
国際物流が多様化・複雑化する今こそ、バイヤーもサプライヤーも「輸出国・輸入国」2つの目線から、規制の深堀りと現場レベルの連携に注力すべきです。
デジタル技術の力も活用しつつ、最後は「現場への主体的な巻き込み」と「自分以外の関係者の立場への想像力」が、差戻し未然防止の最大の武器となります。
昭和の方法をアップデートし、知恵と行動で貨物の未来を切り開きましょう。
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